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2002/05/21
行政運営の適正化のための行政機関等の業務の執行に関する報告及び通報等に関する法律(案)
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目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 行政機関等の業務の執行に関する報告及び通報等(第三条―第七条)
第三章 行政適正化委員会(第八条―第二十一条)
第四章 雑則(第二十二条)
第五章 罰則(第二十三条)
附則

第一章 総則

(目的)
第一条
 この法律は、行政機関等の業務の執行に関し、法令に違反する事実等の報告及び通報の制度、報告又は通報をした者の保護のための措置等について定めることにより、国の行政運営の適正化を図ることを目的とする。

(定義)
第二条
 この法律において「職員」とは、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する国家公務員で行政機関等に勤務するものをいう。

 この法律において「行政機関等」とは、法律の規定に基づき内閣に置かれる各機関、 内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる各機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関並びに各特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十 一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人をいう。)をいう。

第二章 行政機関等の業務の執行に関する報告及び通報等

(上司等への報告等)
第三条
 職員は、その属する行政機関等の業務の執行に関し次の各号のいずれかに該当する事実があると思料するときは、当該行政機関等における上司その他の当該行政機関等における適切な職にある者に報告することができる。
 一 法令に違反し、又は違反するおそれがある事実
 二 職員の懲戒事由に該当することが明らかな事実(前号に該当するものを除く。)
 三 人の生命又は健康に重大な影響を与えるおそれがある事実(前二号に該当するものを除く。)
 四 会計経理に関し明らかに不当であると認められる事項がある事実

 前項の規定による報告を受けた者は、当該報告に係る事実について調査の上、適切な措置を講じなければならない。

 第一項の規定による報告を受けた者は、当該報告をした職員の氏名の秘匿その他の措置で当該報告をした職員を保護するために必要なものを講じなければならない。

 その属する行政機関等の業務の執行に関し罪を犯した職員が捜査機関に発覚する前に当該犯罪について第一項の規定による報告をしたときは、その刑を減軽することができる。

(行政適正化委員会への通報等)
第四条
 職員は、その属する行政機関等の業務の執行に関し前条第一項各号のいずれかに該当する事実があると思料するときは、行政適正化委員会に当該事実を通報することができる。

 行政適正化委員会は、前項の規定による通報を受けた場合において、当該通報に係る 事実の存在を信ずるに足りる相当な理由があると認めるときは、当該通報をした職員(以下この条において「通報者」という。)の属する行政機関等の長に対 し、適切な措置をとるべきことを勧告するものとする。

 行政適正化委員会は、前項の規定による勧告をしたときは、当該行政機関等の長に対し、その勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。

 行政適正化委員会は、第一項の規定による通報に係る事実について、第二項の規定に よる勧告をしたときはその旨を、同項の規定による勧告をしないこととしたときはその旨及びその理由を、前項の規定による報告を求めたときはその旨及びその 報告の内容を、それぞれ、遅滞なく、通報者に書面で通知しなければならない。

 行政適正化委員会は、通報者の氏名の秘匿、資料の提供その他の措置で通報者を保護するために必要なものを講じなければならない。

 職員の守秘義務その他の職務上の義務に関する法律の規定は、第一項の規定により通報することを妨げるものと解釈してはならない。

 行政適正化委員会は、第一項の規定による通報を受けたときは、当該通報に係る事実の存否の判断のため必要な範囲において、当該通報者の属する行政機関等の長に対し資料の提出及び説明を求め、又は当該行政機関等の業務の執行について実地に調査することができる。

 第二項の規定による勧告を受けた行政機関等の長は、当該勧告に関し、公にされることにより当該行政機関等の業務の執行に著しい支障を生ずるおそれのある事実があるときは、行政適正化委員会に対し、その旨を通知することができる。

(不利益取扱いの禁止)
第五条
 職員は、第三条第一項の規定による報告又は前条第一項の規定による通報をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

(職員以外の者による通報等)
第六条
 行政機関等の業務の執行に関し第三条第一項各号に掲げる事実の存在を知った者(当該行政機関等に勤務する職員を除く。)は、当該行政機関等又は行政適正化委員会に通報することができる。

 前項の規定による通報を受けた行政機関等は、当該通報に係る事実について調査の上、適切な措置を講じなければならない。

 行政適正化委員会は、第一項の規定による通報を受けた場合において、当該通報に係る事実の存在を信ずるに足りる相当な理由があると認めるときは、当該通報に係る行政機関等の長に対し、適切な措置をとるべきことを勧告するものとする。

 行政適正化委員会は、前項の規定による勧告をしたときは、当該行政機関等の長に対し、その勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。

 行政適正化委員会は、第一項の規定による通報に係る事実について、第三項の規定に よる勧告をしたときはその旨を、同項の規定による勧告をしないこととしたときはその旨及びその理由を、前項の規定による報告を求めたときはその旨及びその 報告の内容を、それぞれ、遅滞なく、第一項の規定による通報をした者(次項において「通報者」という。)に書面で通知しなければならない。

 行政適正化委員会は、通報者の氏名の秘匿、資料の提供その他の措置で通報者を保護するために必要なものを講じなければならない。

 行政適正化委員会は、第一項の規定による通報を受けたときは、当該通報に係る事実の存否の判断のため必要な範囲において、当該通報に係る行政機関等の長に対し資料の提出及び説明を求め、又は当該行政機関等の業務の執行について実地に調査することができる。

 第三項の規定による勧告を受けた行政機関等の長は、当該勧告に関し、公にされることにより当該行政機関等の業務の執行に著しい支障を生ずるおそれのある事実があるときは、行政適正化委員会に対し、その旨を通知することができる。

 国は、何人に対しても、第一項の規定による通報をしたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

(国会に対する報告等)
第七条
 行政適正化委員会は、毎年、第四条第一項 及び前条第一項の規定による通報(行政適正化委員会が受けたものに限る。)の状況、第四条第二項の規定による勧告及びその勧告に基づいてとられた措置並び に前条第三項の規定による勧告及びその勧告に基づいてとられた措置について記載した報告書を作成し、これを内閣総理大臣を経由して国会に提出するととも に、一般に公表しなければならない。

第三章 行政適正化委員会

(設置)
第八条
 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、行政適正化委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

(任務)
第九条
 委員会は、第四条第一項及び第六条第一項の規定による通報を受け、当該通報に係る行政機関等の長に対する勧告その他の措置を講ずることにより、国の行政運営の適正化を図ることを任務とする。

(所掌事務)
第十条
 委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 第四条第一項及び第六条第一項の規定による通報の受理に関すること。
 二 第四条第二項及び第六条第三項の規定による勧告に関すること。
 三 前二号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき委員会に属させられた事務

(職権の行使)
第十一条
 委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。

(組織)
第十二条
 委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。

 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。

 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(委員長及び委員の任命)
第十三条
 委員長及び委員は、行政運営の適正化に関して優れた識見と経験を有する者であって、かつ、職員(検察官及び国立大学の教員を除く。)としての前歴を有する者についてはその在職期間が二十年を超えないもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。

 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員長又は委員を罷免しなければならない。

(任期)
第十四条
 委員長及び委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 委員長及び委員は、再任されることができる。

 委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

(身分保障)
第十五条
 委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
 一 破産の宣告を受けたとき。
 二 禁以上の刑に処せられたとき。
 三 委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。

(罷免)
第十六条
 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

(服務等)
第十七条
 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

 委員長及び委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。

(会議)
第十八条
 委員会は、委員長が招集する。

 委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。

 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

 委員会が第十五条第三号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。

(規則の制定)
第十九条
 委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、行政適正化委員会規則を制定することができる。

(事務局)
第二十条
 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

(委員会の運営)
第二十一条
 この章に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が定める。


第四章 雑則

(政令への委任)
第二十二条
 この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。


第五章 罰則

第二十三条
 第十七条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

附 則

(施行期日)
第一条
 この法律は、平成十五年一月一日から施行する。ただし、第十三条第一項中両議院の同意を得ることに関する部分は、公布の日から施行する。

(最初の委員長及び委員の任命)
第二条
 この法律の施行後最初に任命される委員会の委員長及び委員の任命について、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、第十三条第二項及び第三項の規定を準用する。

(特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)
第三条
 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。
  第一条第九号の次に次の一号を加える。
  九の二 行政適正化委員会の委員長及び委員
                                    
  別表第一中「副大臣及び副長官」を 「副大臣及び副長官 行政適正化委員会委員長」 に、「国家公安委員会委員」を 「国家公安委員会委員 行政適正化委員会委員」  に改める。

(内閣府設置法の一部改正)
第四条
 内閣府設置法の一部を次のように改正する。
  第四条第三項中第六十一号を第六十二号とし、第六十号を第六十一号とし、第五十九号を第六十号とし、第五十八号の次に次の一号を加える。
  五十九 行政運営の適正化のための行政機関等の業務の執行に関する報告及び通報等に関する法律(平成十四年法律第   号)第十条に規定する事務
  第十一条中「第三項第六十号」を「第三項第六十一号」に改める。
  第十五条第二項及び第十六条第二項中「大臣庁等」の下に「、行政適正化委員会」を加える。
  第六十四条の表国家公安委員会の項の次に次のように加える。
行政適正化委員会行政運営の適正化のための行政機関等の業務の執行に関する報告及び通報等に関する法律


理 由
 国の行政運営の適正化を図るため、行政機関等の業務の執行に関し、法令に違反する事実等の報告及び通報の制度、報告又は通報をした者の保護のための措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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