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2006/10/30
【衆院教育特】野田議員、戦後教育の総括と未履修問題を質す
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30日午後、衆院教育基本法特別委員会において総理大臣出席の下での質疑が行われ、野田佳彦議員(国民運動委員長)が戦後教育の総括や高校の単位未履修問題などについて政府の見解を質した。
野田議員は、教育水準の向上など戦後教育が果した一定の役割を評価しつつも、卒業生を前にして歴史・宗教・倫理について学んでいないので将来が不安だと語った会田雄次前京大教授の言葉を引き、戦後教育の総括について総理の考え方を質した。安倍総理は、機会均等の理念の下に行われた戦後教育は教育水準の向上を通じて経済水準の向上にも役立ったとしつつ、自由に対する責任や権利に対する義務を教えなければならないと答えた。
野田議員は、歴史観や宗教観などといった数字で表せない「観」の教育が欠けていると指摘し、根本的な問題点は現行の教育基本法がGHQの下でできたことであると述べた。そして、教育基本法案の民主党案と政府案の違いについて民主党案提出者に質問した。民主党からは高井美穂議員が答弁に立ち、政府案に対する民主党案の優位点は以下の六点であるとした。第一は、あらゆる人が生涯にわたって学ぶ権利を規定していること。第二は、学校現場に権限を委ねるとともに、最終的な責任は国が取ること。第三は、宗教の意義の理解を深める教育をすること。第四は、インターネットの能力向上を図ること。第五は、対GDPで教育予算の比率を示すなど、教育予算の安定的な確保に努めること。第六は、幼児教育および高等教育の無償化を進めること。
野田議員は、政府はいじめや履修漏れなどの教育基本法に盛り込むべき内容を全て教育再生会議に委ねてしまっていると批判したが、伊吹文部科学大臣は基本法にどこまで書き込むかは立法政策の問題であると答弁するのみであった。
野田議員は議題を高校の単位未履修問題に移し、その全容把握のための調査が遅く、また全国で発生したことは文部科学省の責任であるとして、文部科学大臣の責任を問うた。文部科学大臣は、全国一律の教育水準が達成されていなかったことについて責任を認めながらも、国には学校に直接介入する権限はないと答弁した。野田議員は、知事部局が監督している私立高校の調査も含めて、早急に未履修問題の全容を過去にまで遡って明らかにすることが問題解決のために必要であるとし、教育特の委員長に資料の提出を要請した。さらに野田議員は、教育現場に規範精神が失われていることは根深い問題であることを指摘した。
野田議員は、民主党案は前文に「日本を愛する心を涵養する」と明記したが、政府案は「わが国を愛する態度」とするにとどまり、見せ掛けだけを整えようとしていると批判し、内容のある民主党案の優位性を強調した。安倍総理は、国を愛する心の発露が態度として示されるのであり、決して心を教えないということではないと答弁した。野田議員は、宗教教育についても政府案は宗教についての一般教養を与えるに過ぎず、民主党案の方が真の宗教心の涵養になるとし、政府案は連立維持のためのもので、自民党も最善のものとは思っていないはずだと指摘して、質問を終えた。
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