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2000/03/15
「食料・農業・農村政策審議会」答申について(談話)
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民主党ネクスト・キャビネット
環境・農林水産担当 佐藤謙一郎

 本日、食料・農業・農村政策審議会より小渕首相に対し「基本計画(案)」が答申された。今回の計画策定は、昨年制定された新たな基本法に基づくものであることから、今後のわが国農業の展望を切り開く具体的内容が示されるものと期待された。しかし全体の印象としては数値目標のみが具体的であり、目標へのアプローチは曖昧なままという感が否めない。

 基本計画の中で、当初からもっとも注目されたのが食料自給率であった。先進各国の食料自給率が軒並み70〜80%から100%を超える中で、わが国の40%という数字は極めて低いものであり、長年にわたる食料政策の不在を物語るものである。今回、答申では目指すべき目標をカロリーベースで「50%以上が適当」としながら、2010年度の実現可能目標は45%とした。答申の前段で「中長期的には世界の食料需給はひっ迫する可能性」という情勢認識を示しながら、国内の中期目標として45%を掲げるのはあまりにも消極的な姿勢ではなかろうか。

 目標に向けた政策についても具体性に乏しい。主要品目ごとの「生産努力目標」については課題の羅列にすぎないし、自給率向上をはかる上で重要な「価格の形成と経営安定」についても「必要な施策を講ずる」、「検討を行う」といった表現にとどまっている。また、自給率向上の裏づけとなる農地面積についても、2010年段階で現在より21万haも少ない470万haを見込むなど、答申全体から目標実現に向けた力強さを感じ取ることはできない。

 今日、地球的課題となっている環境保全や生物多様性の保護といった視点も今回の答申から積極的に読み取ることはできない。現在、欧米先進各国では環境保全型農業が農政の中心課題となりつつあり、わが国においてもこのような農政への転換が求められているところである。また、基本計画の策定過程で、農家・農村など生産現場の問題意識、消費者など関心を寄せる人々の意見をどの程度くみ上げたのかについても不透明感が残る。

 民主党は、かねてより環境保全型・地方分権型農業への転換を通じた食料自給率50%の実現を訴えてきた。そのための具体的プロセスも現在、検討を急いでいるところである。このような立場から見ると今回の答申はいかにも迫力不足であり、現政権での農政の大改革は実現不可能と断じざるを得ない。民主党は、一日も早い政権交代と農政の抜本改革に向け、全力をあげる決意である。

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