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2002/02/21
平成14年度政府予算 野党共同組替要求について
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民主党
自由党
日本共産党
社会民主党

政府の提案する平成14年度予算は、「改革断行予算」を掲げてはいるものの、その実態は「隠れ借金」によって財政状況を粉飾し、旧来型公共事業を継続する等既得権益に縛られたままの財政構造を温存しており、真の改革とはほど遠いものとなっている。野党4党は現下の厳しい経済・雇用状況を深刻に受け止め、景気回復を実現し、国民の安心を高めるために、以下の組替えを一致して要求する。



1.国民の安心を確保し、景気の速やかな回復を図るために歳出の増額を図るべき項目

(1)雇用対策 (追加額:5100億円)

* 雇用保険失業給付制度の拡充
求職者の能力開発を推進し、実際の雇用に結びつくような失業給付制度の改善を行い、給付期間の延長を図るとともに、そのための財源の安定確保を図ること。
* 就職支援体制の強化
学卒未就業者を含む若年層に対する就職援助措置の充実、求人開拓部門の強化、自営業者などに対する教育訓練施策の拡充等を推進すること。
* 労働行政の充実
  サービス残業の是正のための対策強化、年齢・性別差別解消の推進、急増する個別労使紛争等への対応強化を含む相談体制の整備等をすすめること。

(2)社会保障 (追加額:3500億円)

* 多様な子育て支援対策の拡充
  保育体制整備促進による「待機児童」の速やかな解消、本年8月予定の児童扶養手当の縮減中止、仕事と子育て両立支援のための看護休暇制度導入促進などを図ること。
* 介護サービスの基盤拡充
  待機者解消のための特別養護老人ホーム整備促進、デイサービス・ショートステイなど介護サービスの確実な提供とマンパワーの確保などを推進すること。
* 医療の質向上・医療提供体制の充実
  カルテの電子化等による情報開示の徹底、院内感染対策の拡充等による患者の権利擁護と医療体制の充実をすすめること。
* 障害者対策等の推進
  無年金障害者の救済、ホームレスの自立支援、障害者等への情報サービス提供推進のための字幕付テレビ放送の普及推進などを図ること。

(3)教育関係 (追加額:1400億円)

* 30人学級の早期実現に向けた条件整備等
30人学級の早期実現に向けた教職員確保、スクールカウンセラーの配置校数の大幅拡充などをすすめること。
* 日本育英事業の無利子貸付貸与枠の拡充等
無利子貸付貸与枠の増大を図るとともに、保護者の失業等の経済的理由による就学困難高校生に対する支援策の拡充、国立大学の授業料据え置き等を行うこと。
* 老朽校舎の改修
  老朽化の進む教育施設の速やかな改修、バリアフリー化、学校の安全対策、心のケアを含む健康対策などの環境整備の促進を図ること。

(4)BSE対策 (追加額:2300億円)

* 抜本的な安全対策と関連産業及び従事者の救済
野党4党が提唱している「BSE対策緊急措置法」を速やかに制定し、その執行経費を確保すること。


(5)中小企業対策 (追加額:1200億円)

* 中小企業・ベンチャー支援
  連鎖倒産を回避する「セーフティネット保証制度」の拡充、中小企業の技術革新を支援する「中小企業技術革新制度」の拡充、金融対策の推進等をすすめること。

(6)食料・農業対策 (追加額:300億円)

* 食の安全と循環型農業の振興等
  環境循環型農業、有機農業などの支援策の推進、農業経営再建策の確立、信頼できる食品表示を担保するための検査・監視体制の拡充を図ること。
* 雇用拡大と環境保全を両立させる森林整備の拡充と山村定住対策の促進等を図ること。

(7)環境対策の推進 (追加額:300億円)

* 温暖化対策・エネルギー・公害対策等
  新エネルギーの研究開発・普及のための支援策拡充、公共交通機関への低公害車(LRTを含む)導入促進、温暖化防止国内対策関連予算の拡充等を図ること。
* 住環境整備
住環境における有害物質対策の確立、健康配慮型住宅産業の育成、バリアフリー化促進などをすすめること。

(8)交通対策 (追加額:200億円)

* 移動の自由、安全対策等
  地方バス生活路線維持対策の拡充、公共交通機関・公共施設のバリアフリー化促進、駅転落事故対策の拡充等をすすめること。

(9)その他 (追加額:200億円)
  沖縄に対する支援措置の拡充、自然災害の被災者に対する生活再建支援策拡充、消費生活センターへの支援等を促進すること。


2.予算を伴わない(あるいは予算執行上の工夫による)景気・雇用対策の推進等

 従来型の予算配分と既得権益維持型の予算執行を改善し、予算を増額せずとも景気・雇用対策の推進に資するよう事務事業の改革を推進すること。以下はその例示である。

* 政府・特殊法人等の官庁業務の効率化、無駄の排除により、経費の節減を図るとともに、各種公共サービス・事業コスト低減を実現することを追求すること。
* 官製談合の防止策の確立、あっせん利得処罰法強化、補助金の一括交付金化による陳情行政の是正等を図り、官公需における発注額・コスト削減をすすめること。
* 公共事業の下請け企業に対する代金不払い・遅延の実効ある防止策の確立、官公需の中小企業に対する分割・分離発注の促進により、中小企業の仕事と雇用確保を図ること。
* ODAの質の見直し・改善と留学生支援・国際NGOへの支援強化等の分野においても予算執行の改革をすすめること。
* NPO法人の認証基準緩和による設立促進、行政サービス分野における積極活用を図ることにより、地域経済の活性化を図ること。
* 「渡切費」等の不透明な公金使用の中止、官僚の天下り規制強化などにより、政治と行政への信頼回復による経済活力の再生を図ること。


3.従来の事業の抜本的見直し等により歳出を削減すべき項目

(1)公共事業関係 (削減額:1兆3000億円)

* 公共事業関係経費については、既に平成13年度第2次補正予算において相当額の積み増しを行っていること、政官業の癒着を原因としてコストが高止まりしていることなどから、政府案からさらに一層削減すること。
* 特に道路整備事業、ダム事業、海岸事業、港湾整備事業、空港整備事業、整備新幹線、農業関係公共事業については大胆に見直し削減すること。
* 道路特定財源については、一般財源化を図ること。

(2)内閣官房報償費及び外務省報償費等の見直し

* 内閣官房報償費及び外務省報償費については、より大幅な削減を行うと同時にその仕組みを抜本的に改革すること。また外務省報償費の上納問題の真相究明を行うこと。

(3)行政経費(庁費等)の削減 (削減額:500億円)

* 行政経費については、本省及び関係機関の庁費を中心に一層の節減を図ること。

(4)特殊法人向け歳出の見直し (削減額:1000億円)

* 特殊法人への一般会計負担の補助金等を、さらに一層削減すること。


4.予算の粉飾を改め、国民に正しい情報を提供するための見直し


* 債務償還の先送り、交付税特会借入の継続等の国民を惑わす約1.5兆円の「隠れ借金」は行わないこととし、そのために必要な財源は国債発行をもって賄うものとすること。

以上

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