民主党
1 基本認識
「イラク特措法」に基づくイラクへの自衛隊の派遣は反対である。在イラク大使館の奥参事官、井ノ上書記官両名が犠牲となられたことは、痛恨の極みであり、衷心よりご冥福をお祈りする。この事件等も踏まえ、改めて以下の諸点を厳しく検証すべきである。
* 戦争の大義、大量破壊兵器の脅威に関する情報操作疑惑
* 政府の情勢認識及び安全確保の見通し、悪化するイラクの治安、内外世論の動向
* イラク国民による政権樹立、新たな国連決議の動向
* 政府の説明責任及び日本人外交官の犠牲に対する小泉総理等の政治責任
2 日米同盟
民主党は、日米同盟を日本外交の基軸とするが、ブッシュ政権の意向を丸呑みする小泉外交には反対である。ブッシュ政権を国際協調の枠組みに引き戻し、国連主導による復興支援を追求すべきである。北朝鮮問題との過剰なリンケージは、継続中の六者協議の実態を無視するものである。
3 イラク特措法の問題点
(1)戦争の大義が問われており、米英等の占領から、国連主導による統治形態への変更なしには、自衛隊派遣に対する正当性は生まれない。
(2)「イラク特措法」が想定する「非戦闘地域」の枠組みは、相手方の攻撃により一瞬にして「戦闘地域」に変わり得るなどの問題があるばかりでなく、海外における武力行使を禁じる憲法に抵触する恐れもある。
(3)「イラク特措法」の枠組みは、完全に破綻しており、同法の廃止を含めた見直しが必要である。
4 新たな復興支援の枠組み
(1)国連主体の復興支援、イラク国民への速やかな主権移譲が重要である。フランス・ドイツや周辺諸国の積極的な関与を含め、国際社会が一致して協調できる新たな国連安保理決議の採択やイラク国民による政府が樹立に向けた外交努力を強化する。
(2)国際社会が一致して協調できる新たな国連決議の採択、またはイラク国民による政権樹立に至った場合には、イラクへの復興支援のあり方の見直しが必要である。この場合、イラクの治安情勢を踏まえ、わが国の主体的判断に基づき、憲法の範囲内でPKOの派遣基準を緩和するなど、自衛隊の活用も含めた支援に取り組むべきである。
(3)民主党は、医療・教育・経済分野等を中心に、国際協力機構(JICA)、非政府機関(NGO)等と連携を促進するための取り組みを強化する。財政支援の実施に当たっては、50億ドルの積算根拠、拠出先・使途・運用等についての説明責任が前提となる。
以 上
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