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1998/12/12
自民党平成11年度税制改正大綱について(談話)
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民主党政策調査会長 伊藤英成

 本日、政府税制調査会の「平成11年度税制改正に関する答申」に引き続き、自民党の「平成11年度税制改正大綱」が決定・公表された。

 大綱は、個人所得課税の4兆円減税、法人課税実効税率の約40%への引き下げ等による総額3兆円規模の減税、住宅ローン控除制度の拡充、有価証券取引税の廃止など、総額9兆円の減税を実施することをうたっている。これらのうち、個人所得課税の減税を除いては、民主党が本年2月以来主張してきた内容をなぞったものとなっており、政府・自民党がようやくわが国経済の深刻な状況と民主党案の正しさを認識し、重い腰を上げたといえる。この1年間、政府・自民党は、自ら強行成立させた財政構造改革法に縛られ、一時しのぎの特別減税の繰り返しなどの失政を繰り返してきた。自民党が今回打ち出した内容のほとんどは、本来1年前に実施されているべきものであり、その対応の遅れが景気低迷の長期化を招いたことの責任は重い。

 個人所得課税については、小渕総理の基本方針決定以来、「金持ち優遇減税」との強い批判を浴びてきた所得税・個人住民税の最高税率のみの引き下げに一時的な定率減税を組み合わせた減税案がそのまま大綱にも盛り込まれ、民主党の主張してきた総合課税化による不公平是正などの抜本改革をすべて先送りにした。今回の所得減税規模の大半を占める定率減税部分は、制度減税ではなく、景気が回復するまでの一時的措置とされている以上、政府の見通しに立てば2〜3年のうちには廃止されることとなり、大多数の勤労者世帯に大幅な負担増がもたらされる。このような負担増の予告付き減税では、国民の将来不安の解消には何らつながるものとはならない。また、最終段階で「子育て減税」と称して扶養控除の引き上げが追加されたが、これは、これまで政府・自民党自身が表明してきた方向に反して所得税の課税最低限をさらに20万円近く引き上げることにつながる愚策といわざるを得ない。このように、自民党の所得減税案は、所得課税の抜本的改革を先送りしただけではなく、橋本内閣時代の場当たり的特別減税と同様に税制をますますゆがめる内容であり、到底国民の賛同を得られるものとはいえない。

 民主党は、税制の公平性確保と低・中所得層も含めた負担軽減のための税制改革の具体策として、納税者番号制度と総合課税化を前提とした所得税のすべての税率の引き下げ、所得税の扶養控除の見直しと組み合わせた歳出面での児童手当の抜本拡充による「子ども手当」の創設、基礎年金財源の全額税方式導入に向けた消費税の福祉目的税化等をすでに提案している。国民の将来不安解消につながる税制の抜本的な構造改革をできる限り前倒しで実現するという観点こそが重要である。民主党は、野党各党と連携を一層強め、次期通常国会においてこれらの提案の実現に向けて全力を挙げる。

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