第一 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部改正
一 目的規定の改正
計画流通制度の廃止等に伴い、米穀の計画的な流通を確保するための措置を講ずることとしている規定を改め、米穀の適正かつ円滑な流通の確保に関する措置を講ずることとするとともに、生産者の所得の確保に係る措置を講ずることとし、あわせて、この法律の目的として、主要食糧の自給率の向上及び主要食糧の生産活動が有する主要食糧の供給の機能以外の多面にわたる機能の充実に寄与することを追加するものとすること。 (第一条関係)
二 基本方針
「米穀の需給の均衡を図るための生産調整の円滑な推進」の部分を削除するものとすること。(第二条第一項関係)
三 基本指針
1. 基本計画を、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(以下「基本指針」という。)に改めるとともに、基本指針においては、米穀の生産の目標その他生産調整に関する事項、並びに計画出荷数量及び計画流通数量に係る事項を定めないものとすること。
2. 農林水産大臣は、基本指針を定めようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。
3. その他基本指針について必要な事項を定めるものとすること。(第四条関係)
四 生産調整方針
1. 米穀の生産者又は出荷の事業を行う者の組織する団体その他政令で定める者(以下「生産出荷団体等」という。)は、米穀の生産の調整に関する方針(以下「生産調整方針」という。)を作成することができるものとすること。 (第五条第一項関係)
2. 生産調整方針においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
(1) 生産調整方針に従って米穀の生産を行う者に係る米穀の生産数量の目標(以下「生産数量目標」という。)の設定方針
(2) 生産数量目標を達成するためにとるべき措置 (第五条第二項関係)
3. 国は、生産調整方針を作成しようとする生産出荷団体等に対し、その作成及び適切な運用のために必要な助言及び指導を行うように努めるものとすること。 (第六条関係)
4. 生産出荷団体等は、生産調整方針の作成及びその適切な運用のため、地方公共団体に対し、必要な協力を求めることができるものとするとともに、協力を求められた地方公共団体は、生産調整方針の作成及びその適切な運用がその地方公共団体の区域の特性に応じた農業の振興に資すると認めるときは、必要な助言及び指導を行うように努めるものとすること(第七条関係)
五 米穀安定供給確保支援機構
1. 農林水産大臣は、米穀の安定供給の確保を支援することを目的として設立された民法第三十四条の法人その他営利を目的としない法人を、その申請により、全国を通じて一個に限り、米穀安定供給確保支援機構(以下「機構」という。)として指定することができるものとすること。(第八条関係)
2. 機構は、次に掲げる業務を行うものとすること。
(1) 米穀の生産を行う者に対し、その生産した米穀を在庫として保有する措置の実施のために必要な資金に充てるため、農林水産省令で定めるところにより、無利子の資金の貸付けを行うこと。
(2) 米穀の安定供給の確保に資する売買取引に係る米穀の買受けに係る債務(当該債務の履行に必要な資金の借入れに係る債務を含む。)を保証すること。
(3) (1)及び(2)に掲げる業務に附帯する業務を行うものとすること。 (第九条第一項関係)
3. 機構は、2の業務を行うほか、2の(1)による貸付けに係る貸付金の弁済に代えて取得した米穀を政府に売り渡すものとすること。 (第九条第二項関係)
4. 機構は、農林水産大臣の認可を受けて、2の(1)及び(2)に掲げる業務の一部を金融機関に委託することができるものとすること。 (第十条関係)
5. 政府は、機構に対し、2の(1)に掲げる業務に要する資金の一部を無利子で貸し付けることができるものとすること。 (第十七条関係)
6. その他機構に係る業務規程、事業計画、区分経理、改善命令、指定の取消し等に関し所要の規定の整備を行うものとすること。 (第十一条から第十六条まで関係)
六 米穀価格形成センター
1. 自主流通米価格形成センターについて、その名称を米穀価格形成センター(以下「センター」という。)に改めるとともに、センターにおける売買取引の対象を米穀一般に拡大すること。また、複数のセンターの設置を認めるとともに、民法第三十四条の法人以外の営利を目的としない法人を指定対象に追加するものとすること。 (第十八条関係)
2. センターにおいて売買取引を行うことができる者を、米穀の買入れ又は売渡しの業務を適確に遂行するに足りる資力信用を有しない者その他業務規程で定める者以外の者とするものとすること。(第二十一条関係)
3. センターにおける売買取引について、入札の方法に限らず、その他業務規程で定める方法により行うことができるものとすること。 (第二十二条関係)
4. その他所要の規定の整備を行うものとすること。 (第十九条関係)
七 米穀の政府買入れ及び政府売渡し等
1. 政府は、米穀の備蓄の円滑な運営を図るため、農林水産省令で定める手続に従い、基本指針に即して、国内産米穀の買入れを行うものとすること。 (第二十九条第一項関係)
2. 政府は、機構から、五の3による米穀の売渡しの申込みがあった場合には、政令で定めるところにより、当該米穀の買入れを行うものとすること。(第二十九条第二項関係)
3. 政府は、2により機構から買い入れた米穀又は当該米穀以外の米穀であって農林水産省令で定める期間在庫として保有したものについて、主食としての用途以外の用途に供するために、農林水産省令で定めるところにより、売渡しその他の措置を講ずるものとすること。ただし、米穀の供給が不足した場合その他の農林水産省令で定める場合は、この限りでないものとすること。(第二十九条第三項関係)
4. その他所要の規定の整備を行うこと。(第三十条及び第三十一条関係)
八 緊急時の措置
1. 緊急時において、農林水産大臣は、基本指針を変更し、地域別及び期間別の米穀の供給目標数量を追加して定めなければならないものとすること。(第三十七条関係)
2. 緊急時における米穀の売渡命令等について、所要の規定の整備を行うこと。(第三十八条及び第三十九条関係)
九 生産者の所得の確保に係る措置
1. 政府は、主要食糧の生産者の所得を確保するため、政令で定めるところにより、主要食糧の生産のために現に利用されている農地の面積を基準として算定した金額を主要食糧の生産者に支払うために必要な交付金の交付に関する措置を講じなければならないものとすること。 (第四十七条第一項関係)
2. 1の政令においては、支払の対象となる生産者の範囲、支払うべき金額及び交付金の交付の対象となる者その他の1の措置に関する必要な事項について定めるものとすること。(第四十七条第二項関係)
3. 政府は、毎年、1による措置の実施状況を公表するものとすること。 (第四十七条第三項関係)
4. 政府は、1の措置を講ずるに当たって、広報活動等を通じて、主要食糧の安定供給の重要性及びその生産活動が有する主要食糧の供給の機能以外の多面にわたる機能に関する国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるものとすること。 (第四十七条第四項関係)
十 届出
1. 米穀の出荷又は販売の事業(その事業の規模が農林水産省令で定める規模未満であるものを除く。)を行おうとする者は、あらかじめ、主たる事務所の所在地等を農林水産大臣に対して届け出なければならないものとすること。 (第四十八条関係)
2. 1の届出をした者は、帳簿を備え、これを保存しなければならないものとすること。(第四十九条関係)
十一 罰則
罰則に関し所要の規定の整備を行うこと。(第五十六条から第六十三条まで関係)
第二 食糧管理特別会計法の一部改正
食糧管理勘定において、第一の五の2の・の無利子の資金の貸付けに係る償還金を歳入とするとともに、機構に対する貸付金を歳出とすること。 (第六条関係)
第三 農産物検査法の一部改正
一 生産者が計画流通米の売渡し等を行おうとするとき、及び米穀を輸入した者がその輸入した米穀を政府に売り渡そうとするときにおける品位等検査の受検義務を廃止すること。(第三条及び第四条関係)
二 農産物検査を行う場所について、登録検査機関の登録事項としないこととすること。(第十七条関係)
第四 附則
一 この法律は、平成十六年四月一日から施行するものとすること。ただし、二に掲げる規定等については、公布の日から施行するものとすること。 (附則第一条関係)
二 基本指針に関する経過措置
1. 農林水産大臣は、この法律の施行前においても、基本指針を定め、これを公表することができるものとすること。この場合においては、地域別の米穀の生産の目標数量を追加して定めるものとすること。 (附則第二条第一項関係)
2. この法律の施行の日から起算して二年を超え四年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、基本指針において、地域別の米穀の生産の目標数量を追加して定めるものとすること。(附則第二条第三項関係)
三 その他所要の経過措置等について定めること。(附則第三条から附則第七条まで関係)
四 その他関係法律について廃止及び所要の改正を行うこと。
|