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1999/10/25
京都地裁裁判官の職業差別について
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民主党ネクスト・キャビネット大臣
司法担当  江田 五月

1. 10月18日、京都地方裁判所で、元タクシー運転手の強盗殺人に関する民事事件の判決があった。事案は、タクシー運転手に金銭目的で殺害された乗客の遺族が、元運転手とタクシー会社に損害賠償を求めた訴訟につき、民法715条に基づく被告会社の使用者責任を認め、請求金額を連帯して支払うよう命じたものである。

2. 判決理由中、被告会社の民法715条但書に基づく免責の主張を退ける判断の中に、「一般論でいえば、タクシー乗務員には雲助(蜘蛛助)まがいの者や賭事等で借財を抱えた者がまま見受けられること(顕著な事実といってよいかと思われる。)」との部分がある。これは、この判決を下した裁判官が、この表現により叙述された事実が、証明を要しない社会常識であるとの認識を持っていることを示したものである。

3. このことは、憲法を守護し人権の砦となるべき裁判官のあり方としては、極めて不適切で看過できない。まず第一に、「雲助まがい」との表現は前近代的な偏見に満ちた職業差別であって、タクシー乗務員の基本的人権を侵害するものであり、第二に裁判官がこうした職業差別に当たる認識を社会常識として認容することは、司法に対する国民の信頼を失墜させるものである。

4. 私たち民主党は、裁判官が判決の中でこうした表現を用いたことに強く抗議するとともに、裁判所が憲法の精神に則った社会常識の涵養に努めるよう強く要求する。なお、以上は司法判断に容喙するものでないことは、言うまでもない。

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