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2002/02/22
伝染性海綿状脳症対策緊急措置法案
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(目的)
第一条
この法律は、安全な牛肉(食用に供する牛の内臓を含む。以下同じ。)を安定的に供給する体制を確立するため、伝染性海綿状脳症の予防、国の助成等に関する緊急措置を定め、もって国民の健康の保護並びに肉用牛生産及び酪農、牛肉に係る製造、加工、流通及び販売の事業、飲食店営業等の健全な発展を図ることを目的とする。


(定義)
第二条
この法律において「感染牛」とは、伝染性海綿状脳症にかかっている牛をいう。


この法律において「特定牛」とは、次に掲げる牛をいう。
一 感染牛との同居歴等から疫学的な関連性が高いため感染牛である疑いがあるものとして政令で定める要件に該当する牛
二 牛肉骨粉等を原料又は材料とする飼料を給与されたことが確認された牛


この法律において「牛肉骨粉等」とは、次に掲げるものをいう。
一 牛の部位を加熱して油脂を除き、乾燥させて粉末にしたもの
二 牛の部位及び豚、鶏その他の動物の部位を加熱して油脂を除き、乾燥させて粉末にしたもの
三 牛の血液を加熱して凝固させ、乾燥させて粉末にしたもの
四 その他政令で定めるもの


この法律において「牛の特定部位」とは、牛の脳、せき髄、眼及び回腸(盲腸との接続部分から二メートルまでの部分に限る。)その他政令で定める牛の部位をいう。


この法律において「特飼牛」とは、次に掲げる牛をいう。
一 搾乳の用に供されていた牛で搾乳の用に供されなくなったもの
二 繁殖の用に供されていた牛で繁殖の用に供されなくなったもの


(感染牛及び特定牛の買入れ)
第三条
国は、感染牛及び特定牛を買い入れるものとする。


前項の規定による買入れをする場合における感染牛又は特定牛の価格は、感染牛又は特定牛でない牛の価格を基準として定めるものとする。


(牛肉骨粉等の買入れ)
第四条
国は、牛肉骨粉等(牛肉骨粉等を原料又は材料とする飼料を含む。以下同じ。)を買い入れるものとする。


前項の規定による買入れをする場合における牛肉骨粉等の価格は、国内において感染牛の発生が確認される前の牛肉骨粉等の価格を基準として定めるものとする。


(平成十三年十月十八日前に解体された牛の牛肉の買入れ)
第五条
国は、平成十三年十月十八日前に国内において解体されたことが確認された牛の牛肉(牛肉以外の牛の部位を含む。次項及び次条第一項において同じ。)を買い入れるものとする。


前項の規定による買入れをする場合における牛肉の価格は、国内において感染牛の発生が確認される前の牛肉の価格を基準として定めるものとする。


(感染牛等の焼却)
第六条
国は、第三条第一項の規定により買い入れた感染牛及び特定牛、第四条第一項の規定により買い入れた牛肉骨粉等並びに前条第一項の規定により買い入れた牛肉を焼却するものとする。


国は、前項の規定による焼却を市町村に委託することができる。


(牛の特定部位の焼却)
第七条
国は、牛が解体された場合等における牛の特定部位の焼却の確実な実施を推進するため、焼却費用の負担その他の牛の特定部位の焼却に関し必要な措置を講ずるものとする。


(特飼牛の買入れ)
第八条
国は、特飼牛の所有者からその買入れを求められたときは、これを買い入れるものとする。


前項の規定による買入れをする場合における特飼牛の価格は、国内において感染牛の発生が確認される前の特飼牛の価格を基準として定めるものとする。


国は、第一項の規定により買い入れた特飼牛については、収容、と殺その他の必要な措置を講ずるものとする。


(伝染性海綿状脳症に関する牛の検査)
第九条
国は、次に掲げる伝染性海綿状脳症に関する牛の検査が確実に実施されるよう必要な措置を講ずるものとする。
一 六月を超えない期間ごとに一回の牛の健康状態の検査
二 と畜場における解体時の牛の延髄の病理組織検査及び免疫生化学的検査
三 死亡(と殺による死亡を除く。)の時の牛の延髄の病理組織検査及び免疫生化学的検査


国は、前項各号の牛の検査の結果が速やかに公表されるよう必要な措置を講ずるものとする。


(牛に関する情報の記録等)
第十条
国は、消費者の牛肉の安全性に対する信頼を回復する等のため、牛一頭ごとに、生産された施設、給与された飼料等に関する情報を記録し、管理するための体制の整備に関し必要な措置を講ずるものとする。


(牛肉骨粉等に関する規制措置)
第十一条
国は、当分の間、伝染性海綿状脳症を予防する見地から、牛肉骨粉等の動物への給与又は肥料としての利用の禁止その他牛肉骨粉等に関し必要と認められる規制措置を講ずるものとする。


(経営安定のための助成)
第十二条
国は、平成十三年度及び平成十四年度において、国内において感染牛の発生が確認されたことにより経営が不安定になっている牛の生産者、牛肉に係る製造、加工、流通又は販売の事業を行う者、飲食店営業者等であって政令で定めるものに対し、その経営の安定を図るために必要な助成を行うものとする。


国は、前項の助成を行うに当たっては、感染牛又は特定牛であることが確認された牛の所有者に対し、特段の配慮を行うものとする。


(と畜場の整備のための助成)
第十三条
国は、平成十三年度及び平成十四年度において、安全な牛の解体(牛肉が牛の特定部位により汚染されることのない牛の解体をいう。以下同じ。)の確実な実施を推進するため、と畜場の設置者又は管理者に対し、と畜場の整備に要する費用の助成を行うものとする。


(調査研究体制の整備等)
第十四条
国は、伝染性海綿状脳症及びこれに関連する人の疾病を予防するため、調査研究体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。


(知識の普及等)
第十五条
国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じた伝染性海綿状脳症に関する正しい知識の普及に努めるものとする。


国及び地方公共団体は、安全な牛の解体に必要な技術の向上を図るため、技術の研究開発を推進し、その成果の普及に努めるものとする。


(政令への委任)
第十六条
この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。


附 則


(施行期日)

この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。


(この法律の失効)

この法律は、平成十九年三月三十一日限り、その効力を失う。


(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部改正)

飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
  附則に次の見出し及び三項を加える。


(牛肉骨粉等を原料等とする飼料の製造等の禁止)

当分の間、何人も、牛肉骨粉等(伝染性海綿状脳症対策緊急措置法(平成十四年法律第   号)第二条第三項に規定する牛肉骨粉等をいう。次項において同じ。)を原料又は材料とする飼料を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は使用してはならない。



前項の規定に違反して牛肉骨粉等を原料又は材料とする飼料を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は使用した者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。



法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。ただし、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し、相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。


理 由


我が国における伝染性海綿状脳症の発生が、国民に牛肉の安全性に対する不信感を生じさせ、牛の生産者や牛肉に関係する事業者に深刻な被害をもたらしている状況にかんがみ、国民の健康の保護並びに肉用牛生産及び酪農、牛肉に係る製造、加工、流通及び販売の事業、飲食店営業等の健全な発展を図るため、伝染性海綿状脳症の予防、国の助成等に関する緊急措置を定め、安全な牛肉を安定的に供給する体制を確立する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


本案施行に要する経費


 本案施行に要する経費としては、約三千億円の見込みである。

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