|
2006/12/04
【参院決算委】無駄遣い是正など迫る 山本、松井、柳澤各議員
|
4日の参議院決算委員会で、山本孝史、松井孝治、柳澤光美各議員は、社会保障費削減方針への疑義、公務員制度のあり方、無駄遣い是正、赤字財政からの脱却方法などについて、安倍首相らに政府の見解を質した。
山本議員は冒頭、12月2日に神戸地裁が、中国残留孤児に対する早期帰国促進義務や自立支援義務を政府が怠ったとの判断を示したことに触れ、安倍首相に考えを質した。
首相の答弁は「判決の内容を検討して適切な判断が必要だ」との内容に留まった。これを受けて山本議員は、早急な解決策を求める必要性があるとの考えを示した。
続いて山本議員は、会計検査院の検査官3人の内2人が、元高級官僚であることの妥当性について疑問を呈した。首相は「適材適所で任命していきたい」と、以前に小泉前首相が答弁した内容と同じ答弁を述べただけで、具体的な考えを示さなかった。
山本議員はまた、昭和22年の会計検査院法改正以来変わっていない検査官の3人体制に言及し、時代の流れにしっかりと対応できるような体制を作るべきであると述べた。
さらに山本議員は、政府が社会保障関係費を今後5年間にわたり毎年2200億円程度削減することについて、「社会保障制度は長期的な視点から構築されるものだが、毎年度削減額が示されて、金額合わせのために、制度の変更が短期間の間に何回も行なわれる。これでは国民に対して現行の社会保障制度は安心、信頼できるものではなくなってくる」と批判した。
首相は「高齢者医療、少子化対策などに関する社会保障に対する関係費用については、プライマリーバランスを早くゼロに戻し、税収を確保していく中で、社会保障費に対しては今後検討していきたい」と具体的に欠ける答弁を行った。
山本議員は「社会保障制度を持続可能にするためにという総理のやり方だと、国民生活の持続可能性が犠牲になってしまう」と、ビジョンが見えない首相の曖昧な社会保障制度に対する考え方を厳しく批判した。
続いて質問に立った松井議員は、天下り規制のあり方について、首相と関係大臣の見解を求めた。
冒頭、松井議員は、格差の拡大を示す統計資料や生活保護の受給審査の例を示し、「本当に国が引き受けるべきところは、国の責任として引き受けるべき」などと指摘。続いて、随意契約による公共調達と官製談合、公益法人経由の天下り問題などを取り上げ、国税庁資料に基づく課税ベースの計算では、最大874万人が「官」の構造に含まれ得ること、公益法人に網を被せなければ、天下り問題は全く解決しないことを主張した。
松井議員はまた、「公益法人の理事に占める天下りの割合を2年以内に3分の1にする」という指導監督基準を例示。役人以外の出身の非常勤理事の数を増やせば、この基準は簡単にクリアされるものであり、特殊法人・独立行政法人のように「常勤理事に占める比率を2分の1以下にする」などという内容にしなければ、効果は十分に発揮されないとした。
さらに、松井議員は、複線型人事の導入を含めた、公務員が定年まで働ける制度作りを求めるとともに、「決算重視」の参議院が過去に発した警告決議や措置要求決議の取扱いに言及。約6000億円の政府IT関連の予算要求に関する決算額の算出について、過去に誠実に対応するという答弁を行った政府は、その後にどのような対応を取ったか、関係大臣の見解を厳しく追及した。
次に、柳澤議員が、危機的な状況にある財政状況への見解と、無駄遣い是正への決意を質した。
まず、柳澤議員は、公債残高がこの5年間で220兆円増え、670兆円にも上ることを示したうえで、「私たちの孫に借金を残さないように、その決意を」と安倍首相に迫った。
首相は「孫に付けを残さない強い決意で臨む」と答えたものの、その方法については、成長戦略で税収増を図るとして従来の見解を繰り返しただけで、無駄遣いの温床となっている官僚機構については踏み込まなかった。
柳澤議員は続いて、無駄遣いの典型として静岡市でのタウンミーティングを取り上げ、契約と実際の請求で、例えとして契約では警備員が10人、1人につき1万5000円となっているのが、請求書では32人、48万円となっていることなどを示し、「そのまま払ったのか」と詰問した。内閣府の山本官房長は「内閣府が10人というモデル人数を示したもの。実際には32人」と答え、契約の意味を成さない、契約を結んでいたことを暗に認めた。
柳澤議員は、無駄遣いではなく不正だとしてうえで、「自分のお金と思わずにジャブジャブ使う。金銭感覚が麻痺している」と指摘し、「もったいないという言葉がない。官僚の仕組みを変えなければならない」と指弾して質問を終えた。
|
|
|
|