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1999/04/26
周辺事態法に関する修正要求理由
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民主党

我々は、日米安保条約の実効性を高めること及び国民生活と日本の主体性を守ることの両方を追求する政党として、本日周辺事態法修正案を提出した。我が党の修正要求及びその理由は以下の通りである。


(1) 基本計画の国会による原則事前承認

政府原案は周辺事態の基本方針や活動内容等を定める基本計画を閣議決定及び国会報告事項とし、国会の関与を認めていない。また、自自公案は、国会承認の対象を対米後方地域支援及び後方地域捜索救助活動の2点を実施する自衛隊の活動のみを国会承認の対象としている。民主党案は、基本計画全体の国会による原則事前承認を規定している。これによって、自衛隊の活動はもとより、周辺事態の認定や基本方針、自治体・民間協力についても、政府が暴走した場合に国会が政府をコントロールする仕組みが法的に担保できる。特に、ガイドラインの重要な柱である自治体・民間の協力は、国民の対米協力に対する十分な理解を大前提としており、行き過ぎた協力依頼等に対して国会が政府をチェックできる仕組み(=基本計画全体の国会承認)が不可欠である。


(2) 60日毎の措置継続に対する国会承認

国会承認の日から60日を超えて措置を実施する場合は国会承認(基本計画の見直し)を求めるものである。自自公案では自衛隊の措置に限り一度限りの国会承認を定めており、国会が一度承認した後に事態が大きく変化したり、自治体・民間協力で大きな不都合が生じるなどの事態に際して、政府をチェックする法的仕組みが欠けている。


(3) 周辺事態法に基づく措置が日米安保の枠内であることを法案に明記すること

周辺事態法案はガイドラインに基づく日米防衛協力の実効性を高めることが基本であるが、政府原案では米軍が活動していない場合にも自衛隊が単独で活動できる余地を残しており、修正が必要である。


(4) 周辺事態の定義を「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態で、これを放置すれば我が国に対する武力攻撃の怖れが生ずると認めるもの」とすること

政府原案の定義(「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」)では、国家としての主体性意識に欠ける自自(公)連立政権のもと、米軍の要請に基づいて自衛隊が世界中に展開し、我が国の安全保障に直接関係のない遠隔地における米軍活動のために自治体・民間が協力を強いられることにもなりかねない。自自公修正案についても、準日本有事を例示の形で示したことについては一定の評価を下すものの、周辺事態を幅広に捉える政府統一見解や、周辺事態を自衛権の観点から捉えることで解釈改憲を目論む自由党の姿勢を考慮すれば、問題は依然として残っている。

民主党は、周辺事態を日本有事に発展する怖れがあると我が国が判断する事態と考え、それを単なる例示ではなく法文中に明確に定義する。表現的には自由党の主張と似通っているが、同党案は自衛権の拡大解釈を伴えば周辺事態をむしろ拡大しかねないのみならず、解釈改憲への道を開くことになりかねない極めて危険なものである。我々の考え方は、本法律ではあくまで周辺事態を専守防衛と関連付けて限定しようと言うものであり、自由党案の趣旨とは正反対である。

なお、民主党案の定義は、事態が日本有事に近づくまでガイドラインを発動できなくすることを意図するものではない。緊張度の低い事態であってもそれが将来日本への武力攻撃に発展する怖れがあると政府及び国会が判断する場合には、初期段階から政府案が想定しているのと同様の措置を取ることは当然である。


(5) 船舶検査には国連安保理決議を要件とすること(政府原案のまま。)

旗国主義に立つ限り、国連安保理決議がない場合には当該船舶の旗国の同意を得なければならず、船舶検査の実効性を確保できない。また、ガイドラインでは国連安保理決議に基づく船舶検査について日米両国が合意しており、これをはずすことはガイドラインの枠組みを逸脱するものである。


(6) 後方地域支援活動についても武器使用の規定を法案に明記すべきこと

政府原案には後方地域支援における武器使用規定がなく、不測の事態において自衛隊員の安全が確保されないか、あるいは超法規的な武器使用を許すことになりかねないため、武器使用規定を本法案中に明記すべきである。


以上

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