民主党・新緑風会の鈴木寛議員は、参議院文教科学委員会で22日午後質問に立ち、安倍首相に教育再生への認識を質した。
鈴木議員はまず、教育再生の王道は、優秀な人材確保とその能力を十分発揮させることであるとの考えを明示。そのうえで、政府案の「教員免許に10年の有効期間を設け、30時間の講習を受けさせる」という規定では、「教員の資質・能力の抜本的な向上には不十分である」と指摘した。教育世界一のフィンランドを例に挙げながら、民主党の「教員免許改革法案」が掲げる(1)教育養成の修士レベルへの引き上げ(2)教育実習の強化の必要性を説いた。これに対し安倍首相は、「教育養成の改善」の必要性は認めるものの、財源確保、指導体制の構築など実現のためには課題が多く「検討が必要である」と述べるにとどまった。
鈴木議員はまた、2005年に小泉政権下で作られた「行政改革推進法」について言及。国立大学法人、公立学校について、教職員総数の純減、人件費の総額5%以上のカットなどが、「教育改革の足かせになっている規定である」と述べ、見直しを迫った。しかしながら安倍首相は、「教育の分野のみ直ちに変革することはできない」と答え、教育改革に対する熱意は何ら感じられなかった。
鈴木議員はさらに、「日本はOECD諸国で教員一人当たりの生徒数が最低レベルである」と指摘。行政改革推進法における教員数削減についての規定が、標準法で定められている教員定数と抵触する可能性も示唆し、改善を求めた。安倍首相は「教員数と学力は必ずしも比例しないと」として、教員確保よりも学力優先の見地から教育再生を、との認識を露呈させた。
最後に鈴木議員は「(教育改革において)工夫には限界がある」として、「ある程度の人員と予算確保は不可欠である」と主張。財源の確保をはじめとする首相のリーダーシップを要請した。
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