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2007/06/09
菅代表代行ら、岡山のシンポジウムで林業再生策議論
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 民主党農林漁業再生本部 森林・林業再生プロジェクトは、菅直人代表代行(農林漁業再生本部顧問)を団長に岡山県を訪れ、シンポジウム「林業再生への提言〜21世紀は緑のエネルギーで生きる」に参加した。

 天野礼子氏の司会進行のもと行われたパネルディスカッションでは、パネリストとして菅代表代行、篠原孝『次の内閣』ネクスト農林水産大臣、姫井ゆみ子参議院公認候補、竹内典之(京都大学名誉教授・人工林研究)、地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業を行っている銘健工業の中島浩一郎社長が、自らの考えを主張した。

 まず竹内名誉教授が基調講演。「20世紀、目先の経済性・利便性を追求したことにより、様々な循環システムを破壊してきたことが森林の劣化を招いた」と分析。健全な森林を保全するためには生命体間のつながりを回復することが重要だとして、「森・里・海連関学」を世界に発信する必要性に言及した。

 続く基調報告で中島社長は、地元の木材などを使って発電し、冷暖房、給湯などにあてられることを示し、「地域ぐるみで有効に使い回す」ことの意義を主張。「再生可能なエネルギーは木材でしかない」と述べ、バイオマスの技術を「(銘健工業のある)真庭から岡山全体へ」と語った。

 竹内、中島両氏はそれぞれ民主党が同シンポジウムの席上で発表した「森と里の再生プラン」について、「自分たちがやってきた目的とずれていない」「問題意識で共通するところが多い」と評価。地球環境政策の観点のみならず、いかにして林業で雇用を生み出していくかなど様々な課題について活発な議論が展開された。

 菅代表代行は「孫子のために植えられた木が生かされていない」実態を憂い、「木材を通じて所得、雇用を発生させたい」と表明。「植物は地球を救う」として、植物の持っている可能性の偉大さに関する自説を唱え、石油の代わりにペレットを使用するなど、植物エネルギーによる技術開発を行うことの重要性を主張。「100万人雇用の創出」についても、林業・酪農・観光をうまく連携させているドイツを例に挙げ、「簡単ではないが夢ではなくうまく循環させれば可能である」と言明。そこにある素材を使うことが新たな雇用を生み出せるとの認識を示した。

 篠原議員は、技術のみならず経営的なことまで任せて管理するためには、「森林に関しては官的な要素が必要である」と表明。何でもかんでも官から民へ、自由化を進めることは森の危機につながる、との見解を表明。司会の天野氏も平成22年に林野庁が特殊法人化することで国有林の管理が一般会計から外れることに言及。篠原議員の見解に同調した。

 姫井氏は、15年前に海底の清掃をするためにダイビングの資格を取得したことに触れ、自身の経験から「海だけをきれいにすることはできない」と述べ、海をきれいにするためには川を、川をきれいにするためには山を、山を健康にするためには森林を元気にすることが必要である」として「生活環境の根本は森林にある」と言明した。

 姫井氏はまた「国全体を潤していくためには地域の特徴を生かした環境リサイクルを作っていき、さらに経済につなげていきたい」と語り、戦後の増林、輸入、規制緩和政策により木材の価格が下がっていることにも言及。「国の政策に翻弄されてきた結果がいまの格差社会ではないか」との見解を示し、「政策が失敗したら政権交代して再スタートすることが必要である」と述べた。「日本は正しい政治の循環ができていない」と指摘し、「循環型の社会は有権者しか作り直すことはできない」と呼びかけた。

 会場からの質問では、「森と里のプラン」に対して「自然林への復活」や林業に携わる「人材教育」を盛り込んでほしいとの要請も。菅代表代行、篠原ネクスト大臣ともに前向きな対応を約束。最後に菅代表代行は改めて「林業でやっていけるということを示すことが重要」との認識を述べ、そのための政策実現への決意を表明した。

 シンポジウムには300人が参加した。

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