目次
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 基本指針(第七条)
第三章 公共交通事業者等が講ずべき措置(第八条―第十五条)
第四章 道路管理者及び都道府県公安委員会が講ずべき措置(第十六条―第二十一条)
第五章 市町村の措置等(第二十二条―第二十五条)
第六章 雑則(第二十六条―第三十四条)
第七章 罰則(第三十五条―第三十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条
この法律は、移動制約者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進するため、移動制約者が円滑かつ安全に公共交通機関等を利用することができるようにするための施策を講ずること等により、移動制約者の移動の自由を確保し、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において「移動制約者」とは、主として身体的理由により移動に関し制約を受ける者をいう。
2
この法律において「公共交通事業者等」とは、次に掲げる者をいう。
一 鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業者(旅客の運送を行うもの及び旅客の運送を行う鉄道事業者に鉄道施設を譲渡し、又は使用させるものに限る。)
二 軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道経営者(旅客の運送を行うものに限る。)
三 道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)による一般乗合旅客自動車運送事業又は一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者
四 自動車ターミナル法(昭和三十四年法律第百三十六号)によるバスターミナル事業を営む者
五 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)による一般旅客定期航路事業(日本の国籍を有する者及び日本の法令により設立された法人その他の団体以外の者が営む同法による対外旅客定期航路事業を除く。以下同じ。)を営む者
六 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)による本邦航空運送事業者(旅客の運送を行うものに限る。)
七 前各号に掲げる者以外の者で次項の旅客施設を設置し、又は管理するもの
3
この法律において「旅客施設」とは、次に掲げる施設(これに連絡する通路、駅前広場その他の施設(第三十三条第二項において「連絡通路等」という。)を含む。)であって、公共交通機関を利用する旅客の乗降、待合い、通行その他の用に供するものをいう。
一 鉄道事業法による鉄道施設
二 軌道法による軌道施設
三 自動車ターミナル法によるバスターミナル
四 海上運送法による輸送施設(船舶を除き、同法による一般旅客定期航路事業の用に供するものに限る。)
五 航空旅客ターミナル施設
4
この法律において「車両等」とは、公共交通事業者等が旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両、自動車、船舶及び航空機をいう。
5
この法律において「道路管理者」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。
(基本理念)
第三条
移動制約者の移動の自由の確保を目的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、移動制約者の自立と社会を構成する一員としての社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加の実現を旨として、移動制約者が出発地から目的地までの間における公共交通機関等を移動制約者以外の者と同等に利用することができるよう、総合的かつ計画的に推進されるものとする。
(国の責務)
第四条
国は、移動制約者の移動の自由を確保するための施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条
地方公共団体は、移動制約者の移動の自由を確保するための施策に関し、国と協力しつつ、当該地域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(国民の責務)
第六条
何人も、移動制約者の移動の自由を確保するための施策に関して理解を深めるとともに、その実施に関して国及び地方公共団体に協力しなければならない。
第二章 基本指針
第七条
主務大臣は、移動制約者の移動の自由を確保するための施策の総合的かつ計画的な推進に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2
基本指針は、次に掲げる事項について定めなければならない。
一 移動制約者の移動の自由を確保するための施策の推進に関する基本的な方向
二 移動制約者の移動の自由を確保するために公共交通事業者等並びに道路管理者及び都道府県公安委員会が講ずべき措置の内容及び実施時期に関する基本的な事項
三 前号の措置の実施に伴い必要となる財政上の措置の概要
四 移動制約者の移動の自由の確保に関する調査及び研究に関する事項
五 移動制約者の移動の自由の確保に関する啓発及び知識の普及に関する事項
六 その他移動制約者の移動の自由を確保するための施策の推進に関する重要事項
3
主務大臣は、第一項の規定により基本指針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、厚生大臣と協議するとともに、政令で定めるところにより、移動制約者、公共交通事業者等、道路管理者、都道府県公安委員会その他の関係者の意見を聴かなければならない。
4
主務大臣は、第一項の規定により基本指針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該基本指針の案の原案を、当該公告の日から起算して一月間公衆の縦覧に供しなければならない。
5
基本指針の案の原案について意見を有する者は、前項の公告の日から、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までの間に、主務大臣に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。
6
内閣は、第一項の規定により閣議の決定をしたときは、前項の規定により述べられた意見の概要を記載した書類を添えて基本指針を国会に提出し、その承認を受けなければならない。
7
主務大臣は、前項の規定による国会の承認があったときは、遅滞なく、基本指針を公表しなければならない。
8
主務大臣は、五年ごとに基本指針に再検討を加え、必要があると認めるときは、基本指針の変更についての案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
9
第三項から第七項までの規定は、基本指針の変更について準用する。
第三章 公共交通事業者等が講ずべき措置
(公共交通機関整備基準)
第八条
主務大臣は、基本指針を実施するために必要な公共交通事業者等の旅客施設及び車両等(以下「旅客施設等」という。)の整備に関する基準(以下「公共交通機関整備基準」という。)を定めなければならない。
2
公共交通機関整備基準は、移動制約者による円滑かつ安全な公共交通機関の利用の推進のために必要な公共交通事業者等の旅客施設等の構造及び設備に関する事項について定めるものとする。
3
主務大臣は、公共交通機関整備基準を定めようとするときは、あらかじめ、厚生大臣と協議するとともに、政令で定めるところにより、移動制約者、公共交通事業者等その他の関係者の意見を聴かなければならない。
4
主務大臣は、公共交通機関整備基準を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5
前二項の規定は、公共交通機関整備基準の変更について準用する。
(公共交通機関整備計画の作成等)
第九条
公共交通事業者等は、基本指針及び公共交通機関整備基準に基づき、移動制約者が当該公共交通事業者等の旅客施設等を円滑かつ安全に利用することができるようにするための当該旅客施設等の整備等に関する計画(以下「公共交通機関整備計画」という。)を作成し、これに基づき、当該公共交通事業者等の旅客施設等に関し必要な措置を講じなければならない。
2
公共交通機関整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 公共交通事業者等の旅客施設等の整備に関する基本方針
二 公共交通事業者等の旅客施設等の整備の実施期間及び目標量
三 前号に掲げる事項を達成するために必要な整備の具体的内容
四 公共交通事業者等の旅客施設等の移動制約者による円滑かつ安全な利用に関する啓発及び知識の普及に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、公共交通事業者等の旅客施設等の移動制約者による円滑かつ安全な利用に関し必要な事項
3
公共交通事業者等は、利用者が相当数であり、又は相当数であると見込まれるものとして政令で定める要件に該当する旅客施設等に係る公共交通機関整備計画を作成しようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、移動制約者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
4
公共交通事業者等は、公共交通機関整備計画を作成したときは、遅滞なく、これを主務大臣に提出しなければならない。
(公共交通機関整備計画の作成に関する協議会)
第十条
公共交通事業者等は、乗継ぎを円滑に行うための旅客施設等の整備に係る公共交通機関整備計画を作成しようとするときその他公共交通機関整備計画の作成に当たり他の公共交通事業者等、地方公共団体その他の関係者と意見の調整を図る必要があると認めるときは、これらの者に対し、意見の調整のため必要な協議を行うための協議会を組織することを求めることができる。
2
主務大臣は、公共交通事業者等その他の関係者が正当な理由がなくて前項の規定による求めに応じないときは、当該公共交通事業者等その他の関係者に対し、当該求めに応ずべき旨の勧告をすることができる。
3
主務大臣は、前項の勧告を受けた公共交通事業者等その他の関係者が正当な理由がなくてその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
4
第一項の協議会において協議が調った事項については、当該協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
(公共交通機関整備計画の変更)
第十一条
公共交通事業者等は、基本指針又は公共交通機関整備基準が変更された場合には、公共交通機関整備計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
2
第九条第三項及び第四項並びに前条の規定は、公共交通機関整備計画の変更について準用する。
(公共交通機関整備計画の作成等に係る勧告及び命令)
第十二条
主務大臣は、公共交通事業者等が正当な理由がなくて公共交通機関整備計画を作成しないときは、当該公共交通事業者等に対し、公共交通機関整備計画を作成すべき旨の勧告をすることができる。
2
主務大臣は、前項の勧告を受けた公共交通事業者等が正当な理由がなくてその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
3
主務大臣は、第一項の勧告を受けた公共交通事業者等が前項の規定によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該公共交通事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
十三条
主務大臣は、第九条第四項(第十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定により公共交通機関整備計画の提出を受けた場合において、当該公共交通機関整備計画の内容が基本指針又は公共交通機関整備基準に適合していないと認めるときは、当該公共交通機関整備計画を作成した公共交通事業者等に対し、当該公共交通機関整備計画の内容を基本指針又は公共交通機関整備基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
2
主務大臣は、前項の勧告を受けた公共交通事業者等が正当な理由がなくてその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
3
主務大臣は、第一項の勧告を受けた公共交通事業者等が前項の規定によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該公共交通事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
(公共交通機関整備計画の実施に係る勧告及び命令)
第十四条
主務大臣は、公共交通事業者等が正当な理由がなくて公共交通機関整備計画に従って旅客施設等の整備等を実施していないと認めるときは、当該公共交通事業者等に対し、期限を定めて、当該公共交通機関整備計画に従って旅客施設等の整備等を実施すべき旨の勧告をすることができる。
2
主務大臣は、前項の勧告を受けた公共交通事業者等が正当な理由がなくてその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
3
主務大臣は、第一項の勧告を受けた公共交通事業者等が前項の規定によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該公共交通事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。ただし、鉄道事業法その他の法律の規定で政令で定めるものによる事業改善の命令がある場合にあっては、当該命令によるものとする。
(公共交通機関整備計画の実施の状況の報告)
第十五条
公共交通事業者等は、毎年、政令で定めるところにより、公共交通機関整備計画の実施の状況を主務大臣に報告しなければならない。
第四章 道路管理者及び都道府県公安委員会が講ずべき措置
(道路整備基準)
第十六条
主務大臣は、基本指針を実施するために必要な道路の整備に係る基準(以下「道路整備基準」という。)を定めなければならない。
2
道路整備基準は、移動制約者による円滑かつ安全な道路の通行の確保のために必要な道路の施設、構造等に関する事項について定めるものとする。
3
主務大臣は、道路整備基準を定めようとするときは、あらかじめ、国家公安委員会及び厚生大臣と協議するとともに、政令で定めるところにより、移動制約者、道路管理者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
4
主務大臣は、道路整備基準を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5
前二項の規定は、道路整備基準の変更について準用する。
(道路整備計画の作成等)
第十七条
道路管理者は、基本指針及び道路整備基準に基づき、移動制約者による円滑かつ安全な通行を確保するための道路の整備等に関する計画(以下「道路整備計画」という。)を作成し、これに基づき、当該道路管理者が管理する道路の施設、構造等に関し必要な措置を講じなければならない。
2
道路整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 当該道路管理者の管理に属する道路の整備に関する基本方針
二 当該道路管理者の管理に属する道路の整備の実施期間及び目標量
三 前号に掲げる事項を達成するために必要な整備の具体的内容
四 当該道路管理者の管理に属する道路の移動制約者による円滑かつ安全な通行の確保に関する啓発及び知識の普及に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、当該道路管理者の管理に属する道路の移動制約者による円滑かつ安全な通行の確保に関し必要な事項
3
道路管理者は、その管理に属する道路であって政令で定める交通量以上であり、又は当該交通量以上であると見込まれるものに係る道路整備計画を作成しようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、移動制約者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
4
道路管理者は、道路整備計画を作成したときは、遅滞なく、これを主務大臣に提出するとともに、公表しなければならない。
(道路整備計画の作成に関する協議会)
第十八条
道路管理者は、道路整備計画の作成に当たり他の道路管理者、都道府県公安委員会その他の関係者と意見の調整を図る必要があると認めるときは、これらの者に対し、意見の調整のため必要な協議を行うための協議会を組織することを求めることができる。
2
前項の協議会において協議が調った事項については、当該協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
(道路整備計画の変更)
第十九条
道路管理者は、基本指針又は道路整備基準が変更された場合には、道路整備計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
2
第十七条第三項及び第四項並びに前条の規定は、道路整備計画の変更について準用する。
(道路整備計画の実施の状況の報告)
第二十条
道路管理者は、毎年、政令で定めるところにより、道路整備計画の実施の状況を主務大臣に報告しなければならない。
(交通安全整備計画)
第二十一条
都道府県公安委員会は、基本指針に基づき、移動制約者による道路の円滑かつ安全な通行を確保するための信号機、道路標識等の整備等に関する計画(以下「交通安全整備計画」という。)を作成し、これに基づき、信号機、道路標識等に関し必要な措置を講じなければならない。
2
交通安全整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 移動制約者による道路の横断の安全を確保するための機能を付加した信号機、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九条の歩行者用道路であることを表示する道路標識、横断歩道であることを表示する道路標示その他の移動制約者による道路の円滑かつ安全な通行を確保するために必要な信号機、道路標識又は道路標示の同法第四条第一項の規定による設置に関する事項
二 前号に掲げる措置の実施期間及び目標量
三 前号に掲げる事項を達成するために必要な措置の具体的内容
四 第一号に掲げる措置に関する啓発及び知識の普及に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、移動制約者による道路の円滑かつ安全な通行を確保するための信号機、道路標識等に関し必要な事項
3
第十七条第三項及び第四項並びに前三条の規定は、交通安全整備計画について準用する。この場合において、第十七条第三項中「その管理に属する道路」とあるのは「当該都道府県の区域内に存する道路」と、第十八条第一項中「他の道路管理者、都道府県公安委員会」とあるのは「他の都道府県公安委員会、道路管理者」と、第十九条第一項中「基本指針又は道路整備基準」とあるのは「基本指針」と読み替えるものとする。
第五章 市町村の措置等
(市町村整備指針)
第二十二条
市町村は、当該地域の実情に応じ、当該地域内にある公共交通機関を移動制約者が円滑かつ安全に利用することができるようにするため、当該公共交通機関の旅客施設等の整備に関する指針(以下「市町村整備指針」という。)を定めることができる。
2
市町村は、市町村整備指針を定めようとするときは、あらかじめ、条例で定めるところにより、移動制約者、公共交通事業者等その他の関係者の意見を聴かなければならない。
3
市町村は、市町村整備指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4
前二項の規定は、市町村整備指針の変更について準用する。
(地域整備計画)
第二十三条
公共交通事業者等は、市町村整備指針に基づき、移動制約者が当該公共交通事業者等の旅客施設等を円滑かつ安全に利用することができるようにするための当該旅客施設等の整備に関する計画(以下「地域整備計画」という。)を作成し、当該市町村整備指針を作成した市町村の認定を申請することができる。
2
地域整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 整備の対象となる旅客施設等
二 整備の具体的内容
三 前号の整備の実施期間並びにその実施に必要な資金の額及びその調達方法
3
市町村は、第一項の認定の申請があった場合において、前項第二号に掲げる事項が市町村整備指針及び公共交通機関整備基準に照らして適切なものであり、かつ、同項第二号及び第三号に掲げる事項が当該地域整備計画を確実に実施するために技術上及び資金上適切なものであると認めるときは、その認定をするものとする。
4
前項の認定を受けた公共交通事業者等は、当該認定に係る地域整備計画を変更しようとするときは、当該認定をした市町村の認定を受けなければならない。
5
第三項の規定は、前項の認定について準用する。
6
市町村長は、第三項の認定を受けた公共交通事業者等に対し、当該認定に係る地域整備計画の実施の状況について報告を求めることができる。
7
市町村は、第三項又は第四項の認定を受けた公共交通事業者等が当該認定に係る地域整備計画に従って旅客施設等の整備を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
(旅客施設等の整備に係る勧告及び公表)
第二十四条
市町村長は、公共交通事業者等による市町村整備指針に基づく旅客施設等の整備が当該整備による利便の増進の程度、当該整備に要する費用等を考慮して特に必要であると認めるときは、公共交通事業者等に対し、当該整備を実施すべき旨の勧告をすることができる。
2
市町村長は、前項の勧告を受けた公共交通事業者等が正当な理由がなくてその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
(移動が著しく困難な移動制約者の移動の手段の確保)
第二十五条
地方公共団体は、既存の公共交通機関の利用による円滑かつ安全な移動が著しく困難な移動制約者の移動の手段を確保するための措置を別途講ずるよう努めなければならない。
第六章 雑則
(情報の提供)
第二十六条
公共交通事業者等、道路管理者及び都道府県公安委員会は、移動制約者が円滑かつ安全に公共交通機関を利用し、又は道路を通行することができるようにするため、理解しやすい方法により、必要な情報を提供するよう努めなければならない。
(指導等)
第二十七条
主務大臣は、公共交通事業者等又は道路管理者に対し、公共交通機関整備計画又は道路整備計画の作成及び実施に関し必要な指導、助言及び情報の提供を行うものとする。
2
市町村は、公共交通事業者等に対し、地域整備計画の作成及び実施に関し必要な指導、助言及び情報の提供を行うものとする。
(財政上の措置等)
第二十八条
国は、公共交通事業者等に対し、公共交通機関整備計画の実施のために必要な旅客施設等の整備に要する費用について、政令で定めるところにより、その四分の三を補助するものとする。
2
前項に規定するもののほか、国及び地方公共団体は、移動制約者の移動の自由を確保するための施策の実施に必要な財政上、金融上又は税制上の措置を講ずるものとする。
(地方債の特例)
第二十九条
地方公共団体が、第二十三条第三項又は第四項の認定を受けた地域整備計画に基づく旅客施設等の整備に関する助成を行おうとする場合においては、当該助成に要する経費であって地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条各号に規定する経費に該当しないものは、同条第五号に規定する経費とみなす。
(国民の理解を深める等のための措置)
第三十条
国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、移動制約者の移動の自由を確保するための施策について国民の理解を深めるとともに、その実施に関し国民の協力を求めるよう努めなければならない。
(国会への報告)
第三十一条
内閣は、毎年、国会に対し、前年において移動制約者の移動の自由を確保するために講じた施策を報告しなければならない。
(報告及び立入検査)
第三十二条
主務大臣又は市町村長は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、公共交通事業者等に対し、旅客施設等の整備等の実施の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、公共交通事業者等の事務所その他の事業場若しくは車両等に立ち入り、旅客施設等若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(主務大臣等)
第三十三条
第七条第一項、第三項から第五項まで、第七項及び第八項(これらの規定を同条第九項において準用する場合を含む。)における主務大臣は、運輸大臣、建設大臣及び国家公安委員会とする。
2
第八条第一項、第三項及び第四項(これらの規定を同条第五項において準用する場合を含む。)、第九条第四項並びに第十条第二項及び第三項(これらの規定を第十一条第二項において準用する場合を含む。)、第十二条から第十五条まで、第二十七条第一項(公共交通事業者等に係る部分に限る。)並びに前条第一項における主務大臣は、軌道及び連絡通路等に関する事項については運輸大臣及び建設大臣とし、その他の事項については運輸大臣とする。
3
第十六条第一項、第三項及び第四項(これらの規定を同条第五項において準用する場合を含む。)、第十七条第四項(第十九条第二項において準用する場合を含む。)、第二十条並びに第二十七条第一項(道路管理者に係る部分に限る。)における主務大臣は、建設大臣とする。
4
第二十一条第三項において準用する第十七条第四項(第十九条第二項において準用する場合を含む。)及び第二十条における主務大臣は、国家公安委員会とする。
5
第七条第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)における主務省令は、総理府令・運輸省令・建設省令とする。
6
この法律による権限は、運輸省令又は建設省令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。
(経過措置)
第三十四条
この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第七章 罰則
第三十五条
次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第三項、第十三条第三項又は第十四条第三項の規定による命令に違反した者
二 第三十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第三十六条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。
第三十七条
次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
一 第九条第四項(第十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して公共交通機関整備計画を提出しなかった者
二 第十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(移動が著しく困難な移動制約者の移動の手段の確保に関する措置等)
第二条
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、既存の公共交通機関の利用による円滑かつ安全な移動が著しく困難な移動制約者の移動の手段の確保に関し必要な法制上の措置を講ずるものとする。
2
政府は、前項に定めるものを除くほか、この法律の施行後五年を経過した場合において、移動制約者の移動の自由を確保するための施策の実施の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(中央省庁等改革関係法施行法の一部改正)
第三条
中央省庁等改革関係法施行法(平成十一年法律第百六十号)の一部を次のように改正する。
第千二百二十七条の次に次の一条を加える。
(高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律の一部改正)
第千二百二十七条の二 高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律(平成十二年法律第○○○号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項中「(第三十三条第二項において「連絡通路等」という。)」を削る。
第七条第三項、第八条第三項及び第十六条第三項中「厚生大臣」を「厚生労働大臣」に改める。
第三十三条第一項中「運輸大臣、建設大臣」を「国土交通大臣」に改め、同条第二項中「第十五条まで」の下に「、第十六条第一項、第三項及び第四項(これらの規定を同条第五項において準用する場合を含む。)、第十七条第四項(第十九条第二項において準用する場合を含む。)、第二十条」を加え、「(公共交通事業者等に係る部分に限る。)」を削り、「軌道及び連絡通路等に関する事項については運輸大臣及び建設大臣とし、その他の事項については運輸大臣」を「国土交通大臣」に改め、同条第三項を削り、同条第四項を同条第三項とし、同条第五項中「総理府令・運輸省令・建設省令」を「内閣府令・国土交通省令」に改め、同項を同条第四項とし、同条第六項中「運輸省令又は建設省令」を「国土交通省令」に改め、同項を同条第五項とする。
(運輸省設置法の一部改正)
第四条
運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第三条の二第一項第十号の三の次に次の一号を加える。
十の四 高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律(平成十二年法律第 号)の施行に関すること。
第四条第一項第十号の三の次に次の一号を加える。
十の四 高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律の規定に基づき、基本指針を定め、又は必要な処分をすること。
(建設省設置法の一部改正)
第五条
建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第十一号中「及び中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(平成十年法律第九十二号)」を「、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(平成十年法律第九十二号)及び高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律(平成十二年法律第 号)」に改める。
理 由
移動制約者の移動の自由を確保することにより、移動制約者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進するため、公共交通事業者等、道路管理者等に対し必要な措置をとることを義務付ける等所要の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
本案施行に要する経費
本案施行に要する経費としては、平年度約六百五十億円の見込みである。
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