民主党・新緑風会の工藤堅太郎議員は11日、参議院本会議で質問に立ち、「国家公務員法改正法案」について安倍首相に見解を質した。
工藤堅太郎議員はまず、参議院は「再考の府」として重要広範議案は最低でも20日をかけて審議する慣行を与野党が遵守してきたことを説明、会期末に安倍首相が強引に参議院送付したことについて「『消えた年金問題』への争点隠しではないか」と批判した。
「国家公務員法改正案」については、柱となっている新人材バンクがどのように再就職を斡旋するのか、具体的内容が明らかでないと指摘。各省庁による人材バンクへの関与も必要に応じて協力するという合意がもなされており、人材バンクならぬ「新天下りバンク」ではないか、と安倍首相の見解を質した。
工藤議員はまた、問題点として(1)公務員の天下りが必要悪となっている背景としての早期退職勧奨を廃止(2)天下りの事前規制の撤廃(3)役に立たない斡旋への罰則――などを列挙。民主党案ではこれらの問題点をすべてクリアしていることを明示し、「民主党案を政府与党は受入れるべきである」と、進言した。
最後に、「小細工せずに、長期的な観点から天下りが根絶されるような抜本的な公務員改革を」と要請し、工藤議員は質問を締めくくった。
これに対し安倍首相は、「人材バンクの設置による天下り規制」と「能力・実績主義の導入による人事管理の徹底」を繰り返し強調、民主党案については、間違った認識のもと的外れな答弁に終始した。具体的な内容は示されないままに「談合の温床になっている天下り廃止を求める国民の声に応え全力を挙げるのが政治家の使命である」と主張し、何が何でも通すという強引な姿勢だけが際立つ形となった。
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