衆議院厚生労働委員会で25日、山井和則議員が質問に立ち、「消えた年金記録」問題を取り上げ、安倍首相に被害者救済策を講じるよう繰り返し厳しく迫った。
山井議員はまず、自らのミスではなく社会保険庁内の事務所間での引き継ぎの不備によって納付もれの期間があり、納付記録が見つかったときには「時効」の壁に阻まれて493万円もの損害を被った例、「30年前の領収書がない限り支払えない」と何度も門前払いされ打開策が見出せない例、夫婦の年金番号が連番で一緒に保険料を支払っていたにも係らず妻の記録だけが消えた例などを列挙。
そもそも時効については自らのミスではなく、社会保険庁側の問題である以上、「時効の適用除外であるはず」と山井議員は指摘。わざわざ議員立法の成立を待つまでもなく、「運用」で救済策を講じるべきだとした。同時に、30年も前の領収書など保管しているケースは稀であるとの認識に立ち、首相自身の保管状況を質すと首相も明言できなかった。
そのうえ首相は「法治国家なので法にのっとって対応しなければならない」などと答弁。さらに「杓子定規に領収書がなくてはダメというのではなく、丁寧に調査し、そのとき払っていたことを証明できるものがあればいい」などと、一見救済に前向きと思える考えを示したが、山井議員は「何か証拠がないと認められないということか」と重ねて追及。繰り返しの質問にも「ご本人の立場に立って、様々な資料に基づいて訂正を行う」などとあいまいに述べつつも、結局何らかの証明が必要との答弁が繰り返された。
山井議員は「払った人に証明させるのには限界がある」と述べるとともに、「消えた年金記録の問題は本人の落ち度ではなく社会保険庁の落ち度」である以上、物証がなくても概要性があれば給付すべきであり、実証責任も社保庁側にあると強調。この点への認識を質された首相は、度々声を荒げ、「山井委員はいろんな議論をごっちゃにしている」などと述べ、あくまでも同様の答弁を繰り返し、山井議員の「立証責任は本人か社保庁かただ1点質している」との繰り返しの問いにもはぐらかしに終始した。そうした首相の姿勢は「消えた年金の被害者を一番不安に陥れる。さらに議論に至らず強行採決されるようなことになれば、一番の年金不安を拡大させる」と最後に指摘し、質問を締めくくった。
|