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2003/02/19
環境教育振興法(案)
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(目的)
第一条
 この法律は、国民の環境の保全についての理解を深めるとともに国民の環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、環境教育の振興に関して必要な事項を定め、もって持続的発展が可能な社会の構築に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条
 この法律において「持続的発展が可能な社会」とは、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会をいう。


 この法律において「環境への負荷」とは、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第一項に規定する環境への負荷をいう。


 この法律において「地球環境保全」とは、環境基本法第二条第二項に規定する地球環境保全をいう。

(基本理念)
第三条
 環境教育の振興は、国民が、人と環境とのかかわり合いについての関心と理解を深め、生活の全般にわたり環境への負荷を低減し、持続的発展が可能な社会の構築に主体的に参画することとなることを旨として、行われなければならない。


 環境教育の振興は、学校、地域、家庭、職場その他の様々な場を通じて、国民の発達段階に応じた環境教育に係る多様な機会が相互の有機的な連携に配慮しつつ提供されることを旨として、行われなければならない。


 環境教育の振興は、それぞれの地域における環境の保全に関する伝統的な文化を尊重する心を育てることを旨として、行われなければならない。


 環境教育の振興は、現在及び将来の世代にわたって地球環境保全が重要であることにかんがみ、地球全体の環境について広く深い理解を養うことを旨として、行われなければならない。

(環境教育基本計画)
第四条
 政府は、前条の基本理念にのっとり、環境教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境教育の振興に関する基本的な計画(以下「環境教育基本計画」という。)を定めなければならない。


 環境教育基本計画においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 環境教育の振興に関する施策についての基本的な方針
二 環境教育の振興に関し、総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 前二号に掲げるもののほか、環境教育の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項


 文部科学大臣及び環境大臣は、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴いて、環境教育基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。


 文部科学大臣及び環境大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、環境教育基本計画を公表しなければならない。


 文部科学大臣及び環境大臣は、おおむね五年ごとに、環境教育基本計画の見直しを行うものとする。


 第三項及び第四項の規定は、環境教育基本計画の変更について準用する。

(都道府県環境教育計画及び市町村環境教育計画)
第五条
 都道府県は、環境教育基本計画を勘案しつつ、当該都道府県における地域の特性、環境教育の実施の状況等を踏まえ、当該都道府県における環境教育の振興に関する計画(以下「都道府県環境教育計画」という。)を定めなければならない。


 市町村は、環境教育基本計画及び都道府県環境教育計画を勘案しつつ、当該市町村における地域の特性、環境教育の実施の状況等を踏まえ、当該市町村における環境教育の振興に関する計画(以下「市町村環境教育計画」という。)を定めなければならない。


 都道府県又は市町村は、都道府県環境教育計画又は市町村環境教育計画を定めようとするときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。


 都道府県又は市町村は、都道府県環境教育計画又は市町村環境教育計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。


 都道府県又は市町村は、おおむね五年ごとに、都道府県環境教育計画又は市町村環境教育計画の見直しを行うものとする。


 第三項及び第四項の規定は、都道府県環境教育計画又は市町村環境教育計画の変更について準用する。

(学校における環境教育の充実)
第六条
 国及び地方公共団体は、教員に対する環境教育に関する研修、環境教育に関する教育課程の基準の整備その他の学校において適切に環境教育が行われるために必要な措置を講ずるものとする。

(職場における環境教育の充実)
第七条
 国及び地方公共団体は、事業者によるその雇用する労働者に対する環境教育の実施の奨励その他の職場において適切に環境教育が行われるために必要な措置を講ずるものとする。

(環境教育に係る多様な機会の提供)
第八条
 国及び地方公共団体は、環境教育に関する情報の収集、整理及び提供、環境の保全に関する社会教育の講座の開設、自然体験活動の推進その他の国民が様々な場において環境教育を受けることができる多様な機会を提供するために必要な措置を講ずるものとする。

(人材の育成)
第九条
 国及び地方公共団体は、環境教育に関する企画調整を担う人材その他の環境教育の振興に寄与する専門的な知識を有する人材を育成するために必要な措置を講ずるものとする。

(環境教育の内容及び方法の改善)
第十条
 国及び地方公共団体は、環境教育に関する調査研究、環境教育の基準となる指針の整備その他の環境教育の内容及び方法の改善を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(施策の実施体制の整備)
第十一条
 国及び地方公共団体は、関係機関の連携の確保、民間の団体との協力関係の強化その他の環境教育の振興に関する施策の実施体制の整備を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(財政上の措置等)
第十二条
 国及び地方公共団体は、環境教育の振興に関する施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

理 由

 環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会の構築に寄与するため、国民の環境の保全についての理解を深めるとともに国民の環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるよう、環境教育の振興に関して必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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