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2007/05/08
【衆院本会議】真の年金改革につながる党年金信頼回復法案を質疑




 衆議院本会議で8日、民主党提出の年金信頼回復3法案および政府提出の日本年金機構法案等の質疑が行われ、民主党・無所属クラブを代表して長妻昭議員が質問に立ち、「答弁が不十分であれば再質問する」と宣言し、民主党案提出者の山井和則議員はじめ安倍首相らの認識を質した。

 長妻議員は冒頭、日本の年金制度は欠陥があると認めることからすべてが始まると指摘。そのうえで年金不信を増大させる原因に社会保険庁(社保庁)の問題があると言及し、「民主党はかねてより年金保険料は税金といっしょに集める、社保庁は国税庁に吸収合併する歳入庁がベストであると提言してきた」と主張した。それに対して政府は昨年、「ねんきん事業機構法案」という看板の架けかえ策を提示してその本質をつかれて撤回したにもかかわらず、またしても社保庁を特殊法人に衣替えするにすぎない「日本年金機構法案」を提出してきた実態を浮き彫りにした。

 「これでなぜ未納が減り、年金の信頼回復ができるのか意味不明である。特殊法人にして成功した事例があれば具体的な名前を教えてほしい」と首相に答弁を求めるとともに、こうした実態の背景には、厚生労働省や社保庁が、天下り団体を養う原資でもある年間21兆円もの保険料徴収権限を手放したくないとの抵抗があったことを明らかにした。 

 こうした指摘に安倍首相は、平成19年度の改正について「制度を持続可能なものとするために行った」「全体として年金財政は好転している」などと現実を直視しない答弁を繰り返したうえ、特殊法人については「目的に対応する効果をあげている」などとした。

 長妻議員はまた、社保庁は年金記録相談の中で納付記録に漏れがあるとして訂正を求めた1万858人に対して記録がないとして申し出を脚下。その結果、救済されたのは領収書を保管していた86人にすぎなかったことを指摘。「130人に1人しか救済されていない」として再調査の必要性を強調した。そうした現実をふまえ、「社保庁の納付記録は消えることがあり得る」と加入者に注意喚起したうえ、年金加入履歴を送付しての確認を行い、基礎年金番号による徹底した一括統合を進めるべき点を問題提起した。

 さらに長妻議員は、政府案について「これまで以上に流用を可能とするものだ」との見方を示し、「利便の向上に資する情報提供」「年金教育・広報」「年金相談その他の援助」とする条文を問題視した。

 民主党案ではこうした問題点解決につながることを法案提出者の山井議員は答弁。歳入庁設置法案では低下している納付率、加入率の引上げを目的としているうえ、年金加入者の利便性から考えても大きな利点があることを明らかにした。さらに、「消えた年金記録・被害者救済法案」「年金保険料流用禁止法」は現行制度が抱える問題回避につながる実効性があることを明らかにした。
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