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2002/07/09
あるべき「政と官の関係」を実現するために
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民主党

1. はじめに

鈴木宗男氏疑惑は、政府の一員ではない政治家(族議員・大物議員)が直接官僚に働きかけ、行政の執行を歪めるという自民党の「政・官・業」癒着構造を改めて明らかにした。
憲法の定める行政コントロールシステムのこのような空洞化の主な原因は、自民党で行われている内閣提出法案に対する厳しい「事前審査承認制度」により、「政府・与党二元化」が生じていることにある。また、我が国の官僚が長年政治に関与してきたことも一因である。
民主党は、「政府と与党の関係」、「政府における政治家と官僚の関係」並びに「政府外の政治家と官僚の関係」のあり方を見直し、憲法の理念に基づいた「健全な政と官の関係」を実現するため、以下の諸点について、改革に向けての基本方針を提示する。

2. 改革に向けての基本方針

 1.政府と与党の関係

 民主党は、内閣機能の強化と政府・与党の一元化を行い、官僚に対する指示等が政府と与党の双方からなされるような政府・与党の二元化構造を排除するため、1998年12月に政権運営委員会報告『新しい政府の実現のために』を発表した。政治的リーダーシップの確立には「責任ある政府」=国民内閣制が必要であり、「内閣の一元化」、「政治と行政の区分の明確化」、「首相及び内閣のリーダーシップの確立」という原則を示し、具体策として、党幹部・部会長による大臣・副大臣の兼務、事務次官会議の廃止、政治任用の拡大等を打ち出した。
既に、1.政策決定のネクスト・キャビネット(NC)への一元化【幹事長・政調会長はNC大臣として入閣、各NC大臣は部門会議(部会)の運営に責任】を実現し、2.内閣機能を強化するための法案【首相府設置法案等】を検討中である。


 2.政府における政治家と官僚の関係

 「健全な政と官の関係」を構築する前提として、一連の不祥事の事実を解明し、責任・けじめを明確にするとともに、大臣・副大臣等の政治家の役割(政策立案と法案提出)と官僚の役割(政策立案の補助、行政の執行)を明確にする。
すなわち、国民に対する政策メニューの提示は、「大臣・副大臣等の政治家」が自ら行うべきである。一方、官僚は政府に対し忠実に「大臣・副大臣等の政治家」が決断した政策を実施し、行政事務処理を中立公正に行うこととする。

 3.政府外の政治家と官僚の関係

 政策の論議は、本会議・委員会など公の場を通じて行うことを原則とし、党内で政策論議をするために官僚の説明を求める場合には、党の部会や政策協議の場を活用する。官僚は、与野党を問わず全ての政党に対し公正・中立かつ誠実に対応する。
 政治家(秘書を含む)と官僚の接触については、与党議員の場合には党から政府に大臣・副大臣等を出していること及び党が予算編成権を掌握する関係上、政治家個人であっても官僚に与える影響が大きいことを考慮し、個別の接触を禁止する。仮に、接触を必要とする場合は、大臣・副大臣等を通じて行うものとする。
野党議員の場合は、与党側の担当大臣等から、誠実な対応がなされる保証がないこと及び与党政治家に比べて官僚に与える影響力が微弱であることを考慮し、個別の接触は禁止しないものとする。但し、個別の接触が行われた場合には、会談メモを作成して、そのメモに対する相手の意見を付して保存し、請求があったときはこれを開示する。
なお、政治家が官僚による行政の執行に不当に介入することを防ぐため、斡旋利得処罰法強化法案を早期に成立させるとともに、告発者の保護を内容とする公益開示法案の成立を目指す。

 4.情報公開と地方分権

 「健全な政と官の関係」をより確かなものとするため、1.情報公開と2.地方分権を推進する。
各省庁の情報は原則公開とするが、特別に情報管理を必要とするものは、明確な基準(基準自体は全て公開)に基づき機密とする。但し、機密情報に関しても、委員会の秘密会を効果的に活用することにより、国会のコントロール機能が発揮できるようにする。
また、利権に結び付いた予算の個所付けなど、中央の政治家の不当な関与を排除するためにも、地方分権の推進及び国の権限委譲が不可欠である。

3. おわりに

 民主党は、以上の諸点の実現のため、直ちに環境整備に取り組むものである。

以上

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