持続的養殖生産確保法(平成十一年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。
題名の次に次の目次及び章名を付する。
目次
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 養殖漁場の改善(第四条―第九条)
第三章 特定疾病のまん延の防止等(第十条―第十三条)
第四章 雑則(第十四条―第二十条)
第五章 罰則(第二十一条―第二十四条)
附則
第一章 総則
第一条中「漁業協同組合等による養殖漁場の改善を促進する」を「養殖漁場の改善の」に改め、「養殖業の」の下に「健全な」を加える。
第二条第一項中「生ずる物質」の下に「又は使用される薬剤」を、「のため養殖水産動植物の生育」の下に「その他養殖漁場水域(養殖漁場及びその周辺の水域をいう。以下同じ。)における水産動植物の生育環境の保全」を加え、「又は水底」を「若しくは水底」に改め、「防止」の下に「又は薬剤の使用の制限若しくはその影響の緩和」を、「を養殖水産動植物の生育」の下に「その他養殖漁場水域における水産動植物の生育環境の保全」を加え、同条第三項中「防止し、」の下に「環境との調和のとれた」を加える。
第十条及び第十一条を削り、第九条を第十一条とする。
第八条の見出しを「(特定疾病のまん延の防止のための命令)」に改め、同条を第十条とする。
第七条を削る。
第六条第一項及び第四項中「第四条第二項第三号」を「第七条第二項第三号」に改め、同条を第九条とし、同条の次に次の章名を付する。
第三章 特定疾病のまん延の防止等
第五条を第八条とする。
第四条第一項中「漁業協同組合その他の漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六条第二項に規定する区画漁業権(これを目的とする入漁権を含む。)を有する者(以下「漁業協同組合等」という。)」を「漁業協同組合等」に、「養殖漁場の改善に関する計画(以下「漁場改善計画」という。)」を「漁場改善計画」に改め、同条を第七条とする。
第三条の次に次の章名及び三条を加える。
第二章 養殖漁場の改善
(養殖漁場水域調査)
第四条 都道府県知事(漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百三十六条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行う場合にあっては、農林水産大臣。第七条及び第八条を除き、以下同じ。)は、農林水産省令で定める基準に従い、必要があると認めるときは、養殖漁場水域を指定して、当該養殖漁場水域における水質その他の水の状態、水底の底質及び水産動植物の生育環境並びにこれらに影響を与えていると考えられる要因に関する調査(以下「養殖漁場水域調査」という。)を行うものとする。
2 農林水産大臣は、前項の農林水産省令を制定し、又は改正しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
3 都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、第一項の規定による養殖漁場水域調査の結果について、農林水産大臣に報告しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定により養殖漁場水域調査の結果について報告を受け、又は第一項の規定により自ら養殖漁場水域調査を行ったときは、当該養殖漁場水域調査の結果を公表しなければならない。
(薬剤の使用状況の報告)
第五条 都道府県知事は、漁業協同組合その他の漁業法第六条第二項に規定する区画漁業権(これを目的とする入漁権を含む。)を有する者(以下「漁業協同組合等」という。)であって当該区画漁業権に係る養殖漁場が前条第一項の規定により指定された養殖漁場水域に含まれるものに対し、農林水産省令で定めるところにより、当該養殖漁場における農林水産省令で定める薬剤の使用状況について、報告を求めることができる。
2 前条第二項の規定は前項の薬剤に係る農林水産省令の制定又は改正について、同条第三項及び第四項の規定は前項の規定による報告の結果について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項中「前項の規定により養殖漁場水域調査の結果について報告を受け、又は第一項の規定により自ら養殖漁場水域調査を行った」とあるのは「第五条第二項において準用する第四条第三項の規定により第五条第一項の規定による報告の結果について報告を受け、又は同項の規定により自ら報告を受けた」と読み替えるものとする。
(養殖漁場の改善のための指示等)
第六条 都道府県知事は、第四条第一項の規定による養殖漁場水域調査又は前条第一項の規定による報告の結果に基づき、漁業協同組合等が基本方針に即した養殖漁場の利用を行っておらず、養殖漁場の改善の必要があると認めるときは、当該漁業協同組合等に対し、養殖漁場の改善に関する計画(以下「漁場改善計画」という。)を作成し、次条第一項の認定を受けるべきこと又は給量の制限、飼育個体数の制限、薬剤の使用の制限その他の養殖漁場の改善のために必要な措置(第三項において「改善措置」という。)をとるべきことを指示することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定により指示を受けた漁業協同組合等がその指示に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
3 都道府県知事は、第一項の規定により指示を受けた漁業協同組合等が、正当な理由がなくてその指示に係る措置をとらなかった場合において、漁業調整その他公益のために必要があると認めるときは、漁業法第三十四条第一項若しくは第四項の規定により改善措置に係る措置を講じ、又は改善措置をとるべきことを命ずることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定により漁業法第三十四条第四項の規定を適用しようとするときは、同項に規定する海区漁業調整委員会(同法第八条第三項に規定する内水面における養殖業については、内水面漁場管理委員会)の申請によらず、漁業権に制限又は条件を付けることができる。この場合においては、同法第三十四条第二項及び第三十七条第四項の規定を準用する。
第二十条を第二十四条とする。
第十九条第三号を削り、同条第二号中「第十条第一項」を「第十五条第一項若しくは第二項」に、「同項」を「これら」に改め、同号を同条第三号とし、同条第一号中「第八条第一項第三号」を「第十条第一項第三号」に改め、同号を同条第二号とし、同号の前に次の一号を加え、同条を第二十三条とする。
一 第五条第一項又は第十四条第一項若しくは第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第十八条中「第八条第一項第二号」を「第六条第三項又は第十条第一項第二号」に改め、同条を第二十二条とする。
第十七条の前の見出しを削り、同条中「第八条第一項第一号」を「第十条第一項第一号」に改め、同条を第二十一条とする。
第十六条を第二十条とし、同条の次に次の章名を付する。
第五章 罰則
第十五条の二中「第八条第一項」を「第十条第一項」に、「第九条第一項」を「第十一条第一項」に改め、同条を第十九条とし、同条の前に次の二条を加える。
(援助)
第十七条 国及び都道府県は、認定漁場改善計画の達成のために必要な助言、指導、資金の融通のあっせんその他の援助を行うものとする。
(他の要因の除去)
第十八条 都道府県知事は、第四条第一項の規定による養殖漁場水域調査の結果に基づき、養殖漁場水域における水産動植物の生育環境の保全上の支障が養殖生産以外の要因により生じていると認めるときは、その要因の除去に努めなければならない。
第十五条を削る。
第十四条中「農林水産大臣は、」の下に「養殖漁場の改善及び」を加え、同条を第十六条とする。
第十三条第一項中「第十条第一項」を「第十五条第二項」に、「第十五条の規定による指導及び助言に関する事務のうち養殖水産動植物の伝染性疾病の予防に係るもの」を「漁業協同組合等その他養殖をする者に対する養殖水産動植物の伝染性疾病の予防に係る指導及び助言」に改め、同条の次に次の章名及び二条を加える。
第四章 雑則
(報告の徴取)
第十四条 都道府県知事は、養殖漁場の改善のため必要があると認めるときは、農林水産省令で定める手続に従い、漁業協同組合等に対し、必要な事項についての報告を求めることができる。
2 都道府県知事は、養殖水産動植物の伝染性疾病を予防するため必要があると認めるときは、農林水産省令で定める手続に従い、養殖水産動植物を所有し、又は管理する者に対し、必要な事項についての報告を求めることができる。
(立入検査等)
第十五条 都道府県知事は、養殖漁場の改善のため必要があると認めるときは、その職員に養殖漁場、船舶、事業場、事務所又は倉庫に立ち入り、養殖水産動植物その他の物を検査させ、関係者に質問させ、又は検査のため必要な限度において、養殖水産動植物その他の物を集取させることができる。
2 都道府県知事は、養殖水産動植物の伝染性疾病を予防するため必要があると認めるときは、その職員に養殖漁場その他養殖水産動植物の伝染性疾病の病原体により汚染し、又は汚染したおそれのある場所に立ち入り、養殖水産動植物その他の物を検査させ、関係者に質問させ、又は検査のため必要な限度において、養殖水産動植物その他の物を集取させることができる。
3 前二項の規定により立入検査、質問又は集取をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査、質問及び集取の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 農林水産大臣は、この法律の施行後直ちに、この法律の施行の際現にこの法律による改正前の持続的養殖生産確保法(以下「旧法」という。)第三条第一項の規定により定められている基本方針を変更しなければならない。
第三条 この法律の施行の日から六月間は、この法律の施行の際現に旧法第四条第一項の認定を受けている同項に規定する漁業協同組合等及び当該認定に係る同項に規定する漁場改善計画は、この法律による改正後の持続的養殖生産確保法(以下「新法」という。)第七条第一項の認定を受けた同項に規定する漁業協同組合等及び当該認定に係る同項に規定する漁場改善計画とみなす。その漁業協同組合等がその期間内に当該認定の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請に基づく認定又は認定の拒否の処分がある日までの間も、また同様とする。
第四条 この法律の施行前にされた旧法第七条第一項の規定に基づく勧告に係る公表又は漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第三十四条第一項若しくは第四項の規定による養殖漁場の改善のための措置その他の措置については、なお従前の例による。
第五条 前二条に規定する場合を除き、この法律の施行前に旧法又は旧法に基づく命令の規定によってした処分、手続その他の行為は、新法又は新法に基づく命令の相当規定によってしたものとみなす。
第六条 この法律の施行前にした行為及び附則第四条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(地方自治法の一部改正)
第七条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一持続的養殖生産確保法(平成十一年法律第五十一号)の項中「第八条第一項」を「第十条第一項」に、「第九条第一項」を「第十一条第一項」に改める。
(漁業法等の一部を改正する法律の一部改正)
第八条 漁業法等の一部を改正する法律(平成十三年法律第九十号)の一部を次のように改正する。
附則第二条第四号中「第六条第一項」を「第九条第一項」に改める。
理 由
養殖漁場における薬剤の使用等により養殖漁場水域における水産動植物の生育環境の保全に支障が生じている現状にかんがみ、養殖漁場を養殖漁場水域における水産動植物の生育環境の保全に適する状態に回復し、又は維持することを養殖漁場の改善の内容として位置付けるとともに、養殖漁場水域調査又は薬剤の使用状況の報告の結果に基づいた養殖漁場の改善のための指示の制度を導入する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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