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2006/12/13
歴史を学ぶことの重要性指摘 プラトン1周年シンポジウム開催


 公共政策プラットフォーム「プラトン」(代表理事:藤井裕久前衆議院議員)の設立1周年記念シンポジウムが13日夜、都内で開催され、民主党の鳩山由紀夫幹事長が挨拶を行った後、歴史を学ぶことの重要性などについてパネリストが活発な議論を展開した。

 この中で鳩山幹事長はまず、「これまで尽力された全ての皆さま方に、プラトン1周年、心からお祝い申し上げる」と祝意を表した。そして、近現代史の研究などを進めてきたプラトンの実績を高く評価しつつ、日本という国が、様々なことで責任の所在を曖昧にしてきた面もあると指摘。歴史を学ぶことの重要性を強調した。同時に鳩山幹事長は、「政党政治を行う人間にとって、近現代史をしっかりと知らないとものを言うことはできないのではないか」とも指摘し、今回のシンポジウム開催の意義を改めて語った。

 「歴史に学ぶ政党政治」と題された今回のシンポジウムは、飯尾潤政策研究大学院大学教授をコーディネーター兼パネリスト、岩見隆夫毎日新聞社特別顧問、宮台真司首都大学東京准教授、藤井裕久代表理事をパネリストとして、開催された。

 岩見特別顧問は、歴代首相の著作において、歴史に関わるような記述がほとんど皆無であることを指摘しつつ、歴史を直視することの重要性を強調。民主党が、政党として初めて近現代史調査会を立ち上げ、その後も研究を進めたことも取り上げて、「歴史学習の政治的な運動を精力的に進めるべきだ」などと語った。

 宮台准教授は、今の若い世代が、日の丸、君が代などを戦前的なるものの象徴としてとらえているのではなく、戦後的なもののシンボルだと考えていると指摘。現在は、「社会的であることの証」としてナショナリズムがあるとの分析を語った。そして、間違ったナショナリズムを主張しているのが自民党であり、正しいナショナリズムを主張しているのが民主党だ、といった位置に民主党は立つべきではないか、などの見方を示した。

 藤井代表理事は、自らの戦争体験を語りつつ、「戦争を知っている人間が社会の中核である限り、日本は安全だ」、「戦争を知らない世代になっても、勉強して貰えばそれで良い」との田中角栄元首相の言葉を紹介。日本の過去はみんな正しかったとする偏狭なナショナリズムも、日本の過去はみんな暗黒だったとするマルクス的な歴史観も、歴史的事実を歪曲し結論を先に出すことで類似しているとし、排除されるべきだと厳しく指摘した。

 更に藤井代表理事は、歴史を客観的に学ぶことの重要性を語り、日本が過去に侵略したのはよその国を軽蔑したからだとして、健全なナショナリズムは非常に大事だと述べた。安倍首相の政治姿勢にも藤井代表理事は触れ、「偏ったことを言うのが保守だと思っている」が、その保守の概念が間違っているなどと厳しい評価を下した。

 飯尾教授はこれらの意見表明を受け、いわゆる歴史認識ばかり語るのではなく、こうした議論が重要だと語り、パネリスト間で更に議論が深められた。
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