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1999/02/01
ガイドライン関連法案に対する民主党の見解
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民主党 政策調査会

 民主党は日本の平和と安全に重要な影響を与える事態が発生した場合に、日米が適切な防衛協力を行うことは重要であり、憲法及び日米安保条約の枠内で、新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)を実効あるものにするための法整備を早急に行うことが必要であるとの基本認識に立っている。ただし政府提出のガイドライン関連二法案にはいくつかの重要な問題があり、我々は以下の点について国会の審議を通じて法案の修正を求めたり、政府の明確な見解を求めていく。


1. 法案修正を求める点

1.基本計画の国会承認

 我々は、周辺事態安全確保法案中、後方地域支援等に際して自衛隊の活動や自治体・民間に協力を求める内容を規定した基本計画は、国会承認を必要とするよう法案修正すべきだと考える。 国会承認の方法については、事前承認を原則としながら、緊急を要する場合に事後承認を認める余地は残す。また、国会が一定の期間経過後に基本計画の内容を見直すことができる仕組みとすべきである。

 政府提出の周辺事態安全確保法案が、周辺事態に必要となる措置の基本計画を国会に報告するにとどめているのに対して、同計画を国会が必要に応じて修正又は拒否できる仕組みとすべきことを我々が求める理由は、以下による。

1. 政治の軍事に対する優先というシビリアン・コントロ−ル徹底の観点。

2. 本法案が規定する措置は、国民の権利を制限することとなる可能性があること。

3. 派遣される自衛隊にとっても、その活動に対する国民的支持が明らかにされて いる方が望ましいこと。


2.法案が日米安保条約の枠内にあるべきこと

我々は、周辺事態安全確保法案は日米安保条約に基づく日米防衛協力の実効性を高めるための法律であり、本法案にもとづく日本の活動は日米安保条約の枠内にとどめられるべきだと考える。

政府は、周辺事態を「我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態」と定義しつつ周辺事態は地理的概念ではないとしてきたが、大変曖昧であり、自衛隊の活動範囲が無限に広がる可能性を残している。また、政府案は、日米協力がない場合にも自衛隊が単独で活動する余地を残している。

我々は、本法案の規定する活動が日米安保条約の枠内で行われることが担保されるよう法文修正を求める。具体的には、第1条(目的)に「日米安保条約の目的達成のために」等の文言を加えるか、又は「周辺事態に対応して我が国が実施する措置...」とあるのを「周辺事態に対応して、日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行う米軍と協力しつつ我が国が実施する措置」とすべきである。


2. 法案修正又は政府の明確な対応を求める点

1.事前協議の明確化

新ガイドラインに基づいて行われる日米防衛協力は、あくまで我が国が主体的に判断して実施すべきである。我が国の主体性を担保するためには、今まで実質的な協議が行われたことのない日米事前協議の制度を明確化し、適正に運用することが外交姿勢として大変重要である。我々は、事前協議の対象となる事態を改めて確認すること及び事前協議にあたる当事者を明確にすることを求めていく。


2.武器の使用と武力行使の明確な区分

「武器等の防護のための武器使用」を「自己保存のための自然権的な権利に基づくもの」ということはできず、従来の政府統一見解の修正を行うか又は周辺事態法においても自衛隊法95条の適用を我が国の領土・領海を超えた公海上では排除する旨の法文修正が必要である。


3.自衛隊の活動区域

周辺事態法第3条の規定で、果して自衛隊が戦闘区域で活動しないことを十分に担保でき、武力行使と一体となった活動に該当しないことが確保できるか国会審議を通じて確認していく。


4.後方地域支援活動における武器の使用

周辺事態法第11条は後方地域支援活動については武器の使用は認めていないが、後方地域支援活動においてもテロ活動など不測の事態を想定し、武器使用の規定を置く必要はないか国会審議を通じて確認する。


5.自治体・民間の協力

自治体や民間に協力を求めることは、国民の生活や権利義務に大きな影響が及ぶ可能性もある。具体的にどのような事項について協力を求められることになるのか国会審議を通じて明らかにしていく。


6.邦人救出にあたっての事前派遣(自衛隊法の改正)

航空機や艦船の事前派遣について自衛隊法100条の8を改正し、法律上の位置付けを明確にすべきである。


以上

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