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2000/12/15
中間答申「公共事業を一から見直すために」(要旨)
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公共事業を国民の手に取り戻す委員会  戦後復興から高度成長期にかけて、道路や橋の整備などの公共事業は、社会的な便益をもたらし、かつ経済を向上させるものとして「善」なるものの代表とされてきた。しかし現在の公共事業は財政や環境に余りにも過大な負担をかけ、日本破滅の最大要因となっている。委員会は、この深刻な危機感を共有し、以下の根源的な改革案を民主党に答申する。

1.公共事業の問題点(略)

2.「止まらない公共事業」のシステム(略)

3.危機を回避する当面の措置

 公共事業によってもたらされる弊害は余りに大きく、国民生活を崩壊させる危険性がある。そこで現在計画中及び建設中の事業全てについて一旦休止し、一から再検討を求める。なおこの際に障害となる現行法については、速やかに改正することを提案する。また長年にわたり公共事業計画を前提に生活に大きな影響を受けてきた地域住民に対する一定の財政による支援を提案する。

4.システムの抜本的改革

(1)私たちの生き方(略)

(2)計画制度の廃止と新たな法体系の構築

 国土総合開発法、国土利用計画法、その特別法である三大都市圏整備法、地方開発・振興関係法、特定地域開発関係法、さらには民活法、リゾート法等は、国土の基本的デッサンを描くという基本的な役割を失っており、これらを全て廃止する。その上で分権型社会を前提とした計画制度に改める。
また省庁の縦割り以外に存在理由のない16本の公共事業関係長期計画も廃止し、上記基本デッサンに対応した計画制度に改める。

(3)公共事業計画廃止後の制度設計の視点

1. 地方分権
 公共事業の決定権と財源は地方に委ねる。そのための改革は「一括交付金制度」の創設等の補助金改革から始める。また同時に国の行う公共事業を限定する。

2. 総量の抑制・財源制度改革
 公共事業の予算抑制を法律によって規定する。また財源の殆どを公債発行に委ねることを禁止する。道路、空港等の特定財源制度は廃止する。

3. 議会の関与
 全体計画、個別事業の立案、予算化について、議会の関与を義務づける。

4. 継続的見直し制度の創設
 「時間」という客観的基準や、社会経済状況、住民意識の変化に応じて不断に見直ししていくシステムを構築する。また事業終了後においても、その効果・影響を評価し、次の事業をより良いものへと改善していくシステムを導入する。

(4)「国営事業」と「市民事業」(21世紀型公共事業システムの提案)

1. 従来の公共事業のうち、国が行う公共事業を「国営事業」(仮称)、自治体が行う公共事業を「市民事業」(仮称)と名づけ、明確に区分する。

2. 国営事業については、全体的な事業計画、個別事業の個所付け、予算、事前と事後の評価など、すべて国会で審議し、議決する。

3. 市民事業は、従来の縦割りを根本から改めて、都市計画(マスタープラン)に全ての事業計画及びその着工優先順位を盛り込む。マスタープランは住民参加によって作られ、議会で議決される。これにより住民が将来の町の姿がイメージできるようになる。マスタープランの進捗状況は、専門家と住民によって構成されている、町づくり審議会(仮称)で点検され、その結果はすべて公開される。事業の執行などに問題が発生した場合の責任体制を作る。

4. 複数の自治体に関わる土地利用規制や事業は、原則として関係する複数自治体が、さらに大規模の場合には、都道府県が調整する。都道府県は、市町村と同様な内容を、同様な手続により、マスタープランを策定する。

5. 国はみずから国営事業を担当するほか、さらに都道府県で調整つかないものについて調整を行う。

6. この間、この国営事業と市民事業という新しいシステムを執行していくにふさわしい財源の配分制度を創設する。

7. この間、この新しいシステムを実施に移すために、都市計画法を始めとして、道路法、河川法などの個別公共事業法が改正し、また必要な法律を制定する。

(5)「公共事業基本法(仮称)」の制定と「国土交通省の第二次行政改革」

これまでの民主党の「公共事業コントロール法」をバージョンアップさせる「公共事業基本法(仮称)」の制定、国土交通省の更なる改革について、委員会は引き続き検討を進める。


5.地域の自立(ポスト公共事業社会のあり方)

 公共事業への依存構造からの脱却の方法を地域が自分で考えていくシステムを提案するが、これまでの長い慣行から抜け出るためには、当初、国や自治体による支援が必要である。この支援策として第一次産業に対するデカップリング政策の拡大と強化、環境回復産業の促進、高齢者や女性が参加できる産業の発掘等が必要であり、委員会は先の「公共事業基本法」と共に、「地域自立支援法」(仮称)の検討を進める。

以上

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