内閣総理大臣
小泉純一郎 殿
沖縄経済・観光緊急対策の実施に関する提言
民主党
米国同時テロ、米英両国によるアフガニスタン攻撃の影響は、観光産業を中心に沖縄県経済全体に甚大な影響を及ぼしている。多くの米軍基地を抱える沖縄への旅行をキャンセルする動きが相次いでいる。観光産業の低迷は、沖縄にとって死活的な問題であり、こうした事態を放置することは許されない。
民主党ネクストキャビネットは沖縄に調査団を送り、直接現地の状況把握に努めた。観光産業被害の中心が修学旅行の激減によるものであること、観光産業は県の基幹産業であり、その不振が県経済全体に大きな影響を及ぼすこと、とくにパート雇用者などの立場の弱い労働者にその影響がまず出ていることなどが明らかになった。
また、沖縄の経済は依然本土経済に対する依存度が大きく、失業率が常に本土の二倍程度で推移してきたことからも分かるように脆弱であることが根本問題として明らかになった。さらに、今回の被害が沖縄に米軍基地が集中していることに起因していることが多くの関係者から指摘され、基地問題を日本全体の問題として捉え、具体的な取組みを進めることが急務となっている。
民主党は沖縄での実態調査を踏まえ、政府に対して以下の抜本的な対策を講じることを要求する。あわせてこの機会に沖縄政策のあり方を見直し、さらに今回の深刻な事態の背景となっている基地問題の解決、国際的な緊張状態の早期緩和に向けて真摯に取り組むことを求める。
記
1. 航空機燃料税の軽減
沖縄振興策の一環として、沖縄路線航空機等に係る航空機燃料税については、軽減措置が設けられているが、更なる引下げに努めること。
2. 特別緊急融資制度の拡充
観光中小企業者に対する「特別融資制度」を質量ともに充実すること。適用条件を緩和し、中小企業資金1億5000万円、生業資金4000万円、生活衛生資金4000万円の枠を大幅に引き上げること。さらに、信用保証制度についても、充実を図ること。
3. 沖縄観光大キャンペーンの実施
新聞広告、テレビ、雑誌などを含めあらゆる媒体を通じた沖縄旅行の宣伝を支援すること。官邸ホームページからダイレクトに沖縄旅行関連ページへのリンクを張る、沖縄への修学旅行・社員旅行を促進するなどの措置を講じること。
4. 各種会議の沖縄開催の推進
政府全体として、国際会議等各種会議の沖縄開催の推進に積極的に取り組むとともに、都道府県教育委員会や学校長、さらに民間にも理解と協力を求める努力を継続すること。
5. 新設された各種緊急制度及び施策の即時実施
テロ事件による被害を受けている企業と労働者を一日も早く救済していくために、すでに新設された融資や雇用に関する各種緊急制度及び施策を即時に実行すること。
6. IT特別区構想の促進、地域の実情に応じた雇用創出計画の推進
沖縄の経済開発支援のため、特別の規制緩和や免税措置などを含むIT特別区構想の推進、国際・平和協力のためのNGO拠点地域づくり構想の検討、地域活性化中期雇用創出事業については、沖縄特別枠を設けるなど、地域の労使合意に基づき、実情に応じた雇用創出計画をすすめること。
7. アジアの人々の交流の場の確立
各種の国内・国際会議が沖縄で多く開催されるよう環境整備に努めること。沖縄という地理的状況を生かして、アジアの人々との交流の場を確立すること。アジアなどからの日本への留学生の沖縄旅行に対して、政府が支援を行うこと。
以上
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