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2002/11/01
母子家庭の母と子を支えたい〜まず、就労保障と住宅を
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民主党ひとり親家庭等自立支援ワーキングチーム
座長  円より子


 生別母子家庭の子どもたちが受け取ることになっている児童扶養手当制度についてご存知ですか。

 児童扶養手当はこれまで母子2人世帯の場合、年収204.8万円未満だと全額支給(月額4万2,370円)、300万円未満だと一部支給(月額2万8,350円)と2段階に分かれて支給されていました。

 ところが、厚生労働省は離婚件数が増え続けるため児童扶養手当予算が急増し、財政を圧迫するとの理由で平成14年度予算の削減を行いました。

 この長引く不況により、倒産やリストラで失業、降格、減俸等の影響は、社会構造的な要因もあって女性、特に母子家庭の母親に顕著に現れ、彼女たちは厳しい状況に追い込まれ、生活が困窮しています。

 離別母子家庭の平均収入は一般世帯の4割以下であり、その暮らしは生活保護基準以下が50%にもなっていますが、実際に生活保護を受給しているのは8.5%に過ぎません。母子家庭の母親達は本来、働いて自力で生活したいと願っているのです。財政難というだけでなく、本来、児童扶養手当の受給よりは自立できることを原則とすべきなのはいうまでもありませんが、就労や住宅保障、子育て支援、生活支援が貧しく、母と子が貧窮しているのに、まず、削減ありきという政府の姿勢は、本末転倒と言わざるを得ません。

 民主党は、厚生労働省が児童扶養手当の削減を決めた昨年の11月に、いち早く「ひとり親家庭等自立支援ワーキングチーム」(座長:円より子、事務局長:水島広子)を立ち上げ、この問題に反対し、取り組んできました。

厚生労働省は、当初、児童扶養手当について、(1)全額支給で204.8万円、一部支給で300万円という所得制限(母子2人世帯の場合)を、年収120万円から年収が1万円上がる毎に手当を年2,000円減額し、非課税世帯からも減額措置を行う、(2)支給期間を5年間とする、(3)寡婦控除の撤廃、(4)養育費を所得に算入するという削減案を行おうとしました。

 民主党は、野党の国会議員、当事者団体、有識者、マスコミ等に呼び掛け、院内集会を2度開催、反対の署名運動等を展開し、不満足ながらも(1)120万円からを、130万円からに引き上げ、(2)支給期間5年後の一部支給停止(省令で半額まで減額できる)と方針を変更させました。

 その後もワーキングチームを、精力的に開催し、養育費支払いの履行確保制度についてや諸外国のひとり親家庭への支援策、就労支援について等、有識者からヒアリングを行い、議論を重ね、養育費の履行確保のためには、民法に養育費や面接交渉の取り決めを明記する改正が必要と、議員立法を参議院に提出しました。残念ながら前国会で廃案になってしまいましたが、再度提出することを検討中です。そして、この民法改正案が成立した際には、離婚届出用紙に養育費や面接交渉の取り決めについて記入する欄を作り、養育の義務について離婚する両親に徹底できるよう、省令を改正させることになっています。

 また、毎年8月に行われる、児童扶養手当の現況届についても、養育費の有無や家計の細かな収支、父親の住所等を記入するという、母子家庭のプライバシーや人権を大きく侵害する書式だったのを、民主党が拡大「ひとり親家庭等自立支援ワーキングチーム」を開催し、当事者団体やマスコミ等を呼び、厚生労働省を質し、即座に撤回させ、養育費の額だけを記入する書式に変えさせました。この元の書式は既に各自治体に通知されていたので、自治体によっては「米、野菜の仕送りや月々の食費を書け」という所もまだあるかもしれません。議員の皆様が、各地元でそうしたプライバシーの侵害に泣く母親がいないよう、チェックして頂けると幸いです。

 さて、この「母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律案」は先の通常国会から臨時国会に継続となり、先の11月8日、衆議院厚生労働委員会で、可決されました。

 民主党は、反対を続けてきたものの、既に予算で300億円が削られている状況では、就労保障や住宅支援、経済支援、養育費支払いの履行確保制度等、母子家庭がこの不況を乗り切り、生活できることをまず第1と考え、1年間辛抱強く厚生労働省と交渉を続け、付帯決議を勝ち取ることとしました。その概要は、

1. 児童扶養手当の削減された額に見合う、実効性のある就労保障をすること。
2. 養育費算出のガイドライン作成や養育費の不払いの際、少ない回数の強制執行手続きで将来分まで、父親の給料を差し押さえできること。また、養育費の履行確保制度を検討すること。
3. 児童扶養手当の受給期間5年で一部支給停止の額を省令で定める際に、就労支援策や生活支援策、養育費確保策、経済支援策の進捗状況を十分踏まえて制定すること。
4. 公営住宅の優先入居の拡充や高齢者へのZ宅政策(国の機関による家賃債務保証制度)を母子家庭への準用を検討すること。

 また、母子家庭の母等の福祉団体やNPOへの国や地方自治体などの公共機関等の優先発注や母子家庭の母親等の一定の雇用率の義務づけを行えるようにする議員立法を作成中で、これを必ず通し、就労支援を実のあるものにしていきます。

 今後とも、ご支援宜しくお願い致します。

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