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1998/09/17
「食料・農業・農村基本問題調査会」答申について(談話)
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民主党農林水産部会
部会長 小 平 忠 正

・本日「食料・農業・農村基本問題調査会」より首相へ答申が行われた。同答申では、第1部の「基本的考え方」で、20世紀の経済至上主義がもたらした地球規模での食料問題や環境問題の反省に立ち、わが国の農業・農村が抱える厳しい状況について指摘したうえで、食料の安定供給の確保、農業・農村の多面的機能の発揮、食料・農業分野における国際貢献の必要性などを明快にうたっており、その方向性については評価できる内容といえる。

・しかし、第2部の「具体的政策の方向」では、一転して曖昧な記述が目立つ。とりわけ、今後の農政の基本となる食料自給率の向上については、「国民参加型の生産・消費についての指針としての自給率の目標が掲げられるならば意義がある」といった歯切れの悪い表現となっており、政府の責任のもと、自給率の向上を力強く進めるというイメージからは程遠いと言わざるをえない。

・また、優良農地確保のため「わが国全体として必要な農地の確保の方針を明示する」としているが、政府として食料自給の目標が不明確なままでは、必要な農地保全面積も明確にすることは困難である。さらに、答申では株式会社の農地取得について条件付きで途を開く方向を打ち出しているが、確たる農地保全政策が打ち出されない限り、農地の投機的利用の懸念は払拭できない。

・このように、今回の答申は前段の「基本的考え方」で的確な情勢認識を示しながら、後段の「具体的政策」で、農政の最も基本的な部分を曖昧にしているため、危機意識をもって農業・農村の現状を打開するという意志が伝わらず、全体的に著しく迫力の欠ける内容となってしまった感は否めない。

・民主党は現在、新たな農業基本法について党内論議を進めている。今後、世界の食糧安全保障の達成を展望しつつ、食料自給率の向上、優良農地の保全、所得政策の確立、環境保全型農業の推進、専業農業の経営安定、中山間地域対策など個別諸課題について具体的に検討を行い、民主党としての考え方を早急に取りまとめる予定である。

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