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1999/04/01
男女共同参画「基本法」の国会審議にむけて
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民主党男女共同参画プロジェクトチーム
座長  松本 惟子

 2月26日、閣議決定を経て「男女共同参画社会基本法案」が国会に提出されました。

 同法案は、21世紀を展望し策定された「男女共同参画ビジョン」(1996年)において、新たな法制が必要であるとして基本法の検討が提言されて以来、その実現が強く求められてきたものです。

 今日、政府案が国会に提出され、審議が開始されることになったのは審議会委員はもとより、女性団体やグループ、NGOのみなさんの努力と熱意の結果です。

 民主党は、この間、実効ある男女共同参画基本法の制定をめざし、取り組んでまいりしまた。党内にプロジェクトチームを設置し、各方面からのご意見や提言をいただきながら基本法の検討作成を進め、昨年11月末には、「中間報告」を取りまとめ、内外に公表させていただきました。現在、法案化の作業に着手しているところです。

 提出された政府案は、審議会答申より、その内容に前進がみられますが、基本法としての趣旨をより明確にする必要があります。そのために前文を置くことや、自治体でのとりくみを支える意味から条例制定について明文化することなどが必要と考えています。

 ところで、私たちのこうした姿勢に対して、一部から「基本法」成立の妨害をしているかのような誤った風聞が流されています。大変遺憾ですし、残念です。

 民主党は、「基本法」が今国会で制定できるよう全力をあげてとりくんでいく決意です。と同時に、国会においては立法府として誠実な審議を通じて、よりよい「基本法」が実現できるよう努力してまいりたいと思っています。

1999年3月31日

男女共同参画基本法・民主党案と政府案の主な違い

民主党男女共同参画プロジェクトチーム

● 民主党案   * 政府案


1 題名について
● 「男女共同参画基本法」とする。
* 「男女共同参画社会基本法」

2 前文について
● 前文をつけたこと。☆参照
* 前文はなし

3 法律の目的について《第1条関係》
● ジェンダーについては「社会的・文化的に形成された性差」とし、目的に「社会的・文化的に形成された性差にとらわれず、個人としてその個性と能力を発揮する機会が保障される社会の形成」と明記したこと。
* 「ジェンダー」についてはふれていない。

4 定義について《第2条関係》
● アファーマティブアクションについては、是正措置の意味をこめ「積極的是正措置」としたこと。
* 「積極的改善措置」

5 基本理念(人権の確立)について《第3条関係》
● いわゆる間接差別については「性別による差別的取扱い(直接的には性別による差別的取扱いをするものではないが、その結果として、男女のいずれか一方に対し差別的効果をもたらすこととなる取扱いを含む)」とし、明記したこと。
● また、「女性に対する暴力の根絶が人権の確立に不可欠」としたこと。
* 間接差別の規定、暴力についての直接の規定はない。

6 法制上の措置について《第11条関係》
● 必要な法令若しくは条例の制定若しくは改廃又は必要な財政上の措置を講ずるとして、条例の制定について明記したこと。

7 基本計画について《第13条関係》
● 基本計画に盛り込む事項(9項目)を明記したこと。

8 苦情の処理等のための体制の整備について《第17条関係》
● 当該苦情の処理及び当該救済のための組織及び運営体制についての「法制の整備その他の必要な措置」を講ずるとして、新たに立法措置を講ずることを頭だししたこと。
* 苦情の処理等のため「必要な措置を講ずる」




☆ 前文(未定稿)

 我が国において、男女平等は、法の下の平等として日本国憲法に保障され、各種の法律や制度にも位置付けられている。しかし、いまだ、性別に基づく差別や偏見、あるいは男女の役割に対する固定的な考え方に基づく行動が見られる。また、社会における制度や慣行にも、性別による偏りが多く残されており、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野の活動における男女の参画には大きな格差がある。
 我が国は、少子高齢化、経済活動の成熟化と国際化、情報通信の高度化等の急速な進展により、社会経済において大きな変革期を迎えている。かかる社会経済情勢の変化に対応し、将来にわたって豊かで安心できる社会を築くためには、多様化と個性化を重視した新たな価値の創造に向けた男女共同参画の促進が緊要な課題となっている。
 こうした観点から、個人の人権が尊重され、かつ、男女が社会的文化的に形成された性差にとらわれず、その個性と能力を発揮する機会が確保されるよう、社会のあらゆる分野において男女共同参画の促進を図っていく必要がある。そのため、国及び地方公共団体はもとより、企業、学校、地域社会、家庭等が相互に協力しながら、それぞれの役割を積極的に果たしていくことが必要である。
 ここに、男女共同参画の促進の基本理念を明らかにしてその方向を示し、男女共同参画の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。

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