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2002/04/26
道路関係四公団民営化推進委員会設置法案」に対する本会議質問/川橋幸子議員
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 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について質問をいたします。

 聖域なき構造改革を掲げて発足した小泉内閣にとって、くしくも今日、四月二十六日は満一年目に当たります。自民党を壊すと言って党総裁になられた人物は、多分、後にも先にも小泉総理お一人になるのではないかと思います。政党政治としては異常であります。民意と政権の所在が大きく乖離し、奇妙なねじれ現象が見られる今の日本の政治状況の中、まるでマジックのように誕生したのが小泉政権であります。そのマジック効果が、今、消えつつあります。

 昨年五月には、小泉内閣の支持率は、歴代最高の八割を超えました。しかし、今は、田中眞紀子外相更迭以降、四割に急落したままであります。総理御自身が抵抗勢力になったと看破した田中前外相の言葉から、国民も、総理の自民党を壊すという言葉は口先だけのものであり、総理は名を取り、抵抗勢力は実を取るという従来型の調整型自民党政治が復活していることを国民は敏感に感じ取っています。

 また、過日、本院において、武部農水大臣の問責決議が提案された際、一般世論も武部大臣の責任の取り方が不十分であるという反応であったことから、人心一新を主張された公党に対し、総理が解散の一言で抑え込まれたことも、従来からある、気の短い権力者に付き物の恫喝政治ではないかと、国民はさめた目で見ています。

 国民は、脱自民、脱官僚といった政治の構造改革を小泉総理に求めたのです。今も、世論調査では、八割方の国民が小泉総理の構造改革を必要だと答えています。しかし、その一方では、総理がどの程度構造改革を実現できると思うかという問いに対しては、余り、全くできないと思うという答えが六割から七割近くに上っております。

 本法案は、正に、総理は改革の名を取るだけで、真の改革者にはなり得ないことを示したものであります。道路四公団の民営化への道筋を付け、国費は二〇〇二年度以降投入しないという決定は確かに評価されるものです。しかしながら、民営化の組織形態も本四公団の巨額の赤字処理もすべてが第三者機関に丸投げされ、しかもその人選は抵抗勢力との水面下の調整次第に掛かっています。また、個別路線の整備についても、最終的には国幹会議、国土開発幹線自動車道建設会議の議論と国土交通省の判断にゆだねられることになっています。

 以上述べたように、本案の内容は中途半端なものであり、とても賛成できるものではありません。このため、民主党は、衆議院段階の審議において、第三者機関の人選とその権限強化について修正案を提出し、政府案に反対したところであります。

 さて、本案についての質問に入る前に、まず外交、経済の基本についてお尋ねいたします。

 まず第一に、総理の靖国参拝についてお伺いいたします。

 過日、総理は、春の例大祭が始まった靖国神社を突然参拝されました。報道によれば、今年は五、六月の日韓共催のサッカーワールドカップや九月の日中国交正常化三十周年行事が控えていることから、悪影響を懸念して大幅に早めた形とのことです。

 しかし、この問題は、思い付きで時期を変えればよいというものではありません。総理は、事の本質を理解しておられないようです。現に、中国は中谷防衛庁長官の訪問の延期を申し入れ、抗議の意思を表明いたしました。問題は、A級戦犯の合祀されていることについての認識であり、かつ憲法の政教分離の原則であります。

 改めて、次の二点についてお伺いします。

 一つは、公私の別であります。

 日本の神道は、一神教のように強い宗教ではなく、自然崇拝に近い弱い宗教であるがゆえに、宗教が国家体制に利用され、戦争が美化されたという過去の苦い経験があります。したがって、総理としての参拝は避けるべきであります。参拝するにしても、最低限私人としての参拝であることを、神学論争でも常識論でもなく、憲法の遵守義務を負う総理として明らかにすべきではないでしょうか。

 二つは、新たな追悼施設の在り方との関係です。

 金大中韓国大統領も、戦犯が合祀されていない国立墓苑ができれば自分も参拝したいと言ったと伝えられていますが、こうした施設の在り方について、政府の懇談会は今どのような議論をしているのでしょうか。

速やかな結論を総理としても要請すべきであります。

 次に、先般のG7の開催についてお伺いいたします。

 報道によれば、G7では、世界経済の回復を確認したが、世界経済の足かせになっている日本への視線は一段と厳しくなっているとのことであります。このため、塩川財務大臣は、オニール米財務長官との会談で、六月のサミットまでに税制改革を通じた経済活性化策を打ち出すことを約束せざるを得なかったと伝えられています。まず、この点について、総理はどのように承知しておられるのか、お伺いいたします。

 次に、しかしながら、焦点となる先行減税などの税制改革の中身をめぐり、経済財政諮問会議、政府税調、自民党税調でそれぞれ思惑がばらばらのようであります。内容については別途国会で議論するとしても、このような意思決定の混乱はいかがなものでございましょうか。何のための中央省庁再編による内閣機能の強化であり、総理の権限強化であったのかと思います。

 それとも、新たな行政機構の下で内閣の総合調整機能の発揮にそごがあるのか、また、議院内閣制の基本である内閣と与党との間の意思疎通が欠けているのか。総理は、塩川財務大臣を始めとする関係閣僚や党首脳からどのような報告を受け、状況を把握しているのか、お伺いいたします。

 また、サミットまでに諮問会議などを束ね、必要な税制改革の方針をまとめることについて、総理の所信をお尋ねいたします。現在、国民は景気、雇用の回復を図ることを最も切望しております。

 では、今回提案の道路四公団法案について、以下、お伺いいたします。

 本法案は、総理が名を取り、道路族が実を取った妥協の産物であり、すべて肝心のところは第三者機関の検討にゆだねられていることはさきに述べたとおりであります。

 まず、第三者機関の委員の人選についてお伺いいたします。

 総理は、御自分で公正な人を選ぶと表明されていますが、これに対し、古賀誠自民党道路調査会長は、公正な人選という表現によって党側の影響が及ぶように配慮したやに聞いています。お互い公正という同じ言葉を用いていますが、意味は大分違います。委員は利益代表ではないと考えます。総理自らが不退転の決意を示して人選しない限り、省庁や公団の抵抗勢力を抑えることは困難であります。総理の御決意のほどをお伺いいたします。

 次に、道路四公団の改革の前提として、今後の国による道路整備の在り方及びその費用負担の在り方について、総理はどのような哲学を持っておられるのか、お伺いします。

 今回、道路四公団の民営化は、国による画一的な有料道路建設を見直すチャンスでもあります。必要な道路は、国、自治体による税負担と工夫により、一般道路やバイパス建設を優先するといった選択も十分考えられるべきであります。

 次に、政治橋と呼ばれる本四架橋について、公団が抱える巨額な赤字をどう処理することになるのか、質問をいたします。

 故三木総理、故大平総理、宮澤元総理、橋本元総理ら歴代総理のそれぞれの地元が関係し、政官業の癒着構造の中で、過大な需要予測を行い、だれが見ても不要と思われる三本の橋が造られました。有利子債務は三兆八千億円に上り、もし破綻処理をすることになれば、出資金を含めて最大四兆六千億円という莫大な借金が国民負担の対象になります。まず、こうした政治橋についての自民党政治の責任について、小泉総理にお伺いいたします。

 次いで、特殊法人整理合理化計画では、本四公団の債務について道路料金の活用に言及しています。

しかし、三ルートの道路料金では、到底返還の足しになるものではありません。本四公団と他の三公団を統合し、一体のプール制に組み込むことを意味しているとすると、政治橋の失政を他の道路ユーザーにツケ回すことになります。すべては第三者機関において検討するという御答弁になるのかもしれませんが、少なくとも整理合理化計画における道路料金の活用という言葉の意味について、石原行政改革担当大臣の説明を求めます。

 次に、道路四公団の財務諸表の見直しについてお伺いいたします。

 四公団の中では最優等生とされてきた道路公団でも、その財務体質が水膨れであったことが指摘されています。例えば、一般の企業会計ならば、災害や事故で壊れたり老朽化して更新したりした設備について、その費用は必ず除去・減価償却し、資産から落とすという処理を行いますが、道路公団では、過去に建設したものすべてを資産に積み上げるというずさんな処理を行ってきました。こうした処理を改め、民間企業並みの会計原則にのっとった財務諸表の見直しが必要であると考えます。石原行政改革担当大臣の見解を求めます。

 次に、こうしたずさんな会計処理を許してきたのがプール制の存在であります。

 プール制は、路線ごとの採算性と将来における償還の見通しを度外視させました。プール制を採用した七二年、高速道路の償還期限は三十年と定められ、二十一世紀になれば国内の高速道路は無料になるはずでありました。ところが、過大な需要予測と過小な事業費見積りによって不採算路線の建設を続け、その結果、つじつまを合わせるために、旧建設省は償還期限を四十年まで延期し、更に今は五十年まで延ばしています。石原大臣は、プール制の見直しを第三者機関で検討すると答弁されていますが、いずれにせよ必要なのは、民間企業の会計原則に沿った道路四公団の資産、負債及び今後の収支見通しの厳格な把握であります。委員会に対して四公団が提出する資料は、必ずこうしたものでなくてはならない、また、こうした資料は国民に広く公表されなければならないと考えます。石原行政改革担当大臣及び扇国土交通大臣の答弁を求めます。

 最後に、民営化の定義についてお伺いします。

 民営化の組織形態がどのようなものであれ、現在のように、高速自動車国道の建設については国土交通大臣の命を受けるという施行命令の仕組みが残る限り、国の関与が続きます。民営化とは、こうした国の関与を抜本的に改革するものであると私は考えます。小泉総理及び扇国土交通大臣それぞれの御見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

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