民主党政調会長 菅 直人
民主党徳島県連代表 仙谷 由人
自民党の亀井政調会長は8月21日に「吉野川第十堰改築事業」の現地視察を行い、吉野川可動堰の見直しが不可避であることを言明した。また翌22日には従来可動堰設置推進の立場にあった公明党徳島県本部の遠藤代表が、現計画の白紙撤回を表明した。民主党は従来より「現計画の白紙撤回」を求める立場を貫いており、自民・公明の両党が真摯に住民と共に一から現計画の見直しに取り組む姿勢を示すものであれば、これを基本的に歓迎するものである。
しかし両党の「見直し」「白紙撤回」の表明には大きな疑念を感じる。見直しを表明した亀井政調会長は同時に施設設置については含みを残しており、また遠藤代表も記者会見の中で新たな可動堰設置案に触れている。この発言には、現計画こそ「白紙撤回」するものの、現地において多大なる予算を投入する「事業」については固執する両党の姿勢が垣間見える。本年1月23日に徳島市において行われた住民投票の結果により、「可動堰設置」が民意を反映していないことは明らかである。両党はこの民意を尊重するような姿勢を見せながら、その裏側で新たな可動堰計画を模索するとするならば、これは国民に対する重大な裏切り行為であり、看過することはできない。
さらに可動堰設置の最大の目的とされる治水対策については、現堰及び周辺堤防の強化によって十分に可能である。この事実を覆い隠し、あたかも可動堰のみが治水対策かのように見せかけている点においても、国民に対する背信行為を行っていると考える。
「吉野川第十堰改築事業」については、建設省の訴える治水危険性そのものに疑念がある。まずはこの点から市民と共に検証し、その上で亀井氏が現職大臣として取り組んだ「河川法改正」そしてその後の「伝統的河川管理手法の見直し」「公共事業に対する住民参加の促進」という時代の流れを真摯に受け止めた新たな事業のあり方を検討すべきである。与党は8月28日に正式に事業見直しの方針を決定するとしているが、この見直しが住民の真意を真摯に受け止めたものであるかどうか、危機的な財政状況の改善に真に寄与するものであるかどうかについて、民主党として厳しい目で見極めていく所存である。
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