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2006/12/15
民主党など野党四党、安倍内閣不信任案と麻生外相不信任案提出




 民主党をはじめとする野党四党は15日午前、安倍内閣不信任決議案及び麻生外務大臣不信任決議案を提出した。

 民主党はこの日早朝から、緊急の役員会、常任幹事会を開催。その後、高木義明国会対策委員長らが議長室に赴き、河野衆議院議長に両不信任案を提出した。高木国対委員長らは提出後に国会内で記者会見を行い、両決議案を提出するに至った理由を説明した。

 安倍内閣不信任決議案、外務大臣麻生太郎君不信任決議案の提出理由は、それぞれ以下の通り。


(安倍内閣不信任案 提出理由)

 安倍内閣が発足してから、わずか二ヶ月半。わが国の未来は惨憺たるものになりつつある。その最たるものは「教育基本法」政府案である。
 衆議院では中央公聴会の当日に強行採決、参議院では、与野党の合意がないままに質疑を打ち切り採決を強行した。しかもこの強行は、タウンミーティングでの「やらせ」による世論誘導の暴挙である。またこのタウンミーティングで、国民の血税が浪費されている実態が明らかになったことは重大である。
 「いじめ」や「未履修」問題など、何一つとして対応策が示されない中で、わが国の未来を担う子どもたちに重く暗い影がさしている。
 こうした中、安倍内閣は、「いざなぎ景気」を超えたという空しいキャンペーンを行っているが、消費は一向に上向かず、国民には景気回復の実感が全くない。また、北朝鮮による核実験の実施宣言が行われ、北朝鮮の核保有に対する国際的な懸念・批判が高まる中で、麻生外務大臣があろうことか、「核武装の議論」の必要性を繰り返し発言し、国内外の批判を浴び、日本の国際的な信用を著しく失墜させたにもかかわらず、安倍総理は、麻生外務大臣を罷免するでもなく、発言を容認する無責任な姿勢に終始した。
 加えて、安倍総理はイラク戦争について、米国や英国でさえ評価を変える中で、頑なに戦争支持の姿勢に固執しているが、久間防衛庁長官は、これに否定的な発言を行うなど、閣内不一致を露にしている。安倍内閣は発足わずか二ヶ月半にして閣内はバラバラである。
 さらには、国民の間に広がる「格差問題」である。この問題は、安倍内閣の下で一段と拡大傾向を見せている。生活保護世帯の増加、ワーキングプア層といわれる新たな貧困層の拡大、さらには、九年連続で自殺者三万人を超えるなど、今日、格差問題は、わが国の根幹を揺るがす重大な社会問題となっているが、安倍内閣は発足以来、これに対して何ら有効な対応策も示していない。
 いま安倍内閣に対する国民の批判は一段と高まっている。政府・与党により国民に負担増を強いる数々の愚策が実施される中でのことでもある。最早、支持率もジリ貧状態の安倍内閣に存在価値はない。安倍内閣に残された役割は一日も早く退陣して、苦境に喘ぐ国民の痛みを和らげることである。よって、ここに一刻も早い安倍内閣の退陣を強く求める。
 以上が本決議案を提出する理由である。


(外務大臣麻生太郎君不信任案 提出理由)

 わが国は、世界で唯一の被爆国であり、世界の核軍縮・核廃絶をめざし、「非核三原則」を国是としている。そして今日まで、核不拡散と原子力の平和的利用の推進を外交の基本方針の一つに掲げ、政府、議会、国民が一体となって確固たる姿勢を貫き、核不拡散条約(NPT)のもとで、非核保有国として核の不拡散と核保有国に対する核廃絶を訴え続けてきた。また国会においては、核実験等に断固反対し、核廃絶を求める決議を度重ねて行っている。
 しかるに麻生外務大臣は、衆参両院において「核武装の議論」の必要性を繰り返し発言した。これは国会決議に背き、国是を否定するものである。しかも、北朝鮮による核実験強行に対して、国連を中心にその核放棄にむけた懸命の外交交渉が続けられている最中の発言であり、国際社会の努力に水をさすものである。
 与党政策責任者である中川昭一政務調査会長とともに麻生外務大臣がかかる発言を重ねて行ったことは、米国やアジア近隣諸国など国際社会から、わが国の方針変更に向けた動きとして懸念を持って受け取られている。
 安倍内閣は非核三原則の堅持を表明しているが、その言に照らせば、麻生外務大臣の一連の発言は内閣の基本方針からの明らかな逸脱である。
 本来ならば、麻生外務大臣自身が国内及び国際社会への重大な影響を真摯かつ深刻に受け止め、自ら外務大臣の職を辞すべきところであるが、麻生外務大臣にはそうした姿勢は微塵もない。
 よってここに、麻生外務大臣の罷免を強く求め、決議案を提出する。
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