民主党政策調査会長 伊藤 英成
本日、総額5.7兆円の平成10年度第三次補正予算が成立した。民主党は、現在の経済危機を打開するには、来年1月1日から6兆円規模の所得税・法人税の恒久減税を断行すべきであると主張した。にもかかわらず、政府・自民党は、我々の主張には一切耳を傾けず補正予算の成立を強行した。極めて遺憾である。本予算は従来のバラマキ型公共事業を柱としたものであり、このような小手先の対策では瀕死の状態に陥った日本経済、国民生活を立て直すことは到底不可能である。このことは、先に政府・自民党が事業規模約24兆円の「緊急経済対策」を決定すると同時に、日本の国債の格付けが引き下げられたことからも明らかである。
併せて、政府・自民党は財政構造改革法凍結法案の成立を強行した。われわれは、財革法の凍結そのものには反対するものではないが、凍結するのであれば凍結期間を2年間とし、その間に単なる予算の一律カットでない真の財政構造改革のあり方を真剣に論議すべきであることを主張した。政府・自民党は財革法の導入を強行し、そして今回、財革法の凍結を強行するという茶番を演じている。これは、政府・自民党の経済情勢に対する判断の誤り、政権担当力の欠如を意味するものである。自民党・小渕政権そのものが景気回復の最大の阻害要因であると断ぜざるを得ない。
次期通常国会に向けてわれわれ民主党は、以下の3点を重点に政府・自民党と厳しく対決していく。第一に、積年の無為無策により日本経済を未曾有の危機に陥れ、何ら反省の弁もなく無責任な政策転換を図ろうとしている小渕・自民党内閣の責任を厳しく追及し、倒閣に全力を傾注する。第二に、われわれが先に発表した国費ベースで総額20兆円の「構造改革につながる景気・雇用対策」の実現を求めていく。特に、選挙目当ての公共事業中心の政府・自民党の対策とは一線を画し、所得税・法人税の大規模減税、「子ども手当」の創設、ニュービジネス創造に資する社会資本整備等による経済の構造改革を実現し、民間・個人主導の景気回復をはかる。第三に、財政危機に瀕している地方財政を立て直すため、地方に権限と財源を大胆に委譲し真の地方分権社会を再構築する。
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