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2003/02/25
平成15年度政府予算の組替を求める申し入れ
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民主党
自由党
日本共産党
社会民主党

平成15年度政府予算の組替を求める申し入れ

民主党、自由党、日本共産党、社会民主党の4党は、政府提出の平成15年度予算について、別紙のとおり組み替えるよう、共同して求める。

政府においては本組替案について真摯に検討し、2月28日までに回答されたい。


平成15年度政府予算 野党共同組替要求について



民主党・無所属クラブ自由党
日本共産党
社会民主党・市民連合

小泉内閣の発足以来、既に2年近くが経過するが、その間わが国の経済状況は悪化の一途をたどっている。とりわけとどまることを知らないデフレと史上最悪の雇用状況によって、国民生活は破局に直面している。このような状況を招いた最大の原因は、小泉政権の経済失政にある。

それにもかかわらず、政府の「平成15年度予算」は、国民に対して経済の活性化の展望や生活の安心感を示すどころか、新たな国民負担増など国民生活をさらなる危機に追い込もうとする国民生活破壊予算である。国民に対する約束を幾たびも破りながら、これを「大したことない」と大言壮語する小泉総理には、そもそもわが国を再生する気持があるのか、疑わざるを得ない予算である。

野党4党は、既得権益の擁護ばかりに汲々とし、深刻な国民生活を顧みない政府与党に代わり、国民の安心とわが国の活力の再生のために、以下の組替を一致して要求する。



1.
歳出増を図るべき項目

1.新たな国民負担増の凍結・中止(追加額:1000億円)
* サラリーマン本人の窓口負担引き上げ凍結
 4月より実施が予定されている組合健保、政管健保の被保険者の窓口本人負担3割への引き上げは、当面の間凍結する。
* 雇用保険給付カット中止
5月より実施が予定されている失業等給付のカットは中止し、現行の給付水準を維持する
* 酒・たばこ税の引き上げ中止
 何ら理念なく、かえって消費者心理の冷え込みを通じた消費の低迷を招きかねない酒・たばこ税の引き上げは中止する。

2.雇用対策(追加額:7270億円)
* 雇用保険制度の失業等給付の拡充
官民の教育訓練機関を通じた能力開発実施体制の整備・強化等求職者の能力開発を推進し、実際の雇用に結びつくような失業等給付制度の改善を行い、給付期間の延長を図るとともに、そのための財源の安定確保を図ること。
* 就職支援体制の改善・強化
学卒未就業者を含む若年層に対する就職援助措置の充実、求人開拓部門の強化、自営業者などに対する教育訓練の拡充、若年・中高年の雇用対策の強化などの拡充を図ること。
またきわめて厳しい雇用環境にある母子家庭の母親、障害者等の雇用対策の強化・拡充を図ること。
* 失業者の生活を守る
非自発的失業者の生活基盤を守るため、健康保険料の軽減、子弟の教育費対策、住宅費対策、創業支援策などを講じること。
* 労使協力による雇用維持・創出等
 地域労使共同事業を拡充すると共に、地域の労使で策定している雇用創出プランの実施を支援すること。また労使協定にもとづいた所定労働時間の短縮等による雇用維持を支援すること。
* 「緊急地域雇用創出特別交付金事業」等の改善・積極的活用
 きわめて厳しい雇用状況に早急に対応するとの観点から、「緊急地域雇用創出特別交付金事業」を、雇用期間の延長、更新制度の創設、NPOの活用など住民および自治体にとってより活用しやすい制度へ改善をした上で、積極的に活用すること。また食の安全確保や消費生活保護の強化を図り、国民生活の「安心」と「安全」を高めること。
* 労働行政の充実
 サービス残業の是正のための監督体制の強化等、年齢・性別差別解消の推進、急増する個別労使紛争等への対応強化を含む相談体制の整備等をすすめること。

3.中小企業対策(追加額:2000億円)
* 「特別信用保証」の復活等
 不良債権の処理加速化に伴い、今後中小企業の資金環境が一層厳しくなることが予想されるため、時限的に「特別信用保証」を復活させるとともに過去の債務についても返済猶予措置・リスケジュール等を講ずること。
また政府系金融機関の積極的活用を図ること。
* 連鎖倒産の回避等
 売掛債権の回収不能などによる連鎖倒産を回避するため「セーフティネット保証制度」及び「セーフティネット貸付制度」を拡充すると共に、保有債権を担保とする融資制度の運用改善を図ること。また中小企業の債務負担を軽減するために、借り換え融資制度等の自治体による支援策や金融機関における中小・中堅企業の債務の株式化等の積極活用を円滑にすすめる環境の整備を行うこと。
* 地域に貢献する民間地域金融機関への適切な対応
 民間の中小企業金融を支える地域金融機関を強化するため、大銀行と一律の査定となっている地域金融機関の査定の仕組みを、融資実績等を勘案したものに改め、体力を強化して中小企業金融の充実をはかること。
また地域の住民や産業に対する与信状況、地域経済に対する貢献度等に関する情報の公開を金融機関に義務づけるなど法体系の整備を図ること。
* 公的金融機関等における個人信用保証の廃止等
 信用保証協会の保証融資、政府系金融機関融資における中小企業経営者の個人保証を廃止すること。民間融資においても個人保証を行う経営者へのセーフティネットの導入等を進めること。
* 起業に対する強力な支援
 ベンチャー企業の実情により即した社債発行制度への改善、創業時の信用保証協会の与信要件の緩和等総合的な起業支援策を講じること。
NPO支援税制法制を大胆に拡充し、非営利法人の育成を強化すること。
* 留保金課税の廃止
 中小企業の競争力強化と自己資本蓄積による体質強化を図るため、同族会社の留保金課税の中小企業に対する適用を廃止すること。
* 不当な下請け圧迫の防止
 下請代金支払遅延等防止法の改正に対応した検査・監視体制の強化を行うこと。

4.社会保障(追加額:3490億円)
* サラリーマン本人の窓口負担引き上げ凍結(再掲=略)
* 雇用保険給付カット中止(再掲=略)
* 多様な子育て支援対策の拡充
 保育体制整備促進による「待機児童」の速やかな解消、学童保育の拡充、仕事と子育て両立支援のための看護休暇制度導入促進などを図ること。
* 小児医療体制の整備
 安心して子育てができる社会の形成に向けて、救急医療も含めて、小児医療体制の整備を促進する。
* 医療の質向上・医療提供体制の充実
 カルテの電子化等による情報開示の徹底、院内感染対策の拡充等による患者の権利擁護と医療体制の充実をすすめること。
* 介護サービスの基盤拡充
 待機者解消のための特別養護老人ホーム等整備促進、デイサービス・ショートステイなど介護サービスの確実な提供とマンパワーの確保などを推進すること。
* 障害者対策の推進
 本年4月より実施される「支援費制度」において、円滑に質の高いサービスが提供できるよう、障害者ホームヘルプ事業の拡充等を図ること。また無年金障害者の救済、障害者等への情報サービス提供推進のための字幕付テレビ放送の普及推進などを図ること。

5.教育関係(追加額:2540億円)
* 30人学級の早期実現に向けた条件整備等
30人学級の早期実現に向けた教職員確保、スクールカウンセラーの配置校数の大幅拡充などをすすめること。
* 日本育英事業の無利子貸付貸与枠の拡充等
無利子貸付貸与枠の増大を図るとともに、保護者の失業等の経済的理由による就学困難高校生に対する支援策の拡充等を行うこと。
* 学校施設の改修等
 老朽化の進む教育施設の耐震化を含む速やかな改修、IT教育の充実に向けた情報関連施設整備、バリアフリー化、エコスクール化、心のケアを含む健康対策などの環境整備の促進を図ること。

6.食料・農業対策(追加額:300億円)
* 食の安全と循環型農業の振興等
 環境循環型農業、有機農業などの支援策の推進、農業経営再建策の確立、信頼できる食品表示を担保するための検査・監視体制の拡充を図ること。
* 雇用拡大と環境保全を両立させるため、間伐等の森林整備の拡充と山村定住対策の促進等を図ること。

7.環境対策の推進(追加額:600億円)
* 温暖化対策・エネルギー・公害対策等
 経済活動の環境配慮及び環境ビジネスの積極的推進、新エネルギーの研究開発・普及のための支援策拡充、公共交通機関への低公害車(LRTを含む)導入促進、温暖化防止国内対策関連予算の拡充等を図ること。
* 産業廃棄物対策
 産業廃棄物不法投棄対策、原状復帰対策の強化を図ること。
* 住環境整備
住環境における有害物質対策の確立、健康配慮型住宅産業の育成、バリアフリー化促進などをすすめること。

8.交通対策(追加額:200億円)
* 移動の自由、安全対策等
 地方バス生活路線維持対策の拡充、公共交通機関・公共施設のバリアフリー化促進等をすすめること。

9.その他(追加額:200億円)
 沖縄に対する支援措置の拡充、自然災害の被災者に対する生活再建支援策拡充、消費生活センターへの支援等を促進すること。

2.
予算を伴わない(あるいは予算執行上の工夫による)景気・雇用対策の推進等


 従来型の予算配分と既得権益維持型の予算執行を改善し、予算を増額せずとも景気・雇用対策の推進に資するよう事務事業の改革を推進すること。以下はその例示である。

* 政府・特殊法人等の官庁業務の効率化、無駄の排除により、経費の節減を図るとともに、各種公共サービス低廉化・事業コスト低減を実現することを追求すること。
* 官製談合の防止策の確立など入札制度改革、あっせん利得処罰法強化、補助金の一括交付金化による陳情行政の是正等を図り、官公需における発注額・コスト削減をすすめること。
* 公共事業の下請け企業に対する代金不払い・遅延の実効ある防止策の確立、官公需の中小企業に対する分割・分離発注の促進により、中小企業の仕事と雇用確保を図ること。
* ODAの質の見直し・改善と留学生支援・国際NGOへの支援強化等の分野においても予算執行の改革をすすめること。
* NPO法人の認証基準緩和による設立促進、行政サービス分野における積極活用を図ることにより、地域経済の活性化を図ること。
* 財形年金契約時の年齢制限及び据置期間の制限を撤廃すること。

3.
従来の事業の抜本的見直し等により歳出を削減すべき項目

(1)公共事業関係(削減額:1兆6000億円)
* 政府予算の公共事業関係経費については、いまだコスト削減の取り組みが遅れており、単価の見直し、入札制度の改善を通じて、一層の事業費削減が可能であること。さらに野党4党が提出している「政治資金規正法改正案(公共事業受注企業の政治献金禁止)」を速やかに成立させることによって、不要なコストの削減が可能となることから政府案をさらに一層削減すること。
* 特に道路整備事業、ダム事業、海岸事業、港湾整備事業、空港整備事業、整備新幹線、農業関係公共事業については大胆に見直し削減すること。

(2)内閣官房報償費及び外務省報償費等の見直し(削減額:若干額)
* 内閣官房報償費及び外務省報償費については、より大幅な削減を行うと同時にその仕組みを抜本的に改革すること。また外務省報償費の上納問題の真相究明を行うこと。

(3)行政経費(庁費等)の削減(削減額:500億円)
* 行政経費については、本省及び関係機関の庁費を中心に一層の節減を図ること。

(4)特殊法人等向け歳出の見直し(削減額:1000億円)
* 特殊法人等への一般会計負担の補助金等を、さらに一層削減すること。

4.
大衆増税を含む税制改正案の抜本的見直し

* 政府が提案している平成15年度税制改正案は、現下の経済情勢を無視し、将来に対するビジョンや理念を欠いている。酒・たばこなどの大衆増税を強行し、来年からの所得税等増税と抱き合わせで法人諸税等の減税を実施すれば、国民の将来に対する不安を高め、一層景気を悪化させることは必至である。

* よって政府は、現在提案している税制改正案を速やかに撤回し、国民が真に安心できる社会の確立、経済の活性化に資する税制改正案を提案し直すべきである。

以上

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