ニュース
ニュース
2006/10/06
【衆院予算委】枝野議員が金利制限、障害者自立、年金など質す


 枝野幸男議員が6日午後、衆議院予算委員会で、貸金業法の改正目的、障害者自立支援法、厚生年金と国民年金の差、家計消費支出などで、生活者、弱者の立場に立って、実態を示しながら、小泉政権が進めてきた格差拡大政策を批判、安倍首相の認識を質した。

 安倍首相は、同じような答弁、感情のこもらない答弁を繰り返すだけで、「美しい国」が、一部のもののためであることが明らかになった。

 枝野議員はまず、与党が改正作業を進めている貸金業法改正でかえって、金利が上昇すること(10万円未満の借り入れで2%上がり20%に、100万円から500万円で3%上がり18%になる)、3年間の経過措置が設けられていることを確認したうえで、「3年間は自殺者がでても仕方がないのでは、政治ではない。これでは泥棒に追い銭ではないか」と業者よりの改正案を鋭く批判。最高裁の判決に従い、利息制限法の以上の金利をとること禁止する法案を民主党は提出予定であること明らかにした。

 次に枝野議員は、4月に施行され、この10月に本格施行された障害者自立支援法による実態について、応益負担の原則が実施され退所せざるを得ない人が増え、「当事者から悲鳴が上がっている」として、せめて施設退所者、施設・作業所の経営、自治体の支援の実態調査を実施、公表するよう求めた。柳澤厚生労働大臣は「本省の調査は法の円滑な施行に逆行してもいけない。自治体の調査を除く他の項目については情報収集したい」として、拒否した。

 枝野議員は、障害者福祉の原則は応益負担ではなく、応能負担であり、「障害が重い人はより多くのサービスを受けなければ生きていけない。当然負担も重くなるし、重い障害を持つ人は収入も当然少ない。障害を持つ子を残して死ねないとの嘆く親も」として、首相にどう思うかを質した。首相は「きめ細かい配慮をした」とするだけで、自立を促すのが法の趣旨であるとの答弁を繰り返した。ここでも、枝野議員は党が緊急避難として、定率1割負担を凍結する等の内容の法案を提出すること明らかにし、厚生労働委員会での審議を求めた。

 また、正社員とパート、アルバイトなどの年金保険料と受け取る年金の格差を取り上げ、すべての雇用者に厚生年金を適用するよう求めた。枝野議員は国民年金の保険料が1万3909円(月額)で、これと同じ金額の厚生年金の保険料を納める人の給与は18万5000円から19万5000円で、受け取る年金額は国民年金6万6008円、厚生年金11万9091円になることを明らかにして、「この実態は美しいか」と首相に迫った。首相は「制度設計の問題」とのみ答え、直接質問への回答は拒否した。この実態を改善し、すべての雇用者に厚生年金を適用、年金制度を一元化すべきとの枝野議員の再三の質問にも、首相は非正規雇用から正規雇用へとすべき答えるのみで、年金制度自体の改革には触れなかった。

 最後に枝野議員は、経済実態について、景気がいいとの話はなかなか聞こえないとして、内需拡大、家計消費を増やす政策を採るべきと指摘した。枝野議員は現在の景気回復は、為替水準が80年代の低水準で推移していること、専ら輸出主導であり、家計の消費指数、勤労者の所得、労働分配率は下がっていることを指摘。製造業・大企業の成長が、高度経済成長期、右肩上がりの経済の時代には個人、地方へ波及し日本全体の経済成長を促したとの認識を示し、しかし、現在では大企業もリストラ、コストカットによる業績回復であり、雇用者の3分の2を占める中小零細、サービス業には波及していないとした。そのうえで、「一人ひとりの可処分所得を増やすことが大事である」と、首相の認識を質した。首相は「一人ひとりの生産性が上がることが望ましい」とのみ答え、なんら具体策は示さなかった。

 枝野議員は住民税などの負担増を進めてきた結果が、消費意欲を妨げていると政府の政策を批判し、質問を終えた。
記事を印刷する