トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2000/04/13
「人権文化」創造のためのアクションプラン2000
記事を印刷する

<はじめに>
今日の経済不況と閉塞感のなかで、ひとの生命や尊厳を軽視する様々な事象が発生しています。学校や会社、地域社会での様々ないじめや差別、児童虐待や家庭内暴力の顕在化、カルト宗教の流行、また人権を守るべき立場の警察や公的機関による人権侵害や被害放置など、日本社会はあらゆる分野において、あらためて生命の尊厳と人権に関する認識が問われています。

冷戦後に多発する民族や宗教による対立と人権抑圧に対して、国連は「国連識字の10年」「人権教育のための国連10年」「平和と国際文化年」など、世界中に「多文化との共生」「平和と人権の文化」を定着させる活動を提案しています。また世界人権宣言をはじめ、国際人権規約や人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、拷問禁止条約、障害者の機会均等化に関する標準規則などの国際条約や国連総会決議を通じて、人権に関する国際ルールと問題解決のためのシステム整備を進めています。

日本国内においては、いまなお部落差別や女性差別、子どもや高齢者、障害者、アイヌ、在日外国人、HIV感染者、ハンセン病患者等、様々な差別や人権侵害が存在しており、国連人権委員会は、日本政府に対する勧告を出しています。日本社会の国際化がすすむなかで、さらに多くの文化や宗教、人種や民族の違いを理解し尊重してともに暮らすことが求められており、単一民族国家の幻想から「多文化共生」の日本社会へ脱皮することが問われています。

わたしたち民主党は、21世紀に誰もが自由に安心して地域でともに暮らせる社会を実現するために、人権抑圧や人権侵害を引き起こす様々な無理解や偏見、差別意識という土壌を改革し、多様な文化や価値観の共存を認め、互いの違いを理解し人権を尊重する「人権文化」を創造することが必要だと考えました。

そのためにわたしたちは「人権文化創造のためのアクションプラン2000」と「人権教育・啓発の推進に関する法律案要綱骨子案」を提案し、広くパブリックコメントを募集することにいたしました。以下に提案するプランの基本的視点・基本施策・実施方策等について、みなさまからご意見をおよせいただき、政策実現に向けた共同作業が進めるなかで、その内容を豊富化し、21世紀に豊かな「人権文化」を花開かせたいと思います。みなさまの積極的なご参加とご提案をお願いいたします。


<基本的視点>

1. 人権に関する国際基準に対応したプラン(ガイドライン・行動計画)とすること
* 人権諸条約への対応
国際人権規約・人種差別撤廃条約・女性差別撤廃条約・子どもの権利条約・虐待防止条約・障害者の機会均等化に関する標準規則など
* 国連・ユネスコなどの人権文化創造に向けた行動計画への対応
人権教育のための国連10年・国連識字の10年

2. 当事者・市民の参加を重視すること
* 人権侵害の防止や差別の解消をめざす教育啓発プランの企画立案・実施・検証の各過程へ、関係当事者(人権侵害の被害者)及び支援者NPO等の参加をはかる。
ガイドライン・行動計画・報告書

3. 国内に存在する差別や人権侵害の未然防止・解消に役立つものとすること
* 特に配慮するべき人権侵害や社会的差別の事例
部落差別・女性差別・子ども・高齢者・障害者・色覚障害者・アイヌ・在日外国人・HIV感染者・ハンセン病患者など


<基本施策>

1. 総合的な人権教育を整備する
* 学校教育・社会教育を問わず生涯学習を通したアプローチ
同和、人権、男女共生、多文化、国際理解、平和、環境、自然との共生など
* 様々な手法によるアプローチ
体験学習、参加型学習、(総合学習・道徳教育、福祉科等の活用、講座開設の促進など)

2. 自治体・民間団体・事業者の多様な活動を支援する
* 自治体におけるプラン作成や実施に対する支援(税財政措置)行動計画
国庫補助制度・交付税制措置・基金(ファンド)
* 人権文化創造に向けた民間活動の支援(税財政措置)
NPO支援税制の確立・人権文化基金(ファンド)の設置・活動施設の整備
* 公的機関・事務所等への人権教育・啓発担当者の配置

3. 特定職業従事者による人権侵害を防止するため、特別の人権教育研修を徹底する
* 行政機関等に関連して
警察官、消防官、入管、警務官、自衛隊、海上保安官、労働行政関係職員、人権擁護委員、保護司など
* 司法機関等に関連して
裁判官、調停委員、検察官、弁護士など
* 教育・社会教育等に関連して
教職員、保育士、児童委員、文部行政関係職員など
* 医療・福祉・介護等に関連して
医師、看護婦、ケアーマネジャー、ケースワーカー、民生委員
医療・福祉・介護関連の行政職員及び施設関係者など
* その他
マスメディア関係者など

4. 研究開発・情報発信・人材育成を重視する
* 人権文化創造に向けた研究開発・情報ネットワークの強化
研究機関等での人権教育・啓発に関するプログラム・手法の開発研究
全国の情報ネットワークのセンター機能を有する機関の設置
* 地域での人権文化活動に活用できる施設の整備
(人権文化センターや人権教育・啓発センター等)
社会教育施設・隣保館・図書館など既存施設の活用(改修費等の補助)
* 人権教育・人権啓発に関わる人材の育成
人権教育・啓発に関する資格制度


<施策実施に向けた方策>

1. 行政全体を統括できる部局に推進体制を整備
総理府(内閣府)に総合人権局(仮称)等の設置
(人権教育・啓発審議会、人権文化推進審議会(仮称))
各自治体に推進担当部局を設置する

2. ガイドライン及び行動計画の策定
人権教育・啓発ガイドライン(政府)
人権教育のための国連10年・後期5カ年計画等(政府及び自治体)

3. 税財政措置の実施
自治体財政への補助・交付税制算定
民間活動支援の基金(ファンド)設置
NPO支援税制

4. 情報収集・公開・事後検証システム
実態調査
国会報告書(白書)の作成

 *上記を推進するための法的措置
人権教育・啓発の推進に関する法律(仮称)の制定
関係個別法の改正
自治体条例の制定

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.