(目的)
第一条
この法律は、地方公共団体が住民投票の制度を設けることにより、当該地方公共団体における行政に住民の意思をより的確に反映させることができるようにし、もって住民の福祉の増進に資することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において「住民投票」とは、一定の事項についての住民の賛否その他の意見の投票(一の地方公共団体のみに適用される特別法の制定のための投票及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の規定による直接請求に基づく投票を除く。)をいう。
(制度の整備)
第三条
普通地方公共団体及び特別区(以下「地方公共団体」という。)は、次条に定める基本を踏まえ、住民投票の制度を設けるものとする。
2
住民投票に関し必要な事項は、条例で定めるものとする。
(制度の基本)
第四条
住民投票の制度の基本は、次に掲げるものとする。
一 住民投票に付する事項は、条例の制定若しくは改廃又は地方公共団体の住民の福祉に重大な影響がある事項とすること。
二 投票権を有する者は、当該地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者とすること。
三 住民投票は、次に掲げる場合に実施するものとすること。
イ 投票権を有する者の総数を次の表の上欄に掲げる人数に区分してそれぞれの人数に同表の下欄に掲げる割合を乗じて計算した人数を合計した人数を上限として条例で定める人数以上の投票権を有する者の連署をもってする請求があった場合
十万人以下の人数 百分の十五
十万人を超え五十万人以下の人数 百分の十
五十万人を超える人数 百分の二
ロ 議会の議決があった場合
四 地方公共団体は、住民投票の結果を尊重しなければならないものとすること。
五 地方公共団体は、住民投票に付される事項に関し、その保有する情報を積極的に公開するものとすること。
六 住民投票の実施についての第三号イの請求は、同一の事項について実施された住民投票の日から二年間は、することができないものとすること。
七 地方公共団体は、住民投票が適正に行われることを確保するため、買収の禁止その他必要な規制の措置を講ずるものとすること。
(条例の制定手続の特例)
第五条
条例の制定又は改廃の住民投票については、条例の定めるところにより、あらかじめその結果により条例の制定又は改廃の効果を生ずる旨の議会の議決を経た場合においては、当該効果を生ずるものとすることができる。
2 前項の条例においては、同項の議会の議決を経て実施される住民投票の効力に関する不服申立ての制度を設けるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から施行する。
(地方自治法の一部改正)
第二条
地方自治法の一部を次のように改正する。
第十二条第一項、第七十四条第一項及び第二百九十一条の六第一項中「(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)」を削る。
理 由
地方公共団体における行政に住民の意思をより的確に反映させることができるよう、地方公共団体において住民投票の制度を設けることとするとともに、その制度の基本を定める等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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