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2000/10/04
日本の危機・民主主義の危機〜与党が参議院の選挙制度を自分勝手に変えようとしています。
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■選挙制度は議会制民主主義の基本
 選挙制度をどうするかは議会制民主主義の基本です。一部の政党だけが自分たちの都合だけで変えてはなりません。そのため、これまでの国会では、全会派(政党)の代表者による協議会を設け、議論を尽くして全会派が合意した上で、選挙制度の改革が行われてきました。


■今年2月には「現行制度維持」で与野党が合意
 参議院の選挙制度は、99年6月24日に「参議院選挙制度に関する協議会」が斎藤参議院議長の下に設けられ、今年2月25日に報告書をまとめ、全会派がこれを了承しました。その内容は、「抜本的改革は次回の通常選挙に間に合わせることは時間的に困難」として、来年7月の参院選は「現行の拘束式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることとなった」というもの。衆議院が解散された6月2日には斎藤議長が各会派の代表者を呼び、改めてこれらの合意内容を再確認しました。

【参考資料】参議院選挙制度改革に関する協議会報告書(平成12年2月25日)


■衆議院選挙の結果で自民党は大あわて
 ところが、6月25日に行われた衆議院選挙の結果、選挙区では候補者名を書いても、比例区で「自民党」という党名を書いた人が800万人も少なかったことから参議院の自民党幹部は大あわて。このままでは来年の参院選で過半数割れ間違いなしと危機感を募らせました。


■金で比例名簿の順位を買った?「久世問題」発覚
 さらに、選挙後の7月には、参議院議員の久世公堯・前金融再生委員長がある企業から1億円の資金提供を受け、別な宗教団体から提供された名簿と合わせて、党費として納入していたことが発覚。久世氏は大臣を辞任しましたが、その後、金次第で比例順位が上下する自民党の不透明な順位決定方法が明らかになりました。


■問題をすり替え、ルール違反の選挙制度改悪を強行!
 自民党内の金権体質を露呈した久世問題はあくまでも自民党の党内のこと。それを「参議院の選挙制度のせいだ」とすり替え始めたのはそれからまもなくでした。国会の代表者である議長の権威も、長年の国会ルールも踏みにじり、自民党など与党はご都合主義で非拘束名簿方式による選挙制度改悪案を提出してきました。


■参議院では与党だけで委員会を強行、議長も荷担
 9月21日から始まった第150回臨時国会では、選挙制度法案の扱いをめぐって与野党が冒頭から激しく対立。数の力で一気に押し切ろうとする与党に対抗して、野党4党は選挙制度特別委員会の開会を拒否。しかし与党の圧力に屈した斎藤議長は、名簿を提出しない野党委員を一方的に指名するという憲政史上前例のない行為に踏み切りました。


■民主主義の死。数さえあれば何でもできる?  
 かつての自民党なら衆参両院で安定多数をとっていても、けっして選挙制度を自分たちの都合だけで決めたりしませんでした。政権を共にしている公明党は、野党の時には数の横暴、強行採決に最も反対していた政党だったはず。数さえそろえば、あとは何をしてもいいというのでは日本の民主主義は死んでしまいます。

数の暴力をくつがえすのは世論の力。
民主党にあなたの力を貸してください。

次の参議院選挙まであと10ヶ月。
試合の途中でプレイヤーが勝手にルールを
変えていいのでしょうか。


■これが非拘束名簿式比例代表制の問題点

1. 選挙制度を与党単独で行うのは暴挙。自分たちの都合のいい制度を勝手に作れることになる。
2. 名簿順位をめぐる党費立て替え問題は自民党の内部問題。制度変更は論理のすり替え。
3. 各候補者が全国を走り回る過酷な選挙運動、莫大な費用のかかる「全国区=残酷区・銭酷区」の復活になる。
4. 与党の狙いは、有名人を立候補させ、その得票を横流しして当選者を増やす方法。有権者の権利を侵害するおそれがある。
5. 業界団体に手抜きせずに自民党の選挙応援をさせるという狙いも。これまで以上に公共事業をアメと鞭にした締め付け、脅しなどが横行するのは間違いなし。


私たちも問われています
●民主党など野党が審議拒否するのはどうして?
 今回の問題は議会制民主主義の根幹に関わる問題です。審議拒否という、体をはって抵抗する手段は私たちにとっても苦渋の選択です。しかし審議に応じると、与党のルール違反を認め、多数による法案通過をあっさりと許してしまうことになります。数の少ない野党としては、審議拒否という方法で、国民の皆さんに「なにが起こっているの?」という問題意識を持っていただきたいのです。ぜひご理解とご支援をお願いいたします。

●参議院の問題なのに、どうして衆議院でも審議拒否するのですか?
 この問題は参議院だけではなく、国会全体のルールに関わる問題です。先週までの衆議院議院運営委員会(国会の進め方を決める委員会)で、野党側は、参議院で混乱があった場合には衆議院にも波及すると指摘したにもかかわらず、与党側は参議院で強引な運営を行いました。
 今年1月に衆議院の定数削減が議論になったとき、与党側は衆議院で強行採決し、参議院では、委員会審議を省略して審議をさせませんでした。衆参一体となった横暴を繰り返しておいて、ここに来て「衆議院は別」という与党の批判はまったく矛盾しています。

●審議拒否によって、民主党は何を求めているのですか?
 与党の提出した選挙制度改悪法案の撤回と、2月の各派協議会の合意どおりに来年の参議院選挙を行うことを確認するよう求めています。

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