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1999/07/15
民主党沖縄政策
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民 主 党

 はじめに

1. 章 基本方針
2. 章 政策課題
1 沖縄振興策
2 基地問題
3 その他の課題

 まとめ



  はじめに

民主党は昨年4月統一された新しい政党として発足して以降、党内に沖縄に関する総合政策調整プロジェクトチームを設置し、沖縄北方部会とともに「民主党沖縄政策」について検討を積み重ねてきました。
本文書は、これまでの検討作業のあらましを集約したものであり、今後、沖縄県連や地元の関係団体等の意向も聴取し、かつ、民主党安全保障基本政策との整合性を図りつつ成案を得ることとします。


1. 章 基本方針

1.沖縄が本土に復帰して27年が経過しました。この間、沖縄県民のたゆまない努力と政府の施策等があいまって社会資本の整備を中心に、一定の発展を遂げてきました。
しかしながら、米軍基地の重圧、所得格差、高失業率等、いまなお解決すべき
課題が山積している状況であります。最近では、大手海運業の事実上の倒産、大型リゾートホテル等の経営不振も相次ぎ、沖縄経済、企業経営は危機的状況にさえ立たされております。

2.民主党はこのような現状を直視し、沖縄県民の要望を十分に受け止め、政権を担う党として対案を提起し、諸課題の解決のために取り組んで参ります。

3.民主党は、沖縄の苦難の歴史に思いをいたし、過去の負の遺産が名実ともに克服され、21世紀の沖縄が、万国津梁の精神のもとでアジアと世界への平和の架け橋となり、わが国はもとより近隣諸国に貢献できる南西の結節拠点の地位をしめるよう全力を尽くします。

4.民主党は、沖縄の特性をいかした振興発展が、経済の自立化を図り、県民に安定した恵みをもたらし、潤いと活力に満ちた地域社会が実現できるよう国政の場から積極的に支援していきます。


2. 章 政策課題

1 沖縄振興策

1. 自立経済確立への展望
沖縄の主体性を発揮し、地場産業、地域特性を生かした新しいベンチャー産業などを開発、創造し、以って自立経済の展望を切り拓いていきます。
「蓬莱経済圏構想」を提起し、真に1国2制度の名に値する自由貿易地域制度の一層の拡充を図って参ります。
日本の中におけるマルチメディア先進県と位置づけ、高度情報化社会の到来に対応した情報基盤の整備など各種施策を展開していきます。

2. 観光
多様化していく内外の社会動向に対応していける観光立県をめざします。そのためのハード、ソフトのインフラ整備や人材育成等を積極的に進めます。
交通コストの低廉化、海外からの入域緩和等アクセスの改善を図り、中・長期リゾート型をめざします。また、国内各地のお年寄りが長寿県・沖縄に中・長期滞在するための保養基地を創設させ、寒暖地域の交流を促進していきます。
3. 鉄軌道
沖縄の21世紀を展望する場合、交通アクセスの根本的改良、近代化が不可欠です。定時・定速の鉄軌道敷設は、県土の有効活用はもとより、産業経済振興の動脈としても是非とも実現していかねばならない最大の課題であります。
とくに、那覇空港を基点に、南は平和祈念公園まで、北は海洋博記念公園までの鉄軌道導入を構想し、目下、建設中の都市モノレール運行開始(2003年12月)後の延伸とも関連づけて総合交通体系の整備を推進していきます。

4. インフラ整備および交通事業の支援
那覇空港の平行滑走路の増設など那覇空港の増設拡張と国際化、国際港湾としての那覇港や中城湾港等の整備、那覇空港自動車道、地域高規格道路および各種道路の整備を促進していきます。
また、厳しい経営状況にあるバス企業、海運業、離島航空事業等について有効な経営支援策を積極的に推進していきます。

5. 環境保全
沖縄の豊かで多様な自然環境は、わが国がほこる共通の財産であることを認識し、振興開発等をすすめるに際しては、環境の保全に最大の考慮が払われなければなりません。基地内環境破壊の徹底解明と、赤土対策等をはじめ環境保全のための施策に万全を期し、沖縄のすばらしい自然環境が保全されつつ観光発展にも資するよう、取り組んでいきます。

6. 雇用の創出、失業対策
雇用の創出は、産業・経済の振興によりもたらされることが基本ですが、沖縄における深刻かつ恒常的な雇用失業情勢はそれのみでは対応できない複合的なものがあります。政策主導に基づく雇用確保が不可欠であり、職業能力開発の一層の充実、基地従業員離職者対策をはじめ、制度・予算措置を含めて取り組まなければならない政策課題といえます。

7. 人材育成
21世紀の沖縄の盛衰は、人材育成の正否にかかっているといえます。起業家精神に富み、チャレンジャー意欲あふれる若い世代の育成こそが、産業の振興と長期的な経済発展に結びつきます。そのための高等教育機関や技術研修・研究機関の設置、技術先進国への留学支援等、諸施策を推進していきます。

8. 農林水産業
沖縄の農林水産業は、後継者の問題や省力化の課題を含め、徹底した構造改善が求められています。同産業は、わが国の中で亜熱帯気候を活かした特色ある農水産物を供給する位置をしめており、沖縄経済の重要な一翼を担う産業であります。離島・山間地域の定住促進や観光リゾート産業の連携強化等をはじめ、農林水産業の役割を重視した支援策を推進していきます。

9. 国の支援策
沖縄振興策を推進する上で重要なことは、沖縄県側の要望を十分に受け止めて、その実現に向けた政策および予算措置の両面から国の支援を確保することです。このことは、政党がやるべき極めて重要な役割であり、民主党は先頭に立ってその役割を担って参ります。

2 基地問題

1. 基本認識
民主党は、日米安保条約を引き続きわが国の安全保障政策の基軸に据えるとの基本的立場を有するが、戦後半世紀余の長きにわたり米軍基地が沖縄に集中し、県民に大きな犠牲と負担を強いてきた歴史的事実を直視し、その負担軽減のために全力で取り組むことを、あらためて表明します。

2. アジア戦略構想の再考
アメリカ国防総省がまとめた東アジア戦略構想には、アジア地域における米軍兵力の10万人体制維持が謳われています。朝鮮半島情勢の動向やアジア・太平洋地域の戦略環境がどのように変化していくかを慎重に見極める必要性はあるものの、沖縄に在日米軍の約75%が集中しているという過重負担をどう軽減するかは、同時並行に考えていかねばならない重要な課題です。「沖縄の理解なくして日米安保は存続しえない」という現実を直視するとき、特に沖縄からの要望が強い米海兵隊の他地域への移駐は、積極かつ真剣に議論されなければなりません。

3. 当面の基地整理・縮小の目標
基地の整理・統合・縮小の当面の目標を「ハーフオプション」におき、沖縄県内基地の再編・統合と、日本本土および国外への移設を、積極的に推進していきます。

4. SACO(沖縄に関する特別行動委員会)・
現行のSACO最終報告は、関係者の合意形成を前提に着実に推進していきます。しかし、同報告の進捗状況が思わしくないこと、その達成後においても70%の米軍基地が沖縄に継続して集中することから、SACO・は不可欠であり、SACOの進捗状況と合わせて、今後検討していきます。

5. 那覇軍港・普天間飛行場
那覇軍港の返還・移設は、規模と機能を縮小させ、浦添市の受け入れが可能な環境整備を行ない推進していきます。
普天間飛行場の返還・移設は、沖縄県の検討結果を見守りつつ対応します。同飛行場のおかれた危険な状況を勘案すれば、早期返還は急務の課題となっています。また、同返還地の跡利用は国家的事業として推進し、沖縄の21世紀の産業・経済の振興、国際化に大きく影響するだけに、その実現に力を入れていきます。

6. 返還跡地の有効利用
返還跡地問題は沖縄米軍基地の整理・縮小の促進の上から、また、返還跡地の有効利用の面からも極めて重要な政策課題であります。制度的・財政的措置を盛り込んだ軍転法の改正が不可欠であります。民主党は改正案を準備して、県や軍用地主会、関係団体等とも意見交換し、自民党並びに他党にも働きかけていきます。また、上本部飛行場、読谷補助飛行場等の返還跡地(予定地含む)等についても、法適用を可能とする措置を検討していきます。

7. 地位協定
日米地位協定を検証し、米軍優先の解釈・運用を改めさせ、地位協定の見直しまたは改正を求めていきます。また、米兵犯罪、航空機墜落等の事件、事故、および基地内環境汚染についてはその根絶を図るための抜本的対策を講ぜさせます。

3 その他の課題

1. 2000年サミット(主要国首脳会議)
サミット成功のため民主党は全力で支援していくとともに、基地問題とリンクさせる手法やプレッシャーを取り除いていきます。
沖縄で首脳会議が開催される意義をふまえ米国関係者と沖縄側の意見交換の場づくり、レーバーサミット、若者サミット、およびアジアサミット等の開催などを提起し、その実現に努力していきます。

2. 各プロジェクトの推進
現在、政府が進めている沖縄政策協議会および沖縄米軍基地所在市町村懇談会(島田懇)における各プロジェクトについても検討を加え、民主党として各自治体と連携しその実現方を支援して参ります。

3. アメラジアン(国際児)の教育権保障
日本国憲法、教育基本法、児童福祉法の理念に基づき、アメラジアンの教育権を保障し、公的助成を含め教育環境の整備、および養育費を確保するための米国との協定締結等の措置について実現を図ります。

まとめ

1 沖縄経済新法(仮称)
国の沖縄への支援策は、法的裏付けによってなされる必要があります。現行の三次振計を定めた沖縄振興開発特別措置法は、2002年3月に期限切れとなります。今後策定される沖縄経済振興21世紀プランや、ポスト三次振計の法的裏付けとして「経済新法」を位置づけるか、あるいは、「沖縄基本法」(仮称)を対案として提起するか、今後、引き続き沖縄総合政策調整プロジェクトチームでの検討課題とします。

2 沖縄問題懇談会
政府の沖縄経済振興21世紀プラン等の各施策が着実に推進されるよう監視、評価、問題提起するための機関として、国会議員と民間有識者からなる沖縄問題懇談会を設置していきます。

以上

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