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1998/06/04
ガイドライン関連法案への対応について−中間報告−
政調審議会で確認
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民主党外交・防衛合同部会

我々は、日本の平和と安全に重要な影響がある事態において日米が適切な防衛協力を実行することは重要であり、そのために新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)を実効あるものにするための法整備が必要だと考える。日米防衛協力の際には、日本がその是非や内容を主体的に決めるべきことは言うまでもない。
既に政府はガイドライン関連法案を国会に提出しているが、政府案にはいくつかの問題がある。我々は、ガイドラインの運用と関連法整備についての基本的考え方を以下の通りまとめた。今後修正案を作成し、その実現を図りたいと考えている。

周辺事態安全確保法案

周辺事態の定義

政府は、周辺事態を「日本の平和と安全に重大な影響を与える事態」と定義する一方で、周辺事態安全確保法案に基づく防衛協力と日米安全保障条約第6条との関係を十分明確に説明していない。これでは協力対象が無限に広がるかの印象を与えるのみならず、具体的で実効性のある法整備や民間・自治体の円滑な協力を期待することも無理である。
我々は、周辺事態は極東及び極東周辺に限定されるべきだと考える。例えば、周辺事態安全確保法案に基づいて自衛隊がインド洋や中東、アフリカまで行くことはあってはならない。ただし、我々は極東及び極東周辺で起こった緊張を自動的に全て周辺事態とみなすものではない。「極東及び極東周辺で起きた事態で、かつ我が国の平和と安全に重大な影響を与えると我が国が認める事態」を周辺事態と考える。
新ガイドラインは、特定の国を敵視するものではなく、予防外交等が上手く機能せず、我が国の平和と安全に対して重要な影響を与える事態が極東及び極東周辺で発生してしまった場合に備えたあくまで防衛的な性格を持つものである。他方、中国に誤解を与えないために、中国は一つとの見解の下に、武力による台湾統一と台湾の一方的独立の双方に反対することを繰り返して明確に表明すべきである。

国会承認の定義と方法

政府提出の周辺事態安全確保法案は、周辺事態に必要となる措置の基本計画を国会に報告するにとどめ、国民の意思で計画を停止・修正できる仕組みを全く考慮していない。我々は、国会が必要に応じて周辺事態安全確保法案の基本計画を修正又は拒否できる仕組みを作るべきだと考える。
我々は、周辺事態安全確保法で定められた措置を実行するに当たっては、
以下の理由により国会承認が必要であると考える。

1. 政治の軍事に対する優先というシビリアン・コントロールの観点から、自衛隊の厳格な管理を実現するためには、国会がその活動をより直接的にチェックする仕組みが不可欠なこと、
2. 本法案が規定する措置は国民生活に大きな影響を与えるため、自治体や民間の協力を得て真に有効な日米防衛協力を実現するためには、国会が当該協力内容を点検し、国民の理解を得るべきであること、
3. 国民の理解と納得を超えた協力に対しては、国会承認によって歯止めがかけられるべきこと、
4. 周辺事態における措置は我が国の主権に密接に関係する行為であり、国権の最高機関たる国会の承認を求めるべきこと、
5. 派遣される自衛隊にとっても、その活動に対する国民的支持が明らかにされている方が望ましいこと等。

なお、国際連合平和維持活動協力法案は自衛隊による本体業務参加とその2年を超える継続については国会承認を規定している。PKOは国連の枠組みの中における平和維持活動であり、自衛隊の活動はPKO5原則のもとで軍事色の極めて弱いものとなっている。また、基本的には国外の遠隔地で行われることから国民生活への影響も限定的と考えられる。一方、周辺事態はその定義からして我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態であり、自衛隊の活動、国民生活への影響、国家としての主権行為等の面で、PKOよりもはるかに重い事態である。したがって、周辺事態法案に国会承認を規定することは、PKO法とのバランスからも妥当な手続きである。
国会承認の対象については、

1. 周辺事態の認定が基本計画の提出と事実上同じタイミングで行われること、
2. 自衛隊の活動のみならず地方自治体や民間の活動内容についても国会が関与するためには基本計画がふさわしいこと、
3. 「承認か拒否か」の二者択一ではなく、国会による計画の修正も可能にすることで柔軟な対応が可能なこと、

等により、基本計画とすべきである。
国会承認の方法については、大きく分けて事前承認、事後承認の二通りがある。緊急の場合には国会の承認を得ないで活動できる仕組みを取り入れた上で、事前承認の方法を取ることが望ましいと考える。なお、いずれの方法をとる場合でも、国会が周辺事態における日本の活動の是非や内容を定期的に見直す仕組みを作るべきである。

武器の使用と憲法

周辺事態に際しての自衛隊の武器使用は、当然のことながら憲法の範囲内で行われるべきである。国会による基本計画の承認に当たっては、この観点からも判断を加える。
現在までのところ、政府は周辺事態における自衛隊の武器使用について十分な説明を行っていない。例えば、

* 自衛隊の活動は戦闘区域と一線を画された区域でのみ行われることになっているが、こうした考え方が実際的であり、かつ自衛隊の活動が憲法の範囲内で行われることを担保できるのか
* 周辺事態において活動中の自衛隊が戦闘に巻き込まれた場合の対応についてどのように考えるのか
* 自衛隊法第95条の「武器等の防護のための武器の使用」が周辺事態においても適用されるのであれば、その憲法上の位置づけはどうなるのか
* 使用する火器の種類によって憲法上の問題が生ずる可能性があるか
* 政府案の武器使用規定で活動の実効性が担保されるか

等々、多くの点が不明確なままである。
我々は、こうした点について政府の見解を国会等において明らかにし、我々の基本的立場が担保されるようにして行く。

自衛隊法改正について

1. 我々は、邦人救出に万全を期すため、自衛隊法100条の8を改正し、艦船の派遣をオプションに加えることは必要な措置だと考える。
2. 派遣の際の武器使用は憲法の認める範囲内で行われるべきである。それを担保する観点から、例えば自衛隊法第95条との関係並びに派遣される艦船の種類などの点を国会論戦を通じて明らかにしていく。
3. 現在、日本政府は航空機や艦船(改正後)の事前派遣を自衛隊法100条の8の準備行為として行っている。しかしながら、準備行為は法的な位置づけが曖昧であり、外務大臣と防衛庁長官限りで自衛隊を世界中どこでも派遣できるかの懸念を招きかねないこと、派遣される自衛隊にとっても業務遂行上支障を生じかねないこと等問題点が多い。この際、航空機や艦船の事前派遣の根拠を法文中に明確に規定すべきだと考える。

以上

参考:国会承認の方法(案)

* 内閣総理大臣は、基本計画の案について国会の承認を得なければならない。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで基本計画を実施することができる。その場合、内閣総理大臣は、直ちに、基本計画について国会承認を求めなければならない。(国会による計画の修正も可。)
* 国会は(90)日毎に基本計画を見直し、継続するときはこれを承認する仕組みとする。政府は、国会の不承認の議決があったときは、遅滞なく周辺事態安全確保法に基づく措置を停止しなければならない。

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