衆議院本会議で14日、与党の政治資金規正法改正案に対する民主党提出の修正案、および与党の政治資金規正法改正案を議題に審議が行われ、民主党・無所属クラブの武正公一議員が民主党修正案の趣旨説明を行い、渡辺周議員が民主党修正案に賛成、与党改正案に反対の立場から討論を行った。
冒頭、民主党は与党よりも約3カ月も早い3月6日に、規制対象をすべての政治団体とし、1万円を超えるものに関する領収書添付を義務づけた政治資金規正法の改正案を国会に提出したことを武正議員は改めて表明。そのうえで、与党案について、(1)規制対象を資金管理団体に限定していること(2)不動産以外の株式等については取得制限を設けていないこと(3)収支報告書への支出明細の記載や領収書の添付義務づけを5万円以上としている点を挙げ、「抜け穴だらけのザル法だ」と批判した。
続けて「総務省には政治家の事務所への立ち入り調査権限がない以上、より一層の情報開示を、自ら説明責任を果たすとともに法的にも義務づけなくてはならない」と主張。そのうえで、民主党が提出した修正案では(1)政党以外の政治団体による不動産及び有価証券等の取得を制限することとしていること(2)与党案のように資金管理団体に限定せず、すべての政治団体に対して領収書添付が必要な支出額を「1万円超」としたこと(3)与党案のように政治団体に対して不動産取得だけを制限するのではなく、有価証券も含めて収支報告書に記載しなければならないとしたこと――などを列挙した。
与党案に反対し、民主党修正案に賛同の立場から討論を行った渡辺議員は、昨年12月、佐田前行政改革担当大臣が事務所費問題で辞任するなど、安倍内閣は発足早々、「政治とカネ」の疑惑まみれのスタートだったと指弾。だからこそ、政治不信を払拭するためには、「政治都とカネ」問題の抜本的解決に取り組まなければならないと指摘した。
そのうえで、そうした問題の早期解決に向けた民主党の取り組みを紹介。与党よりも3カ月も早く自らを律する実効性ある規制を盛り込んだ政治資金規正法改正案を提出し、その後与党が重い腰を上げてやっと提出した与党・改正案に対しては民主党修正案を提出するとともに、岡田克也・党政治改革推進本部長が石原・自民党党改革実行本部長、東・公明党政治改革本部長に対して文書で修正協議を呼びかけるなど、とにかく「政治とカネ」問題の解決に向け、真摯に取り組んできたことを改めて語った。
与党案への反対理由について渡辺議員は、(1)与党案にある領収書添付の義務付け基準額を1件5万円以上とする内容では、「明らかにしたくない」事務所費等の支出を領収書の分割で隠蔽される恐れがあること(2)与党案が資金管理団体だけを規制対象にしている点については、政治家が資金管理団体以外にも政治団体を保有している実態に鑑みれば、実効性に乏しい規制であること――などを指摘。「抜け穴だらけの規制の実効性が低い与党案に断固反対、政治団体の支出の透明度を飛躍的に向上させ『胸のすく』政治を確立できる民主党提出修正案に賛成する」と訴え、討論を締めくくった。
討論後に採決が行われ、与党改正案は賛成多数で可決、民主党の修正案は否決された。
|