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2000/04/13
人権教育・啓発の推進に関する法律要綱 骨子案
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(目的)
第一
この法律は、日本国憲法の定める基本的人権の尊重および世界人権宣言をはじめとする人権関係国際条約等の趣旨に基づいて、同和問題をはじめとするあらゆる不当な差別をなくし、人権という普遍的文化を社会の隅々に定着させるため、人権教育および啓発に関する施策に関し、国や地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、人権教育等の施策を総合的、計画的に推進し、もってすべての人の人権の擁護に資することを目的とする。

(定義)
第二
この法律において「人権教育・啓発」とは、同和問題をはじめあらゆる差別をなくし、人権尊重の精神を社会に定着させるため、学校教育・社会教育等を問わず、生涯にわたり行われる人権認識の高揚をはかるための教育・啓発に関する活動をいう。

(国及び地方公共団体の責務)
第三
国及び地方公共団体は、この法律が規定する人権教育・啓発を効果的に実施するために必要な体制の整備を図るとともに、人権教育・啓発に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、実施する責務を有する。

(事業者の責務)
第四
事業者は、その事業所において人権意識の高揚を図るよう努めるとともに、国または地方公共団体が実施する人権教育・啓発を推進する施策に協力する責務を有する。

(国民の努め)
第五
国民は、自ら人権意識の高揚に努めるとともに、国または地方公共団体が実施する人権教育・啓発に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(特定職業従事者への配慮)
第六
国及び地方公共団体は、人権尊重の精神を社会に定着させるうえで深い関わりを有する業務で政令で定めるものに従事する者(以下「特定業務従事者」という)に対し、人権教育・啓発に関する施策が重点的になされるよう特別の配慮を講じなければならない。
 
(重要課題)
第七
国及び地方公共団体は、人権教育・啓発の施策を実施するに際し、同和関係者、女性、子ども、高齢者、障害者、アイヌの人びと、外国人、HIV感染者、ハンセン病患者等不当な差別等を受けている者の人権が擁護されるよう特別の配慮を講じなければならない。

(国の行動計画)
第八
国は、人権教育・啓発を総合的かつ計画的に推進するために、次に掲げる事項についての施策を五年間を期間とする行動計画を策定し、実施しなければならない。
一 あらゆる場を通じた人権教育・啓発としての教育、学習、研修、広報、情報提供に関すること
二 人権教育・啓発に関する情報収集に関すること
三 人権教育・啓発の効果測定等の調査研究に関すること
四 人権教育・啓発に関する教材、カリキュラム等の開発整備に関すること
五 人権教育・啓発に関する指導員等の育成に関すること
六 特定業務従事者に対する特別の配慮に関すること
七 人権の擁護を図る非営利法人等の活動を促進するための財政上の支援等に関すること
八 地方公共団体、事業者、国民との連携方策に関すること
九 以上に掲げるものの他、人権教育・啓発の効果的な推進に関する必要な事項

国は、前項の行動計画を策定しようとするときは、あらかじめ人権教育・啓発審議会の意見を聞かなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

国は、第一項の行動計画の策定にあたっては、人権意識の高揚状況等必要な調査を実施しなければならない。

国は、毎年度第一項の行動計画を策定したときは国会の承認を受けるとともに、毎年度、前年度の行動計画に基づく施策の実施状況を報告しなければならない。

(地方公共団体の行動計画)
第九
地方公共団体は、人権教育・啓発を総合的かつ計画的に推進するために、次に掲げる事項についての施策を五年間を期間とする行動計画を策定し、実施しなければならない。
一 あらゆる場を通じた人権教育・啓発としての教育、学習、研修、広報情報提供に関すること
二 人権教育・啓発に関する情報収集に関すること
三 人権教育・啓発の効果測定等の調査研究に関すること
四 人権教育・啓発に関する教材、カリキュラム等の開発整備に関すること
五 人権教育・啓発に関する指導員等の育成に関すること
六 地方公共団体所管の特定業務従事者に関すること
七 人権の擁護を図る非営利法人等の活動を促進するための財政上の支援等に関すること
八 地域に応じた、事業者、地域住民との連携方策に関すること
九 以上に掲げるものの他、人権教育・啓発の効果的な推進に関する必要な事項

地方公共団体は、前項の行動計画を策定しようとするときは、あらかじめ地域人権教育・啓発審議会の意見を聞かなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

地方公共団体は、第一項の行動計画の策定にあたっては、人権意識の高揚状況等必要な調査を実施しなければならない。

地方公共団体は、毎年度、前年度の行動計画に基づく施策の実施状況を公表しなければならない。

(国の推進体制)
第十
人権教育・啓発の総合的、計画的な実施を図るために、国に内閣総理大臣を長とし、関係大臣等で構成される推進組織を設置する。

(地方公共団体の推進体制)
第十一
地方公共団体に当該地方公共団体における人権教育・啓発の総合的、計画的な実施を図るため、首長を長とする推進組織を設置することができる。

(財政上の措置等)
第十二
国は、人権教育・啓発に関する事業の推進に必要な財政上の措置を講
じなければならない。

地方公共団体が実施する人権教育・啓発に関する事業の推進に必要な支援
を行わなければならない。

(特別な財政上の措置)
第十三
地方公共団体が実施する人権教育・啓発に関する事業で、国が負担し、または補助するものに対するその負担、または補助について、当分の間、三分の二の割合をもって算定する。

地方公共団体が実施する人権教育・啓発に関する事業につき、必要とする経費は、地方財政法に規定する経費に該当しないものについても、地方債をもってその財源とすることができる。

地方公共団体が実施する人権教育・啓発に関する事業につき、必要とする経費は、地方交付税法の定めるところにより、当該地方公共団体に交付するべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入する。

(人権教育・啓発指導員等)
第十四
国は、地方公共団体と協力して、人権教育・啓発に関する指導員等の養成を図り、資格を認定する。

指導員等の養成カリキュラム、資格認定の基準については、政令で定める。

(事業所への指導員の配置)
第十五
人権教育・啓発を効果的に推進するため、一定数以上の従業員を雇用する国及び地方公共団体(国、地方公共団体が関係する特殊法人等の団体を含む)並びに事業者の事業所ごとに、人権教育・啓発に関する指導員をおかなければならない。

前項の配置に関する基準は政令で定める。

(人権教育・啓発センターの設置等)
第十六
国は、人権教育・啓発の効果的な推進を図るため、人権教育・啓発に関する情報等を収集し、提供すること等を目的とする国の人権教育・啓発センターを設置しなければならない。

都道府県は、各都道府県における人権教育・啓発の効果的な推進を図るため、都道府県人権教育・啓発センターを設置しなければならない。

市町村は、公民館、隣保館等の施設を地域人権教育・啓発センターに指定することができる

国の人権教育・啓発センター及び都道府県人権教育・啓発センター並びに地域人権教育・啓発センターに関する業務は政令で定める。

国の人権教育・啓発センター及び都道府県人権教育・啓発センター並びに地域人権教育・啓発センターには、政令で定める数以上の人権教育・啓発に関する指導員を配置しなければならない。

(国の人権教育・啓発審議会)
第十七
総理府(内閣府)に、人権教育・啓発審議会(以下「審議会」という)を置く。

審議会の委員定数は二十名とし、人権侵害を受ける立場にある当事者を代表する委員を含む人権教育・啓発に関して、学識経験のある者のなかから総理大臣が任命する。

審議会は、この法律に定めのある事項のほか人権教育・啓発に関する国の施策に関し、内閣総理大臣および関係大臣の諮問に応じ調査審議する。

審議会は、人権教育・啓発に関する施策について内閣総理大臣または関係大臣に意見を表明することができる。

審議会は、調査審議にあたり必要であると認めるときには、関係行政機関の長に対し、資料の提出を求めるとともに説明を聞くことができる。

(地方公共団体の人権教育・啓発審議会)
第十八
地方公共団体に、人権教育・啓発審議会を置くことができる。

審議会は、人権教育・啓発に関する事項を調査審議するほか、地方公共団体の首長または関係部局の長の諮問に応じ、調査審議する。

審議会は、人権教育・啓発に関する事項の促進ために必要だと認める事項について地方公共団体の首長または関係部局の長に意見を述べることができる。

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