民主党有珠山周辺災害対策本部
本部長 鳩山由紀夫
内閣総理大臣
森 喜 朗 殿
先月三十一日に噴火を開始した有珠山では、その後も活発な火山活動が続いており、より大規模な噴火の恐れも指摘されています。その状況のもとで有珠山周辺住民は不便な避難生活を余儀なくされており、雇用に対する不安とあわせ、生活環境に与える影響はより深刻なものとなっています。また周辺観光事業者や農林漁業に与える損失は膨大になるものと予想されることから、地域経済全体に与える壊滅的な影響が懸念されています。
よって民主党は政府に対し、大規模噴火が万一発生した場合においては周辺住民の人命・財産の保全のため迅速な対応を行うよう要請するとともに、次の事項についてもより一層の取り組みを行うよう申し入れます。
一.今後、避難生活の長期化が予想されるため、仮設住宅対策については従来方式にこだわることなく、ペンション・ホテル・旅館等の借上げによる実施と、それに対する国の補助を実現すること。
一.避難者に対する生活福祉資金の貸付にあたっては、融資枠の拡充や貸付条件の緩和等の措置を講じること。また今後万一被害が拡大した場合の災害援護資金貸付金については、所得制限や損害要件等の貸付条件の緩和、および手続きの簡素化など、柔軟かつ機動的な措置を講じること。
一.雇用確保に万全を期すため、被災地域周辺の事業所を雇用調整助成金の支給対象とすることにより、中小企業従業員への給与の支払いを確保すること。また、緊急地域雇用特別交付金を活用することにより、被災地域周辺における雇用促進策を講じること。
一.地元観光業や農林水産業など、噴火による事業休止を余儀なくされた被災事業者に対して、緊急融資策や負債等に対する返済の一時凍結、および返済凍結期間中の利子免除措置等を万全に講じること。
(別表)
また、次の項目についても、あわせて政府の取り組みをより一層行うよう申し入れます。
(避難対策・応急対策について)
* 避難所の設置にあたっては、仮設浴場・仮設トイレ・仮設コインランドリーの設置など、避難者の生活環境に配慮した万全の体制を図ること。
* 避難者に対する健康相談・健康診断・カウンセリング等の実施など、避難所の保健
* 避難児童・生徒の教育環境に配慮し、応急教育の実施、通学手段の確保、教職員の加配など、必要な措置を講じること。
* 行政とボランティア組織が密接に連携を図り、ボランティアによる避難所の運営支援など、現場の要求に的確な対応ができるよう、情報収集や調整等の措置を速やかに講じること。
(雇用対策について)
* 雇用相談窓口を被災地域周辺に網羅的に配置し、避難者の雇用不安解消のための支援体制の強化を図ること。
(金融・商工関係対策について)
* 噴火終息後は、被災企業の営業再開時における立ち上がり資金の支援策を万全に講じること。
(農林漁業関係対策について)
* 深刻な被害が懸念されるハウス栽培や畜産、ホタテ養殖等の農林水産業について、制度資金の融資条件の緩和等を通じた対策に万全を期すこと。
(中・長期的対策について)
* 災害救助・応急対策事業にかかる自治体の財政需要の増大に鑑み、財政援助等の必要な措置を早急に講じること。
* 噴火終息後の復興対策については、まちづくりのあり方や、観光業・農林業等の地域振興策等について、中・長期的観点からのトータルビジョンを策定すること。
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