地方自治体議員フォーラムの全体研修会が30日午後、都内のホテルで開かれ、「地方自治体議会改革」と題して廣瀬克哉法政大学教授、「格差社会と地方自治体改革の今後のあり方」と題して森永卓郎経済アナリスト、「地方の危機と改革」と題して達増拓也岩手県知事がそれぞれ講演した。
廣瀬教授は、地方議会に住民の関心がないのは危機であるとして、関心がもたれるように、議会を討論の場として、世論形成、論点・争点を公開することが議会の使命だとした。そのために、住民参加の議会を公聴会の開催や意見陳述の場の設定などを通じて積極的に行うことが重要だと提案した。
森永氏は、新自由主義の基にある新古典派の経済学では、人間を自分のことしか考えない、自分の利益を最大にすることを行動原理とする存在と捉えていることを紹介し、このような考えの下で構造改革が進められた結果、株主配当が3倍、大企業の役員報酬は2倍に増え、中小企業の役員報酬と雇用者所得は減っている現状があると指摘。さらに、日本が2006年の公表統計で、アメリカに次いで世界で2番目に貧困率が高くなったことを紹介した。特に、30代前半の所得が減り、非婚率が49.4%にも達していることこそが、日本の最大の課題であるとした。
達増知事は、地方が人口減、所得減、医療の破壊という三つの危機に見舞われているとして、これは、中央政府の政策によってもたれされたものであると指摘。こうした危機を希望に変えるために、岩手を四つの広域地域に分けること、コミュニティの育成強化の二つの戦略で取り組んでいることを報告。所得が低くても心豊かに暮らせるセーフティネットをつくる必要があるとした。
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