民主党
1. 基本認識
* 民主党は、イラクの大量破壊兵器問題には、徹底的な国連査察の実施を通じた武力行使によらない平和的解決を訴えてきた。
* 民主党は、イラクに対し累次の国連決議を遵守し、とくに大量破壊兵器に関する疑惑を完全に払拭するよう強く求める一方、米国等に対し国連憲章に定める武力行使の原則に則り単独主義的な行動はとらないよう重ねて自制を促してきた。
* 民主党は、ブッシュ政権等が国連安保理での問題解決を放棄し、武力行使に至ったことは、断じて容認できない。しかし、フセイン政権が事実上崩壊した現在、政府は、イラク国民がこれ以上の災禍に見舞われることを回避するためにも、国連や地域諸国が中心となったイラクの復興を働きかけていくべきであると考える。
* 民主党は、イラクそして中東に平和と安定を構築するには、中東和平の前進が極めて重要と認識し、国連や関係各国に対し、中東和平のロード・マップの提示を政府が強く呼びかけていくべきものと考える。
* 日本は、シリア、ヨルダン、トルコなどイラクの周辺諸国の安定化に努め、アラブ諸国との関係を強化すべきである。同時に、「文明間の対話」の促進にイニシアティブを発揮するとともに、イスラエルの安全確保とパレスチナ国家の建設を側面支援し、このような信頼醸成への取り組みを通じて、国際社会と連携しつつ、中東の人々の自立と共生に向けた環境を作っていくべきである。
2. ORHAを通じての文民による協力等
* 民主党は、米軍等による占領行政に反対し、これに一刻も早く終止符を打ち、新たな国連決議をはじめ、国連の関与に基づく暫定政権がイラク国民により速やかに設置されるべきであるとの立場に立つ。
* 戦争による死傷者の発生、食料難や電力不足など、困難に直面するイラク国民を放置すべきではなく、人道的見地からも、イラクの復興支援には、医療支援等、出来ることから主体的に取り組んでいくべきであると考える。
* その際、在イラク日本大使館の再開等を通じ、早期に我が国の情報収集体制などを確立するとともに、国連をはじめとする国際機関や、フランス・ドイツ等を含めた諸国による国際協調、及びNGOとの連携を強化する中で、復興支援活動が取り組まれる体制の構築を積極的に働きかけていくことを政府に強く要請する。
* しかし、米国防長官の指揮下にある「復興人道支援室」(ORHA)による占領行政から、イラク国民による暫定政権の樹立、そしてこれが機能するまでに、現実的にはタイムラグがあるため、この間、日本のORHAを通じた文民による協力を現時点では、以下の諸点に留意し、実施することはやむを得ないと考える。
(1)日本からの協力人員は、日本政府の指揮命令系統に置くことを明確にし、オブザーバー参加等、出張の形式をとるべきこと。
(2)法的側面、とくに憲法9条で禁じる「交戦権」規定を慎重に解釈する見地から、「武力行使との一体化」との評価につながることがないよう協力人員は、文民に限るべきこと。
(3)協力人員の安全確保に万全を期すとともに、イラク国内情勢、とくに治安情勢を慎重に判断し、情勢如何によっては、速やかに派遣を中止すべきこと。
(4)ブッシュ政権のORHAに対する具体的方針や米英軍の関与のあり方、その期間等に関する見通し、日本からの協力人員の役割等について、政府が国民に説明責任を果たすこと。とくに、外務大臣は、協力人員の活動等に対し、定期的なレビューを行い、国会に報告を行うこと。
以上
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