ニュース
ニュース
2007/02/07
【衆院予算委】枝野議員、周産期医療の改善等の必要性を強調


 民主党・無所属クラブの枝野幸男議員は7日、少子化問題に関する集中審議が行われた衆議院予算委員会で質問に立ち、問題発言が相次ぐ柳澤厚生労働大臣の認識を質すとともに、産科医師不足の実態、横浜無資格助産事件、生殖医療の問題、産みたくても産めない男女への社会的サポート、嫡出推定の矛盾点などについて議論した。

 枝野議員はまず、柳澤厚労相の発言を改めて取り上げ、そもそも何に謝罪しているのかを質問。柳澤厚労相は「私が使った表現が不適切。女性をはじめ国民のみなさまの心を傷つけた」と答弁。安倍首相も「不適切であった。私からもお詫びする」などとした。
 
一連のやり取りのなかで枝野議員は、「女性を産む機械としたことだけ」を謝罪するに留まっている厚労相はじめ安倍首相の姿勢を問題視し、その表現の背景にある基本認識と自分たちの感覚とのズレに国民が怒っているのが実態だとした。安倍内閣の視点が、社会政策においても経済政策同様、マクロをベースにしている点にそもそもの誤りがあることを指摘し、「社会政策はミクロに目を向けないと本質がずれてしまう」と提起した。

 ミクロの視点重視の認識に立つべき問題として枝野議員は、産科医師不足の問題にも言及し、産科・外科医の減少傾向に歯止めがかからない実態を浮き彫りにした。厚労相は「その通り」としたが、拠点病院に搬送して対応するなど、医師不足に対しては医療のネットワーク化で対応できるとの認識を示した。枝野議員は、「その現状認識が産科に通っている人の実感からずれる」として、それもまたマクロからの発想だと厳しく指摘した。
 
 そのうえで枝野議員は、福島県立大野病院で腹式帝王切開術を受けた女性が死亡し、担当医師が業務上過失致死で起訴された事件を取り上げた。診断がきわめて難しく、治療の難度も高い医療行為に対し、最善を尽くした医師が起訴されたことを問題視し、「これ事件を放置しておいたら、リスクのある医療に従事する医師はいなくなる」と指摘。処罰に値するかどうか、厚生労働省と法務省と協議・検討する必要があるとした。

 あわせて、横浜無資格助産事件も取り上げ、起訴猶予理由で「構造的問題」とされたように、助産師不足が恒常化している実態を指摘。この判決はまさに厚生労働省の怠慢を指摘しているものだとも述べ、資格者養成に向け、早急に着手するよう求めた。

 さらには、今回の柳澤厚労相の発言同様、日本社会全体にはびこる悪しき通念をなくしていく必要性を指摘。その一つとして、善意の発言であっても「子どもはまだ?」と聞く行為が人によっては精神的苦痛へと繋がるものであるとの認識などが周知されるよう、政府としてキャンペーンを実施するなど、「産みたくても産めない男女に対する社会的サポート」を政府として前向きに取り組んで行くよう、首相と厚労相に要請した。
記事を印刷する