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2000/04/26
刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案、犯罪被害者基本法案に対する質問
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民主党・新緑風会 参議院議員 千葉 景子  

私は民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案、民主党提出の犯罪被害者基本法案について質問いたします。

これまで犯罪被害者は、我が国の刑事司法手続きが「国家刑罰権」対「被疑者・被告人」という構造を前提に制度化されていることから、捜査や裁判の参考人か証人として扱われることはあっても、主体的に刑事手続きに関与する法的地位は与えられていませんでした。被害者として、犯罪に関しては相対する当事者であるにもかかわらず、法制度では蚊帳の外に置かれ、精神的にも、経済的にも苦痛を強いられてきた状況が今広く認識され始めています。
今回の政府案は、刑事手続における被害者の取扱いを規定したもので、犯罪被害者の法的地位を明確にする第一歩として歓迎したいと思います。
しかし、これはあくまで第一歩であり、「すべて国民は個人として尊重される」と規定した憲法十三条、生存権や国の社会保障義務を規定した憲法二十五条に照らして考えると、いまだ、十分な位置づけがなされているとは言えません。また、国連においては一九八五年に「被害者のための司法の基本原則宣言」、いわゆる犯罪被害者人権宣言を採択していますが、政府案及び政府が進めている対策はこの宣言からみるとまだまだ不十分であります。
 
 民主党案は、犯罪被害者の人権保障を土台に据え、被害者が犯罪にあったときから被害回復を図り、社会復帰するまでのすべての段階で必要とされる施策や法制上の措置などを総合的に実施するための基本方針が示されたものですが、政府としてもこうした基本法制定を念頭に置いておられるのか、まず、お伺いします。』
臼井法務大臣は衆議院本会議において「基本法の必要性は、種々の個別具体的な施策を講じていく中で、総合的な見地から検討するのが適当であろうと考えております」「今回の法案に盛り込まれていない点についても、議論が熟したものから適切に対応してまいりたい」と述べられています。しかし、総合的なビジョンを提示することで、個別具体的な施策に方向性を与え、議論をリードしていくのが政治の役割であり、政治家たる大臣の任務ではないでしょうか。
臼井法務大臣のご決意をお聞かせください。

 関連して民主党の発議者にお伺いします。
基本的人権の歴史を振り返ってみますと、一九世紀は「国家からの自由」を追求し、二〇世紀はそれに加え「国家による自由」が求められてきました。刑事訴訟法は一九世紀的自由権の世界といえるでしょうか。二〇世紀最後の年に、ようやく二〇世紀の視点が盛り込まれることになったわけです。
ところが時代はすでに先を行っています。国家刑罰権に対し被疑者・被告人及びその弁護人が対決するという構造から、国家と加害者、被害者が当事者として司法に関わり、加害者、被害者の両者がともに社会復帰を果たせるようにすることで正義を実現する「回復的司法」ともいうべき考え方が世界の潮流となっています。
 民主党の発議者は、こうした考え方をどのように評価していますか。基本法には、この二一世紀的ともいえる考え方が反映されているのでしょうか。ご所見をお示しください。

 また、犯罪被害者基本法案と政府提出三法案とは、相対立するものではないとも思われますが、その関係についてどのように考えられますか。
更に民主党案では、財政上、法制上の必要な措置を講じることとしています。予算を伴う施策となればその優先順位が問題となりますが、具体的にどの施策に取り組むべきだと考えているのか、さらに、法制上の措置としては現在、何を想定しているのでしょうか。ご説明を願います。

続いて、政府案と犯罪被害者行政の具体的内容に沿って、質問致します。
犯罪にあって、心身にダメージを受けた被害者にとってまず重要なことは、適切なケアを受けることです。この被害者支援について厚生省はこれまでどういう取り組みをしていますか。犯罪被害者対策関係省庁連絡会議の報告書をみても、あまり踏み込んだ取り組みがされているようには思えないのですが、いかがでしょうか。
衆議院での審議においても、犯罪被害者や遺族の方が、高額の救急救命費や治療費を請求された事例が明らかにされています。また、哀悼の念などまったく感じられない施設で司法解剖され、遺体を運ぶ運送費まで請求されて、遺族は、社会から見放されたような思いで疎外感を強め、さらに傷ついたという話も伺っております。
こうした医療費等について公費負担をすることについては、国民の理解も得られものと信じていますが、丹羽厚生大臣は、どのようにお考えでしょうか。
犯罪直後の「危機介入」といわれる被害者支援の仕組みづくりには、厚生省こそ率先して取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。まずは、前代未聞の犯罪で多くの犠牲者を出し、今も深刻な後遺症で苦しんでいる地下鉄サリン事件の被害者の実態調査を行い、被害者のニーズに耳を傾けるなかで支援の方策を確立していただくよう要請します。
丹羽厚生大臣には、ぜひ積極的なご答弁を願います。

 また、刑事事件の司法解剖の施設等、被害者の尊厳が損われることのないよう、全国の施設を点検してくださるよう求めます。臼井法務大臣のご見解をお聞かせください。

次に、犯罪被害者保護法案について伺います。
法務省は成案を得る前に、パブリックコメントを募集しました。その際、項目としてあがっていた「没収・追徴、保全制度による損害回復」、つまり被告人が犯罪によって得た収益等を没収・追徴して被害者の損害回復に役立てようという趣旨ですが、これが、法案に盛り込まれなかった理由は何でしょうか。寄せられた意見は賛成するものが大半だったときいています。
犯罪被害者に関する実態調査でも、被害による影響の中で「生活が苦しくなった」と回答する人が多数を占めています。被害者からも求められていた規定であり、ぜひ見なおしていただきたいと思います。法務大臣の答弁を求めます。

刑事訴訟法改正案の性犯罪に対する告訴期間の撤廃について伺います。
これまで、被害から六ヵ月以内に告訴がないと、加害者を罪に問うことができませんでした。強姦罪のように、二年以上の有期懲役を課せられる重大な犯罪が、この規定によって処罰をまぬがれてきました。被害者の多数が中高校生や小学生という事実を考えると、怒りさえ覚えます。改正は遅きに失したと言わざるをえません。
そもそも、性犯罪が親告罪である必要があるのでしょうか。欧米諸国では、性犯罪は親告罪とはなっていません。わが国でも複数の加害者による強姦については告訴の有無に関わらず、犯罪として処罰されることになっており、被害者のプライバシー保護の理由だけでは説明がつきません。
問題は、性犯罪被害者の保護が法的、社会的に適切に行われていないために、プライバシー侵害を含め二次被害、三次被害とよばれる事態を引き起こしている点にあります。捜査や裁判のなかで、あるいは医療現場の関係者から心無い、暴言ともいえる言葉を投げかけられることは日常茶飯事に起こっています。
千葉県警では、警官自身が留置場に拘留中の女性を強姦するという言語道断の事件さえ発生しています。
裁判においては、九五年の横浜セクシャルハラスメント事件の地裁判決にみられるように、「(被害者は)外へ逃げるとか、悲鳴を上げて助けを求めるとかできたはずなのにしなかった」と、いまだに男性優位の通俗的な見解が示されているのです。性的被害を受けた女性が一時的に硬直して何事もなかったかのように行動し、不快な行為に抗議することがないという現象は、レイプ・トラウマ症候群とよばれて、すでに専門家の間ではよく知られているのであります。
警察、検察、裁判官、医師等、被害者と直接接する機関の人々に対し被害者の心身医学等に関する最新の知見を周知させ、人権教育を徹底することが必要だと考えますが、国家公安委員長、法務大臣、厚生大臣の見解をお聞かせください。千葉県警の事件については調査をし、厳正な対処をするよう国家公安委員長に求めます。
被害者対策の先進国であるイギリスでは、性犯罪の被害者について、第三者に特定されることのないように匿名を確保することが法律によって保障されています。こうした事例を参考に、被害者保護の観点から性犯罪に関する諸規定の全般的な見直しをしていただきたいと思います。法務大臣のご所見はいかがでしょうか。

 次に、被害者の知る権利に関連して伺います。
 警察の被害者連絡制度、検察の被害者等通知制度によってずいぶん改善はされてきましたが、そうした制度があることを広く知らせることが必要です。被害者がいちいち問い合わせ先を確認するまでもなく、被害者や遺族に対してリレー式に刑事司法の各機関が責任をもって情報提供することが求められています。とくに性犯罪の被害者にとっては、加害者の出所情報もぜひ知りたい情報です。性犯罪は再犯性が高く、現に、出所した加害者によって被害者が殺されるという最悪の事件も起きています。これらの点について、どのように制度の改善を図っていくか、法務大臣、国家公安委員長の答弁を求めます。

警察の捜査規範に関して伺いますが、昨年六月に被害者対策のいっそうの推進を盛り込んだ改正が行われています。衆議院でわが党の同僚議員が、その実施状況について業務監察をしてはどうかと提案したことに対して、保利国家公安委員長は積極的な姿勢をお示しになりました。その後、どのような指示、指導をされたのか、ご報告をいただきたいと思います。
新潟の少女拉致監禁事件、埼玉や兵庫のストーカー殺人事件、愛知の少年恐喝事件など、いずれも警察が適切に対処していれば、被害の拡大を防ぐことができた事件が相次いでいます。個人的な警察官の問題ではなく、警察全体の捜査能力の低下が危惧されるところです。
先日、わが党の議員が警視庁警察学校、警察大学校を視察しましたが、新規採用の若者たちの意欲的な姿が印象的だったと報告をうけております。警視庁では、女性は四十倍、男性も十七、八倍の難関を突破して採用された若者たちだそうです。優秀な人材を確保しながら、それが犯罪防止や摘発に反映されないということは、制度に問題があるのではないでしょうか。現場の実績より試験の成績が重視される昇任制度や警備、公安に偏重した警察機構のあり方の見直し、女性警官の積極的登用など、抜本的な改革が必要だと考えますが、保利国家公安委員長の見解をお聞かせください。

最後に、小渕前総理は、犯罪被害者の遺族の方々に自ら手紙を出し、被害者の意見を聞いて種々の施策を実施していくことを約束されています。わが党も、遺族の方からご意見を聞く機会がありました。被害者対策に当たる国家公安委員長、法務大臣、厚生大臣の皆様から、小渕前総理のこの約束を受け継いで実行していく決意をお伺いして、私の質問を終わります。

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