鳩山由紀夫幹事長は8日、オーストラリア外務・貿易省副次官のピーター・グレー氏を党本部に迎え、FTA交渉、安全保障の問題などに関して意見交換した。
グレー豪外務・貿易省副次官は、「安全保障面では民主党とはいくらかの相違があるかもしれないが」と前置きしたうえで、FTA交渉開始にあたり、今後、困難があるかもしれないが、日本とのFTA成立に向け、前向きに考えているとした。
同時に、アフガニスタンへの増派を決定しているとのオーストラリアの方針も示され、「民主党には民主党の見解があると思うが、この問題に関してはアメリカ以外のオーストラリアなどの国々への影響があるということを申し上げておきたい」と語った。
また、イラクにおける自衛隊の活動への評価が示され、「日本が積極的な役割を果たすということを今後も続けてほしい」との要請があった。
これに対して鳩山幹事長は、「日米関係は重要と認識している」と語ったうえで、「それだからこそ、アメリカの対イラク政策、対アフガニスタン政策が本当に正しいかどうかという検証を日本が行わなければならない」と強調。同時にこの数年間で2度アフガニスタンを訪問した経験に基づき、セキュリティ面では危険な方向に動いているとの印象を示し、「平和な方向に導くことに成功していないのではないかと心配している」と語った。
また、自衛隊の海外活動に関する具体的な効果について防衛省や外務省から明確な情報が示されていない点を指摘。「むしろ国際社会が国連などを通じて行っているPKO活動など、国際的な環境のなかで日本が果たすべき役割があるのではないかと思う」と語り、米国の求めに応じた行動ではなく、国連や国際社会との協力のなかで、支援を受ける国にとって最も望ましいものを日本独自の目で判断することが大事だと強調。「そういう点から私どもは、テロ特措法の延長問題を考えていきたいと思っている」と述べた。
FTA交渉に関しては、民主党は前向きな主張を行っている立場だと説明。しかし、その前提には関税の撤廃によって日本の農家が成り立たなくなるといった状況に陥ることはあってはならないとの認識を示し、「欧米型の農業に対する『戸別所得補償制度』の創設」が大前提であることを強調した。
なお、山口壯『次の内閣』ネクスト外務大臣、近藤洋介ネクスト経済産業大臣も同席した。
|