本日は皆さんありがとうございました。そしてご意見を言っていただく各先生方、きょうは本当にありがとうございます。
私たちは、地域のエネルギーをもっともっと起こしたい、中央のコントロールから地方を解放して、地域のエネルギーを起こしたい、そう思っています。一方、中央政府はメルトダウンしているのではないだろうか。役割をもっともっと限定して、そのかわり限定された役割は徹底して果たす、そういう中央政府にしなければならないのではないかと考えております。
先ほど鳩山代表からも話がありましたように、私たちは小泉内閣がいい仕事をするならば、それに対しては心から応援をするということだと思います。そして改革の競争をするということだと思っています。菅さんは「足を引っ張るのではなくて、頭を引っ張る」、こういう表現をしていますけれども、そういう姿勢であります。
ただ、気をつけなくてはいけないのは、第1に、残念ながらそれを支える自民党の体質は変わっていないのではないだろうか。現に「応援をしなければ補助金を出さないぞ」というたぐいの行動がいまなお見られます。
第2に、きょうのテーマとの関連でいえば、小泉さんは国庫支出金を減らす、地方交付税交付金を減らすというようなニュアンスの発言を既にしておられます。私たちは、はたしてそれが改革なんだろうかというふうに思っています。つまり、国と地方の関係における構造改革というのは、国庫支出金や地方交付税を単に減らす、こういうことではなくて、地方に主体性を与えて、権限、特に事務の権限というよりは事業の権限、そして財源を与えることだと考えております。
そこで私たちは税財源を含む分権、地方財政改革のプログラム案を提示をしたいと思っています。できるだけシンプルに説明をしたいと思います。
まず、民主党政権あるいは民主党中心の政権が樹立をしたら、次年度予算から個別補助金等を全廃する。一括交付金を創設をする。そして5年後に地方への税源移譲を行う。こういうことを考えております。
少し詳しく申し上げますが、まず一括交付金の創設であります。できるだけ単純化して申し上げます。私たちは直ちに国と地方の役割分担を大幅に見直したいと考えております。道路でいえば、1号線から58号線までは国道だ。しかし、150号線とか280号線といった3桁の国道はすべて地方道にさせていただきたい。そのかわり、それまで3桁の国道に使っていた補助金は基本的に自治体に交付をさせていただきますから、基本的には使い道も含めて自由にお使いください、こういう制度であります。
補助金・負担金というのは、平成13年度予算で16.9兆円あります。補助金、負担金の区別は、きょう専門家の方もいらっしゃいますけれども、実質的にはあいまいであります。これら補助金・負担金の大部分を都道府県と市町村別に幾つかに類型化をさせていただいて、たとえばこのような形で類型化することを現時点では私たちは考えておりますけれども、交付をさせていただく。
配分基準はといえば、これは5年間の経過措置であること。同時に激変緩和ということもこれありで、直近5年間のそれぞれ市町村、都道府県が受け取った補助金等の平均額としたいと思っています。
ちなみに、約3年前地方分権推進委員会があって、公共事業の補助金改革に手をつけようとしました。しかし、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、いわゆる族議員の皆さんの手によってまったく手つかずで終わってしまったという経緯があるわけです。補助金等の一括交付金化は、先ほど申し上げたような補助金をエサにして選挙をする党にはなかなかできないだろう。またこのことの実現でいわゆる利益誘導政治というものが根本的に転換されるのではないだろうかと考えております。
次に、このことを5年間続けた後に、所得税の一定割合を地方税に移行したいと考えております。いま仕事量は実は国を上回っているのが地方でありますけれども、税収の比率はおおよそ国が2、地方が1となっております。これを所得税の一定部分を住民税に移譲することで、国と地方の税収率を1対1にしたいということです。
最近、片山総務大臣も1対1、5対5に将来はしたいんだという話を委員会で初めてしたのです。しかし、「景気が回復した後には」、こういう前置きが必ずある。いつになったら景気が回復するのか。逆にいえば景気が回復しなかったら地方への税源移譲はしない、こういうことなんだろうと思います。
たしかに、それでなくても厳しい国の財政だから、所得税を住民税に一定部分移譲してしまったら国の税収に穴があくではないかという懸念が当然出てくるだろうと思いますが、それはいわゆるマクロベースで税収中立にすればいいだけの話ではないかと考えております。つまり、国から見ると所得税収は減ります。しかし、その分は従来の地方交付税交付金や補助金・負担金、この補助金・負担金はわれわれの案でいけば一括交付金でありますが、これらを減らせばいいわけであります。したがって、国の財政をこのことで悪化させることはないということです。
そしていま申し上げたように、国から見た所得税収分を減じた上で、残った地方交付税交付金と一括交付金を合わせて新たな財政調整の仕組みをつくるということであります。現在の地方交付税交付金の算定の仕方は、知っている人は総務省でも数人ぐらいしかいないのではないかと言われていますので、私たちはできるだけシンプルなものにしたい。人口と面積に応じた配分を行うことを基本に考えております。
いま申し上げた地方財政改革のイメージをもう一度簡単に確認したいと思います。ステップ1で、現行の補助金等、17兆円ありますが、これが一括交付金に変わる。この17−AのAというのは、国が全額負担する最低限の真のナショナル・ミニマムです。生活保護等をいまのところ私たちは真のナショナル・ミニマムの一つだと思いますが、それをAにしている。その次の段階で、国の所得税収を住民税に一部移譲しますから、地方税収がふえて、地方税収のふえた分を国から地方への財政移転支出である地方交付税と一括交付金から減じて、その残った分を財政調整交付金に充てるという考え方です。
非常にシンプルに説明をさせていただきましたが、実は学者さんも何人か入れて、このような形で地方税源の移譲を行い、同時に、一括交付金と地方交付税交付金を新たな財政調整交付金に集約した場合どんな地方財政の姿になるかということで、さまざまな形でいまシミュレーションをしている、本当の一つの例です。当然、配分比率をどうするか。たとえば都道府県民税、市町村民税に所得税収を振り分けるときにどのような比率で振り分けるかで全然試算が変わってきますし、財政調整交付金とわれわれが申し上げているその交付金のさっき人口と面積で基本的に配分すると申し上げましたが、どのぐらいの割合で人口、面積を見るのかでももちろん変わってきて、シミュレーションを百通りも二百通りもやっていることだけここでは申し上げたいと思います。
こういう形で私たちとしては基本的な考え方としてあらましでありますけれども提示をさせていただいて、まさに野党第一党である民主党が政権をねらいながら、自分たちで政策をつくって改革の競争をするということを実行しようと考えているわけです。
なお、お手元の配付資料には地域振興政策案、「百花繚乱の地方(まち)を創る」「市町村合併に対する考え方(案)」「コミュニティ政策案」がそれぞれ添付されております。ごく簡単に説明いたします。
まず地域振興策ですが、なぜ地域振興についての基本的考え方をあえてここで提示したかということです。特に地方中小都市や農村に参りますと、「民主党は公共事業を批判するばかりで、私たちは何で飯を食うのか」と言われるわけであります。それに対して私たちは、分権改革を進めます」というふうに申し上げますが、率直に申し上げて地方中小都市や農村のそういった素朴な問いに対するわかりやすい答えにはなっていないというふうに思いましたので、あえて方向性の提示を行うものであります。
しかし、あくまで百花繚乱の地方、多様で自立した地方を実現するためには、先ほど申し上げたような地方分権改革、地方財政改革、それに地方自治体の政策形成能力の向上、情報公開原則の徹底などがその前提であり、不可欠の要件だと考えています。
その上で、特に50万社を超える建設会社で600万が雇用されているわけです。これからその600万の雇用が半減すると言われているわけですが、その分の地方における雇用の受け皿は福祉、環境、NPO産業などに求めていけるのではないかというものであります。従来型公共事業と年金の経済波及効果を実際に島根県を例に産業連関表をベースに解析しましたけれども、地方中小都市や農村においていかに年金が重要な経済的資源となり得るか。介護基盤の雇用効果が従来型公共事業よりも2倍高い。地域密着型の規制改革で、特に高齢者向けのサービス産業を起こせるのではないか。たとえば10人の高齢者がドライバーつきの車、いわゆるハイヤーをシェアしたいと思った。しかし、いまは規制でそれはできません。そういう地域密着型の規制改革がこれからとても大事になってくるのではないか。
さらに「緑のダム構想」、山の手入れを継続的に行うことによる雇用、農政重視、特に生産者グループの直接の販路開拓支援、資源循環時代を迎えての業態転換支援。そしてNPO。NPOによる雇用は少ないが、いま伸びのスピードはかなり速い。私たち民主党はNPOに対する優遇税制を考えており、現在のNPO法人の約9割が対象となる案を考えています。
以上の点などを中心に、従来型公共事業偏重のまちづくりから、福祉、環境、NPO重視のまちづくりへの方向性の提示を行うものであります。
次に、市町村合併の民主党の考え方です。一言で申し上げれば、積極的に推進をするけれども、強制をするものではない、というものです。そしてそれらは事業権限と財源の分権と並行して行われるべきものだという考え方です。さらに市町村合併を進める際のポイントの一つは、「基礎自治体は大きくなった。だけど、サービスはさらにきめ細かくなった」、こういうふうに言われるかどうかだと思っています。基礎自治体はさらに大きくなった、でも行政サービスはさらにきめ細かくなった、そのための装置にもなればいいという意味も込めて、コミュニティ政策も検討をしています。これは単に自治体の下請というのではなくて、住民が自発的に地域の行政サービスの提供や政策決定の参加ができるようにするためにどうすればよいかという観点で、たとえば神奈川ネットワークなどの活動も参考にしながら現在検討を進めているところでありまして、後でこれは中川さんから補足があろうかと思います。
時間ですので冒頭のプレゼンテーションをこれで終えますけれども、きょうは民主党のNCの公聴会ということであります。いわば政策の最終案をつくる一過程ということでもありますので、きょうご参会の会場の皆さんも含めて忌憚なきご意見をいただいて、よりよい最終案というか政策をつくり上げたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。以上です。(拍手)
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