民主党幹事長代理 鳩山 由紀夫
本日、住民基本台帳法改正案が、自民党、自由党、公明党などの賛成により衆議院を通過した。同法案は、全住民に10ケタの番号を付け、その住民番号と氏名、性別、生年月日、住所等四つの個人情報に関する住民基本台帳のネットワークシステムを導入するものであり、通信傍受法案(盗聴法案)とともに、重大なプライバシー侵害の危険性が指摘されている。いまだ、国民的理解と合意が得られていないなかで、拙速に法案成立を急ぐことは大変遺憾であり、認めがたい。
改正案は、個人情報の提供を受ける行政機関を16省庁92事務に限定して目的外利用を禁止しているが、使用した情報の消去規定はなく、さらに住民番号を含んだ民間によるデータベース構成も全面禁止となっていないなど、データ蓄積への疑念は払拭されていない。
また、審議を通じて、将来、政府が利用分野拡大を図ろうとしているとの懸念も指摘されている。個人情報保護法制の不備のため、民間による名簿の売買や大量の個人データ漏洩事件が多発している現状があり、国民の多くは、行政や企業が自分の情報を勝手に収集・蓄積して活用しているのではないかという不安と不信をいだいている。今回の改正案は、そうした不安と不信を増幅させる可能性をもつ。
小渕首相は3党修正案に関連して、民間を対象にした個人情報保護法の法整備が住民基本台帳ネットワークシステムを実施する前提と述べているが、それならば、まず包括的な個人情報保護法の制定を急ぐべきであり、その後に改正案の議論を行うべきである。3党による修正は、包括的な個人情報保護法の制定を法的に担保したものではなく、住民基本台帳ネットワークのシステム作りの先行を許すものに過ぎない。
民主党は、国民のプライバシー権を守る観点から、参議院でさらに住民番号導入と住民基本台帳ネットワークの問題点を浮き彫りにして、広く国民に訴えていきたい。
以 上
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