「政治とカネ」をめぐる集中審議が行われた衆議院予算委員会で23日午前、長妻昭議員が質問に立ち、消えた年金記録の問題を取り上げ、被害者救済を最優先にして手だてを講じるよう、前向きな姿勢を全く見せない柳澤厚生労働大臣らに繰り返し求めた。
「安倍内閣のもうひとつの解決しなければならないカネの問題」として、消えた年金納付記録の問題を取り上げた長妻議員は、社会保険庁が管理する年金保険料納付記録のうち、誰が支払ったものかわからない記録が5095万件にものぼることを明らかにした。これは平成9年に基礎年金番号が全国民に付された折、複数の年金制度に加入していた人の納付実績の基礎年金番号への一本化(統合)を国は進めたが、だれがものか判明できないまま放置されている記録がこれほど膨大な数にのぼるというもの。
こうした実態を踏まえて長妻議員は、問題解決に向け、民主党は「消えた年金記録」被害者救済法案を提出したと説明するとともに、納付額に見合った支給が行われていない場合、本人が申請しない限り納付額は改められないのが実態であることを明らかにした。さらには、納付金額に見合った正しい給付額が支給されていないと主張しても、納付証明記録が手元に残されていない場合、支給額は改められないなどの問題点を列挙。実際に「自分の年金額は間違っている」として相談に訪れた相談者のうち、「130人に1人しか救済されていない」実態を長妻議員は指摘した。
打開策について「提言するので実行してほしい」として、長妻議員は現在年金を受給している受給者3065万人の氏名と宙に浮いた年金記録5095万件分のリストを照合し、氏名・生年月日が一致した人には問い合わせを行うべきと提言したが、柳澤厚労相は「本人の確認のもとに行う」などとして、基本的には本人からの申し出がない限り何ら手を打たないとの消極的な答弁に終始。しかし、長妻議員の粘り強い追及によって、「検討する」との答弁を引き出した。
長妻議員はまた「与野党の枠を越えて取り組むべき課題だ」として、被害者救済に全力で取り組んで行く考えを改めて表明して質問を締めくくった。
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