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2000/04/13
外務公務員(外交官)の人事制度に対する考え方
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民主党 ネクスト・キャビネット大臣
外交・安全保障担当 伊藤 英成

趣 旨

わが国の存立が、諸外国との良好な外交関係の維持・発展に大きく依存するという地理的・政治的条件は今後とも変わらない。民主党は、平和を創る積極的な外交の展開を目指している。
特に冷戦終了後、予防外交の必要性が認識されるにつれて、政府がNGOなどと連携し、外交の選択肢を広く持つための多元的・多層的な外交の展開が模索されている。
こういった外交の展開のためには、日本を代表しダイナミックな諸活動を展開し得る能力と意欲を持った外交官が必要である。これら外交の基盤となる人材について、女性の登用も含めて多様な人材を広く社会から登用するとともに、任地・任務の特質を考慮した適材適所を図れるように登用・昇任、人事交流や人材養成等、人事制度の改善が必要である。
日本外交の質的向上のために、以下の改善策を提言する。


提 言 1:任地・任務に適した大使・公使等の政治任用(ポリティカル・アポインティー)の拡充

日本の大使人事は職業外交官といいながら、内実は任地国の言語能力や知識、在住経験を問わないばかりか在任期間も短く、年功序列の腰掛け大使とも揶揄されている。
日本の顔ともいうべき大使等は、国際的な人脈を有する政治家、学者、有識者、NGO関係者を含む民間人等を政治的任用(ポリティカル・アポインティー)によって任ずる機会を増やすべきである。また、各国の情勢等による柔軟な任期のあり方、専門性を重視した任命などを図る。さらに、国や任務によっては、大使任命にあたって、国会での委員会承認などチェックが出来るようにすべきである。

<参考>外交における職業外交官以外での任命という観点では、以下の例がある。

1. アメリカの政治任命大使:162人中54人(33%)[1996年現在]
2. ベルナール・クシュネル氏(NGO「国境なき医師団」創設者。現在、フランス人道援助省大臣。国連コロボ暫定統治機構代表)
3. クリストファー・パッテン氏(英国による香港総督への政治任命)
4. オーストラリアでは、シン・クレア前駐英大使、ボブ・ハルバーソン駐アイルランド大使、ジョン・スペンダー駐フランス大使、ディヴィッド・コネリー駐南アフリカ大使、等



提 言 2:意欲・専門・能力・実績に応じた人事制度の確立

職業外交官において、キャリア組は一旦採用されるとほぼ全員が、年次とともに自動的に昇任し、大使に任命される人事が通例である。一方、ノン・キャリアは意欲・資質・能力があっても、事実上ある一定レベルで昇任の途が閉ざされる実態は改善されていない。
幹部昇任人事については、採用後、一定期間ののち、定期的な審査期間を設け、厳正な人事考課に基づき、キャリア・ノンキャリア、年次の垣根を越えて、意欲、専門知識、能力、実績等の評価に応じた柔軟な人事制度を確立する。

<参考>119人の大使中、キャリア組;95人、ノン・キャリア組;16人、
            他省庁出身;6人、民間人;2人 [2000年3月現在]


提 言 3:民間との人事交流の促進

従来は、外交の専門性の観点から職業外交官が一元的に外交を担ってきた。しかし、科学技術が進展し、環境問題等様々な地球的規模の問題が噴出する中、多様な外交課題に対処していくためには、専門性に応じた人材を登用していくことが必要である。
すでに各国大使館においては、各省庁から派遣された職員が、それぞれの専門分野で外交官として活躍しているが、外交の裾野を広げるためには、官僚だけではなく、各国に幅広い人脈等を有する議員OB、有識者、NPO関係者などを含め民間から広く人材を集めるべきである。
旧来の公式チャネルだけではなく、民間シンクタンクやNGOなど多様な民間組織との連携・協力を促進すべきである。
さらに、外交官の内政や民間事業への理解を促し、民間との連携や調整能力を向上させるため、外交官を積極的に民間企業やNGOに派遣し研修させるなど、民間との積極的な人事交流を図るべきである。

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